夏休みも終盤に差し掛かった8月末のこと。1組メンバーは騎ノ風市の土地に含まれている騎ノ風島に来ていた。
騎ノ風島は小笠原諸島から少し離れた場所にあり、人口は50人程度の無人島に近い島だという。
この島に住み移った人間は元々騎ノ風市の市民だったが、騎ノ風市発足の際に個性を尊重する方針に賛同できなかった者たちが住み移ったとされている。
つまりはこの島の住民たちは騎ノ風市民たちを憎んでいるようなものである。そんなところに現騎ノ風市民である1組メンバーが来れば針のむしろにされる危険極まりない場所である。
愛麗たちは狩猟銃を持った島の住民に、追いかけまわされていた。
島民「うがあああああああ!!!!」
麗「なんでこんな目に合わなきゃいけないのよ!」
水「今は脱出することだけを考えよう・・・」
なぜ1組メンバーがこんな危険な島にきたのか。それは数日前にさかのぼる・・・
騎ノ風島に連れてこられる数日前・・・1組メンバーは学校に呼び出されていた。
麗「え・・・なんであたしたちが騎ノ風島に行かなきゃいけないの・・・あそこ騎ノ風市の暗部だっていうじゃない!」
咲「うん、それがね・・・騎ノ風市長からの直々の依頼なんだって。」
水「なんでもエリート学校のトップクラスに所属しているアタシらに特別課題として騎ノ風島の調査をお願いしたいんだとさ。」
奈「飛行機は市長の自家用車両を出してくれるそうですわ。」
柚「騎ノ風島については一応調べたんだけど、情報がほとんどなかったのよね・・・」
嘉「ホームページ見たんやけど写真とかも載ってへんかったし・・・」
エ「なんだか嫌な予感がする・・・この島呪われている感じがする・・・」
エレナは騎ノ風島について書かれていたパンフレットを見ながら不安そうな表情を浮かべる。
環「50年近く騎ノ風市を除く外部と交流を立った島みたいだし・・・インターネットとか普及してんのかしら。」
姫「そこはホームページやパンフレットもあるし、平気だと思うのだ。」
凛「この依頼、断ったらどうなるんですか?」
咲「成績の良し悪しにかかわらず、私たち全員が留年だって・・・」
水「それと1年の教師が全員クビになるそうだ。」
柚「何その無理やりな条件・・・」
陽「市長さんってそんな権限もってるんだ・・・なんだか恐ろしいねぇ。」
柚「おかしいな・・・うちの父さんと市長が知り合いで何回か会ったことあるけどそんなことするような人じゃなかったと思うんだけど・・・」
咲「それで、みんなはどうするの?行く・・・?」
麗「だって行かないと鮫川先生たちが首にされるし、あたしたちは留年になるし行くしかないでしょ・・・」
柚「だけどこれは明らかに罠のような気もするわ・・・」
奈「生きて帰ってこられる保証はないかもしれませんわね。」
ア「どう考えてもワタシたちをはめようとしてるようにしか思えないデス。」
嘉「せやな・・・」
櫻「自分だったら、こんな誘いに乗らないかな。」
咲「それでも、私は引き下がれない問題だと思う。それにもし私たちが死んだら、騎ノ風市は未来の遺産を失うようなものよ。
それに、騎ノ風島放置することは私たちに後々悪影響が出ることだと思う。だから・・・私は今のうちに解決しておいた方がいいと思うの。」
麗「・・・咲彩がそこまでいうなら、行くしかないかもね。」
柚「鮫川先生たちの首もかかってるしね。たぶん14人でならどんな罠でも乗り越えられるわよ。」
奈「そうですわね・・・行きましょうか、騎ノ風島へ!」
こうして、1組メンバーは騎ノ風島へ向かうことになったのだった・・・
呼び出された次の日、愛麗たちは騎ノ風島に向けて飛び立った市長の自家用ジェットの中にいた。
当然ながら生徒たちだけ行かせるのは危険だということで、鮫川先生が引率として付いてきている。
鮫「すまない・・・これも条件を飲んでしまった私のせいだ・・・」
咲「落ち込まないで先生。依頼を引き受けたんだから先生は皆にとても信頼されているってことでもあるんですよ。」
柚「そうですよ。難解な依頼ぐらいボク達の得意分野を生かせばすぐ解決できちゃうよ。」
姫「うむ、そうなのだ。だから先生も大船に乗ったつもりでいてほしいのだ。」
鮫「ありがとう・・・私はこんなにいい生徒たちを持てて幸せだよ。」
柚「飛行機って初めてだから緊張するわね・・・」
エ「辛いのは最初だけ・・・すぐ慣れる・・・」
麗「凛世、気分悪くなってない?」
凛「ええ、問題ありませんよ愛麗。しかしこの自家用機、どこかおかしい気がするんですよね・・・」
凛世の言うとおり、確かにこの自家用機は色々とおかしい部分がある。
ところどころに細かい切れ目が入っており、少しの衝撃でも壊れてしまいそうである。
とにかく飛行機にしては作りがかなり乱雑・・・と言っても差し支えないぐらいである。
水「まさかアタシらが騎ノ風島についたらこの飛行機空中分解するとか・・・ないよな?」
咲「もう・・・怖いこと言わないでよみなちゃん。」
ア「そうデスよ・・・さすがに視聴もそこまで卑劣ではないと思うデス。」
そんな話をしていると、飛行機の内部からアナウンスが流れた。
ア「皆さん、お待たせいたしました・・・当機は間もなく目的地、騎ノ風島に到着いたします。自動運転で急降下しますのでお気を付け下さい。」
咲「自動運転・・・?この飛行機乗るときにパイロットさんいたよね?」
柚「ちょっとあたしが見てくるわ・・・」
和琴はそういうと席を立って、運転席に向かった。
奈「どうなっているのでしょう・・・」
嘉「ウチなんだか心配になってきたわ・・・」
その時、運転席を見に行っていた和琴が駆け足で戻ってきた。
柚「大変よ!パイロットの奴どこにもいないわ!」
全「「「「なんだって!?」」」」
和琴がそう叫んだ直後、飛行機から再びアナウンスが流れる。
ア「当機はただいま、騎ノ風島上空に到着いたしました。まもなく、自動急降下を開始いたします。」
麗「和琴!急いで席に戻って!」
柚「わかったわ!」
愛麗の言葉で和琴はすぐさま座席に戻った。自家用機はすさまじい轟音を立てながら急降下していく。
ア「当機は間もなく分離します。ここまでのご利用誠にありがとうございました。」
そのアナウンスを最後に機体が4つに分離し、島の東西南北それぞれに向かって落ちていく。
麗「どうなってんのよこれ~!」
水「くそっ・・・アタシらここまでなのか・・・」
奈「やはり罠でしたのね・・・」
嘉「みんな近くにしっかりつかまりや!そうすれば生きてられるかもしれへん!」
鮫「こんな時まで私は生徒を守れないのかぁ~!!!」
4つに分離した機体は島のそれぞれの場所にけたたましい音を立てて墜落した。
騎ノ風市長の罠にはめられて騎ノ風島に墜落してしまった鮫川先生と1組メンバー。これからどうなってしまうのだろうか・・・