鶴来奏の復讐

その日鮫川先生は急に休みを取った。先日、道路を渡ろうとしている老人を手助けしていたら、飲酒運転の車が横断歩道を渡っている老人と老人を手助けしていた鮫川先生の歩いているところに突っ込んできたのだ。鮫川先生は老人を歩道の方へ押して、身代わりになって引かれてしまった。
幸い怪我はひどくなく1日入院するだけで済み、老人も無事であった。飲酒運転をした男は逃走したもののすぐに逮捕された。そして、1組には代理の担任が来た。その担任は・・・
奏「はーい。今日臨時で1組の担任をする鶴来奏よ。」
麗「なんであんたがここに!?」
奏「愛麗ちゃんの所追い出されてから教員試験うけまくって何とか合格したんだよ。今日は私に逆らったらてめえらの身体をすり潰してひき肉にすんぞ。」
咲「急になんなのこの人・・・」
水「咲彩は初めてだったな・・・あいつは愛麗のベビーシッターだったらしいんだが・・・素行にいろいろ問題があるんだよ。
この前も愛麗が作ったケーキを盗み食いして愛麗の祖父さんにアパート追い出されたからな。」
奏「はい湊町ちゃん。余計なことは言わないでね~!」
奏が水萌に向かってチョークを投げつける。水萌は間一髪で避けたが壁に当たったチョークは壁に突き刺さる。
水「あぶねーじゃねーか!アタシが死んだらどうするつもりだ!」
奏「チョーク当たったぐらいじゃ死なねーっつーの。っていうかさ・・・お前らただお勉強が中途半端にできる優等生の分際で調子乗ってんじゃねーぞ!今日の担任は私だ!先生様に逆らうな!!!」
奏はそう言うと近くにあった苺瑠の机を蹴り飛ばす。苺瑠は椅子から転げ落ち、しりもちをついた。
姫「わわっ、貴様何のつもりなのだぁ!」
奏「教師に向かって貴様だと?いい度胸だなぁ!」
奏は苺瑠の一番殴ってはいけない場所である頭を殴りつけた。
姫「わああああ!!!ぎゃあああああああ!!!」
頭を殴られた時の痛みと過去に頭を殴られたときのことがフラッシュバックして恐怖におびえる苺瑠。
奏「うるさいって言ってんだろうが!」
奏は泣きわめく苺瑠を今度は金属バットを取り出して再び殴ろうとしたとき、殴ろうとした腕を止められる。
環「何しようとしてんの・・・?あんたそれでも教師なわけ?」
奏の手を掴んだのは苺瑠のすぐ隣に座っていた環輝だった。
奏「へぇ・・・面白いことしてくれるじゃない。あんたは愛麗ちゃんの幼馴染だっけ?愛麗ちゃんのお菓子が食べられなくて愛麗ちゃんに捨てられたんだっけねぇ・・・あははは。」
環「食べ物の好みなんて人それぞれでしょ!」
奏「まあ私にとってはそんなことどうでもいいし・・・それよりいい加減離せよ!」
奏は環輝の手を振り払うとクラスにいる14人に告げた。
奏「今日は1日私があなたたちの授業を担当するわね。逆らった奴はこいつみたいなるから覚悟しておけよ。」
奏は未だに涙目の苺瑠を指さしてそう言うと授業の準備を始める。
咲「(苺瑠ちゃん何もしていないじゃない・・・)」
陽「(わたし理不尽な人嫌い・・・)」
1組の生徒たちは基本的にストレスに弱い上に教員に何度も痛めつけられたことだってある。
奏がこのような理不尽な暴力を振るうようなやり方をするのであれば長くは持たないだろう・・・

1時間目~国語~
奏「さーてまずは国語の時間ね。」
麗「ちょっと!おじいちゃん先生はどこよ!」
愛麗が疑問に思うのも無理もない。1組の国語の授業は1年4組担任のおじいちゃん先生こと大山達郎先生が受け持っているのだ。
奏「ああ、あのジジイなら私の言葉巧みな技術で今日の授業私に任せて下さいって言ったら譲ってくれたわ。」
ア「そんなことないはずデス!おじいちゃん先生は簡単に人に授業を任せたりしないはずデス!」
奏「うるっさあああい!外国かぶれの分際で私に口答えするなぁ!」
奏はの座席まで行きラニーの机を蹴り飛ばす。
ア「あなた何するデス!?」
奏「てめえはさっさとロシアに帰れよ外人。」
ア「ワタシは留学生デス!まだまだ日本で学びたいことたくさんあるんデス!」
奏「外人ごときが先生様に逆らうなんていい度胸じゃねえかコラア!!!」
奏はラニーの頬を思いっきりひっぱたく。ラニーは机にぶつかりその衝撃で髪をまとめているバレッタが外れて
床にたたきつけられ割れてしまう。
ア「ア・・・ワタシのバレッタ・・・」
ラニーは自分の口から血が流れているのも気にせずに割れたバレッタを見つめて涙を流す。
このバレッタはラニーの両親が手作りしてくれたバレッタのうちの一つでその中でも特に気に入ったデザインのもである。泣きたくなってしまうのも無理もない。奏はそんなこと知る由もないが。
奏「お前は立って授業受けろ。」
ア「・・・」
奏「立ってろって言ってんだよ外人!!!」
奏はへたり込むラニーを無理やり立たせて、教室の隅に立たせ、テストを配布する。
奏「ったく・・・外人のせいで授業が送れちゃうわ・・・さて今日はこれをやってもらうわ。」
奏「これで悪い点取った奴は外人みたいになると思いなさい。30分で全部解きなさい。それじゃ開始。」
奏は手を叩いてテスト開始の合図をする。しかし、このテストには問題があった・・・なぜなら・・・
咲「(これかなり難しい・・・皆は解けてるのかな・・・?)」
麗「(日常的に使わないでしょこんな字・・・)」
環「(ほとんど読めない・・・)」
問題に出されている漢字は漢字検定1級相当の字だからである。おまけに全員問題が違う。
普段から文字に触れている凛世と苺瑠はともかく、文系に弱い環輝や陽姫は苦戦していた。
そしてテストの制限時間である30分が過ぎた。
奏「はいテスト終了。それじゃ、回収して今ここで採点しまーす。」
奏はテストを回収すると採点をする。
文系に強い凛世と苺瑠、本の出版経験がある愛麗、神社の娘である咲綾は満点だった。
そして、水萌と奈摘と和琴が8割正解、嘉月と柚歌が6割正解。ここまではいい。
しかし、文系に弱い環輝とエレナは4割でギリギリ、ラニーが1問だけ正解、陽姫に至っては0点だった。
奏「チッ・・・でくの坊が全然点とれてねえじゃねえかよ。」
奏はそう言うと陽姫の座席へ向かう。陽姫は机に突っ伏して寝ていた。・・・ただ陽姫は睡眠時間を多く要する代わりに睡眠聴取ができ、テストでしっかり結果も出しているのであまり追及する人はいない。しかし奏は知る由もないのだが。
奏「・・・寝てんじゃねえ!!!!!」
奏は陽姫に向かって怒鳴り散らす。
陽「なに・・・?地震でも起きたのぉ・・・?」
陽姫は目を覚ます。奏は陽姫の胸倉をつかみ無理やり立たせる。
奏「おい役立たずのデカブツ。先生様の授業で寝るとはいい度胸だなおい!」
陽「なんでそんなこと言うの・・・好きで役に立たないわけじゃないよぉ・・・」
奏「そののんびりした喋り方もムカつくんだよ!!!」
奏は陽姫の腹に一発パンチをぶち込む。
陽「うっ・・・なんでそんなことするの酷いよ・・・」
奏「お前が寝てるからだろ。それより・・・テスト0点ってどういうことだ!!!秀才クラスならこれ位できて当然だろ!」
陽「難しくて分からなかったの・・・わたし天文学部志望だから文系の授業ほとんどとってないし・・・」
奏「そんなの理由になるか!!!」
奏は今度は陽姫の腹にけりを入れる。
陽「うう・・・かは・・・」
陽姫は何度も腹部に打撃を受けたせいか喀血した。
咲「はるちゃん!・・・先生やり過ぎですよ!」
奏「ふん・・・いまどきの子は甘いからこれぐらいやんねーと駄目なんだよ。」
柚「誰か手伝って!陽姫ちゃんを女医先生のところに連れて行かないと・・・」
水「ならアタシが・・・陽姫、体大丈夫か?」
陽「う・・・うん・・・」
柚「よかった・・・早く保健室に連れて行ってもらって女医先生に手当を・・・」
奏「ちょっと・・・あんたたち勝手に授業抜け出す気?」
柚「今はそんなこと言ってる場合じゃないでしょ!それなら出した結果が気に食わないからって生徒に暴力振るってないでもっといたわりなよ!」
柚歌はそう言うと水萌と協力して陽姫を保健室に連れて行った。
奏「チッ・・・」
麗「何舌打ちしてんのよ。」
奏「あ?てめえも私に逆らう気か?上等だこらあ!!!」
奏が愛麗のオーバーオールの肩紐を掴みビンタをかまそうとしたその時授業終了のチャイムが鳴った。
奏「なんだ・・・時間が過ぎるのって意外に早いのね・・・漢字テストしかできなかったわ。授業配分の仕方はもっと学ばなきゃね。奏ってばおちゃめ。」
1組メンバーはその様子を見てドン引きしていた。
奏「何寒い目で見てんだよ首絞めるぞ!あ、次の授業は体育だからな!早く着替えてプールまで着やがれってんだよ!」
奏は愛麗を投げ捨てるように手放すとそう言って教室から出て行ってしまった。
麗「・・・ねえ咲綾、あいつ次の授業で明らかに死人出しそうだけど・・・行く?」
咲「うーん・・・体育は蒲郡先生の担当だし、私が今から職員室に行って確認取ってくるよ。」
麗「分かった。」
咲綾はそう言うと一旦職員室に向かう。
咲綾と入れ違いで陽姫を保健室に連れて行っていた水萌と柚歌が戻ってきた。
嘉「お帰り水萌ちゃんに柚歌ちゃん。」
奈「陽姫さんは大丈夫でしたの?」
水「ああ、心配ない。手当てしてもらってしばらく安静にしてれば問題ないってさ。」
嘉「陽姫ちゃんに大事が無くて良かったわ~」
麗「だけど陽姫は次のプールには参加できそうにないわね・・・」
和「それで・・・行くの?」
麗「咲綾が話を聞いてきてくれるまで待つのよ。」
しばらくすると咲綾が職員室から戻ってきた。
咲「蒲郡先生は今日は公演に行っていて午後まで戻らないんだって・・・」
麗「そっか・・・行かないとあいつまた暴れるだろうし今は行くしかないか・・・」
愛麗たちは体育館の更衣室へ向かい、プール用の水着を着て次の授業に臨むのだった。

2時間目~体育~
奏「さぁ~!みんな大好きプールの時間よ。だけど悪い子の西園寺は欠席っと・・・」
麗「(悪い子は陽姫じゃなくてあんたでしょうが・・・)」
奏「だけど・・・鷲宮さん、なんで貴女は欠席しているの?」
奏は見学者が座るベンチに私服で座っているエレナに向かってそう言った。
エ「私の腕・・・機械だから水につけられない・・・」
奏「機械の腕だと?そんなありえないことがあるわけないだろ。学園長の孫だからって調子乗ってんじゃねーぞ!」
奏はエレナの義手である右腕を力を込めて引っ張る。引っ張られるたびにエレナの全身に身体が焼かれるような激痛が走る。
エ「嫌!やめてお願い!!!」
奏「腕引っ張ったぐらいで死ぬなんてほんと弱い奴だな。」
そもそもエレナの義手は祖父が作ったこの世に一つしかない高性能義手であり、人間の腕とほぼ同じように人工血管も通っている。
そんな繊細な義手を引っ張り続けたらどうなるか。万が一外れてしまえば大量出血により死んでしまうだろう。
エレナの腕は切断面を縫わずに肉体の血管と義手の血管を直接つないでいるのでなおさらだ。
エ「痛い!やめてよ!」
遂に義手がびりびりと壊れる一歩手前の反応を示し始める。
和「(普段ほとんど声出さない鷲宮があんなに大声出すなんて・・・はやく止めないと!)」
奏「あとちょっと・・・」
和「やめなさいこの非常識教師!!!」
和琴が奏をプールに蹴り飛ばし、一緒に駆け付けた環輝がエレナをプールに落ちないようしっかり押さえた。
蹴られたことによって、奏はプールに転落した。
奏「ちょっと!なんで蹴るのよ!?」
環「あんたは知らないかもしれないけどエレナちゃんの腕は本当に機械の義手なの。
しかも精密にできているから水につけたりなんかしたらエレナちゃんの命にかかわるのよ。」
和「だからあんたを突き飛ばしてでもとめたわけよ。もし鷲宮を殺しでもしたら・・・学園長先生の手によってあんたのせっかくの教師人生終わるところだったわよ?」
奏「・・・まあいいわ授業を始めます。(あいつら後で覚えてなさいよ・・・)」
こうしてプールの授業が始まった。もちろんエレナは見学者として。
奏は普通に授業を進めて行った。愛麗たちはプールで泳ぎながらそんな状況を不思議に思った。
麗「あいつが何もしてこないなんて・・・」
凛「おかしいを通り越してなんだか不安です・・・」
柚「何もしてこないなんておかしいわ・・・絶対何か考えてるはず・・・」
嘉「せやな。ウチらが泳いでいる隙にプールサイドに油まいてたりして・・・」
奈「ここから見る限りは何かをしているようには見えませんが要注意であることは確かですわね。」
姫「その通りだな。何をしてくるか分からないから要警戒なのだ。」
麗「苺瑠。さっき殴られてたけどもう大丈夫なの?」
姫「ああ。心配かけてすまなかったな。」
環「環輝目が悪いからプール嫌い・・・」
そしてプールでの授業が終了する。
奏「ハイ時間だから上がって教室戻ってね~!あ、そうだ・・・」
奏は奈摘と環輝を呼び止め声をかける。
奈「なんですの・・・」
環「次の授業遅れるわよ?」
奏「あれから水が出るか確認してくれないかしら?」
奏はそう言うとある場所を指さす。そこには洗眼機が設置されていた。
奈「洗眼機ですの?」
奏「そうなのよ~!2人ってああいうの得意でしょ?」
環「(得意なのはパソコンなんだけどなぁ~)」
奈「(なんか怪しいですわ・・・)」
奏にしつこく言われたので奈摘と環輝はしぶしぶ洗眼機の確認に行った。
奈「水が出るかどうかを確かめればいいんですわよね・・・」
奈摘は洗眼機の一つに近づくと蛇口をひねる。すると赤い液体が飛びだしてきた。
奈「なんです・・・キャッ!」
赤い液体が微量ではあるが奈摘の目に入る。奈摘は目に痛みを感じて目をおおう。
奏「あははは!引っかかったわね!」
環「あんたこれになにしたの!?」
奏「私特性の唐辛子エキスを洗眼機の水に混ぜたの。あんたたち金持ちぶっててムカつくからちょっとお仕置きしてやろうと思ってね。」
環「あんたって教師は・・・奈摘、大丈夫なの!?」
奈「~ッ!」
奈摘は目の痛みで言葉すら出せず、固く閉じた目には涙があふれている。その時更衣室から着替えた愛麗が戻ってきた。
麗「ずいぶん遅いから様子見に来たけど、なんかあった・・・奈摘!?」
愛麗が目から大量の涙をあふれさせる奈摘を見てそう言いかけた時、横から水が飛んできた。
水が飛んできた方を見ると奏がホースを持って立っていた。
麗「ふざけんじゃないわよこのバカ教師!あんたが奈摘に何かしたんでしょ!?」
奏「教師に向かってバカとか言ってんじゃねえよ。」
奏はホースを愛麗に向け、水を放つ。しかも充てるのではなくギリギリのところで外れるように。
麗「何がしたいのよ・・・(イライラ)」
奏「・・・」
奏は無言で愛麗に水をまき続ける。そして愛麗がプールサイド近くまで追い詰められると・・・
奏「ふんっ!」
一気に間合いを詰めて、愛麗の体を押した。当然ながら愛麗はプールに転落する。
麗「あっ・・・」
環「愛麗!」
ドボーンと音を立ててプールに落ちる愛麗。塩素入りの水を多く飲んでしまったようで咳き込んでいる。
麗「ケホ、ケホ・・・何すんのよ馬鹿鶴来・・・」
奏「思い知った?先生様に逆らうとお前らの命はないからな。」
麗「ふざけないで・・・タブ子壊れちゃったじゃない!!!」
ちなみにタブ子というのは愛麗が愛用しているタブレット端末のことである。
愛麗のオーバーオールの胸ポケットに入っているとはいえ少し大きいので水に触れて接触が悪くなってしまったようだ。
奏「私に反抗的な態度取るからだよ。そんなんだからタブレットにも見放されんだよ。」
環「愛麗・・・」
麗「環輝、あたしのことはいいから奈摘を保健室に連れてって・・・」
環「分かった・・・」
環輝は目を抑えて痛がる奈摘を連れて保健室に向かった。
奏「とっとと次の授業こいよ?遅刻すんならくたばれ。」
奏は遂にくたばれというとんでもない発言をした。そう吐き捨ててその場を去って行った。
愛麗が水に落ちる音が更衣室まで聞こえ、かけつけた咲綾たちによって愛麗はプールから引き揚げられた。
プールに落ちたため服は乾かさなければならず、咲綾が予備の服を持っていたのでそれを着ることになった。
愛用のタブ子は幸いなことにそれほど内部に浸水しておらず、エレナによる軽い修理で直った。
奈摘は目を常駐している医師に見てもらい手当てを受けて失明は免れた。
そしてこの愛麗と奈摘への行為によって1組メンバーは奏への怒りと不信感を強くするのだった・・・

~3時間目 自習~
咲「ごめんねらっちゃんになっちゃん・・・肝心な時に助けてあげられなくて。」
麗「気にしなくていいよ咲綾。タブ子だってエレナちゃんのおかげで直ったし。」
奈「わたくしも大丈夫ですわ。だけど視力落ちるかもしれませんわね・・・」
和「唐辛子を目に喰らうと失明するって話も聞いたことがあるわね。」
奈「症状が軽かったみたいなのでそこは問題ないと思いますわよ。それに視力落ちたら眼鏡を作ればいいんですわ。環輝さんも仲間が増えてうれしいでしょうし。」
環「奈摘・・・」
咲「それにしても私の予備の服がらっちゃんに合っててよかったよ。」
愛麗は咲綾から借りた予備の服を着ていた。しかし咲綾の服なのでボトムはスカート、トップスは丈が短く、足の傷は丸出しという状態だった。
しかし、胸が大きめの愛麗にとっては咲綾サイズの服はちょうどよかったようである。
麗「うん、ありがと咲綾・・・サイズもぴったりよ。(この服のデザインが苦手なんて言えないわ・・・)」
陽「だけどわたしたちこのまま大人しくしていたら全滅かも・・・」
奏から被害を受け、先ほど保健室から教室に戻ってきた陽姫がそう言った。
凛「生泉さんをプールに突き落としてくたばれなんて言うなんて・・・あの人本当にベビーシッターだったんですか?」
麗「あの頃はあんな醜い本性知らなかったから・・・」
そこまで言った時、奏が教室に入ってきた。
奏「はーい授業始めるわよ。さて、次はあんたたちの担任の鮫川先生の授業だけど・・・
今日はこの問題集をできるところまで進めるように指示が出ているから適当にやってて。」
奏はそう言うと教卓に座って雑誌を読み始めた。それに加えあろうことか喫煙までし始めた。たばこの煙が教室に充満する。
嘉「ちょっと!水晶学園は全面禁煙なんやで!?」
奏「あ?てめえの顔を灰皿にしてやろうか?」
水「お前さっきからこんなことばかりやって・・・いい加減に・・・」
水萌がそう言いかけた時、1組の教室に設置されていた火災報知機が自動で動いた。
奏「しまった・・・報知器ついてたのか・・・」
その音を聞きつけて、ちょうど公演から帰ってきた蒲郡先生と隣の2組で家庭科を教えていたあかり先生が駆けつける。
その後ろにはおじいちゃん先生とみなれない眼鏡の優男の教師も一緒にいた。おそらく新しい教師だろう。
蒲「1組の皆!大丈夫ですか!?」
あ「急に大きな音が聞こえたから・・・って何でたばこの臭いが・・・」
じ「ここにいる子たちは未成年じゃし、おそらくは担当の教師が・・・って貴様はわしを監禁した女!」
?「大山先生もなんですか!?実は僕もこの女に朝1組に行こうとしたらつかまって・・・」
咲「え?それってどういうことなの・・・」
奏「チッ・・・」
蒲「貴方、鶴来奏ですね。最近騎ノ風近辺の学校に出没し、教師を偽って生徒たちに嫌がらせをしているという・・・」
あ「鶴来奏ってそこの学校に所属している教師から教員証明を奪って成りすましして生徒に嫌がらせをするあの?」
じ「よくもわしを襲って教員証明を奪ってくれたな!だが、わしに成りすましたところですぐばれるじゃろうに・・・
貴様は若い女じゃがわしは年寄り。証明を奪って成りすましたところですぐばれるじゃろうに。」
?「僕は偶然その現場を見かけて大山先生を助けようとしたのですが、脅されて一緒に捕まって・・・」
蒲「大山先生たちは僕たちの職員室の物置に監禁されてたんですよ。今日はあかり先生や大山先生たち以外は怪我や出張、
僕は講演会で先ほどまで出払ってましたから物置に監禁するのが好都合だとでも思ったんでしょうね。
しかし、僕が思ったよりも早く帰ってきてしまった。職員室に誰もいなかったのでおかしいと思って物音がする物置を調べたら・・・
大山先生たちが監禁されていて、おまけに1組で火災報知機が鳴りだした。大山先生たちを助けて急いで駆け付けたらこれですよ。」
麗「あんたってやつは・・・あたしたちだけじゃなくて学校の先生にまで迷惑かけて・・・」
凛「教員試験に受かったというのは嘘ってことだったんですね!」
柚「陽姫ちゃんや奈摘ちゃんに謝れよ!」
姫「愛麗君と我にも謝罪してもらおうか。」
環「傷害罪で警察に突き出した方がいいかもね。」
奏「ぐっ・・・ばれちゃしょうがないわね。そう・・・教員試験に受かったなんて嘘。私はね、今は騎ノ風市のやり方を
完全に否定するテロ組織「平穏人生の会」の一員なの。てめえらの音楽や文芸の才能ムカつくんだよ。
なんで私は教師になれなくててめえらはぬくぬくしたこの学校で才能開花させてんだよそう言うのが嫌なんだよ。」
咲「平穏人生の会って・・・たしか、藤沢理乃やラニーちゃんの一番上のお姉さんが所属していたテロ組織・・・」
麗「そんなところに入ってたの・・・あんたも落ちたわね。」
あ「だから・・・生泉さんをプールに突き落としたり、西園寺さんを血が吐くまで殴ったり、天宮城さんの目に唐辛子エキスをかけたりしたのね!」
奏「なんであんたが知ってるのよ・・・」
あ「この学園に常駐している女医先生からすべて聞かせてもらいました!」
奏「まあばれちゃったらしょうがないわね。それじゃ私は逃げるわね。もう会うことも無いでしょうね1組のバカな皆さん。」
奏はそう言うと窓際へ移動する。そこには平穏人生の会の仲間が操縦してると思われるヘリコプターが現れた。
蒲「鮫川先生がいない今、この子たちを守るのは僕だ!うおおおおおおお!」
蒲郡先生は奏に向かい渾身のタックルで突撃する。
奏「ちょ・・・キャ!」
奏は蒲郡先生の渾身のタックルを食らい、壁に突き飛ばされる。ヘリコプターの仲間は自分がつかまるの恐れたのかすぐさま去って行った。もう奏に逃げるすべはない。
奏「ちょっとまだ私乗ってないでしょ勝手にいかないで・・・」
動揺した奏のすきをついて、あかり先生が奏を捕まえる。
あ「よし、捕まえたと。」
奏「しまった・・・」
あ「よくもあたしの可愛い生徒に手を出してくれたわね?」
奏「あんたこのクラスの担任じゃないでしょ・・・」
あ「残念だけどあたしはこの子たちが担任じゃなくても一緒にプールに遊びに行ったり、写真を撮らせてもらったりする仲なのよ。よってこの子たちはあたしの生徒にかわりないってこと。」
奏「意味わかんない・・・」
あ「分かってもらえなくて結構。警察に突き出す前に・・・誰かこいつに一発入れたい子いない?散々迷惑かけられて腹立ってるでしょ?」
蒲「藤沢先生・・・そこまでしなくても。」
じ「いいんじゃないのか。わしを監禁した罰じゃ。」
蒲「大山先生まで・・・穏便に済ませたかったのですがまあそれなら仕方ないですね。」
凛「私にやらせてください・・・生泉さんをプールに突き落としたの許せません。」
嘉「ウチもやる・・・奈摘ちゃんの目を失明させかけた罰や。」
環「環輝も。脳に障害のある苺瑠の頭を殴るっていう最低のことしたんだもん。それなりの罰は必要よね。」
柚「羽多野に便乗してあたしも参加させてもらうわ。鷲宮の腕を引っ張ったのは罪よ。」
柚「ボクも参加させてもらおうかな。陽姫ちゃんが血を吐くまで殴ったんだからさ。」
水「アタシもやるぜ。チョーク投げられたからな。」
麗「あたしも。凛世たちだけじゃなくてクラスの皆にまで迷惑かけて・・・絶対に許さないよ。」
こうして7人の有志が揃った。
奏「あんたたち!こんなことしたらいじめっ子と変わらないわよ!?」
麗「は?いまさら何言ってんの?人のこと散々脅して殴っておいて、舐めた口きいてんじゃねえぞ!」
愛麗のその一言をきっかけに7人の有志は一斉に奏への制裁をし始める。
奏は蹴り飛ばされ、顔に落書きされ、言葉で散々罵倒された。
制裁が終わった時には奏の顔は落書きと腫れで歯もいくつか抜け落ちみっともない顔になっていた。
麗「どう・・・?これがあたしとその友人たちの怒りよ!」
奏「鬼・・・あひゅま・・・」
和「鬼?悪魔?・・・そう思ってくれて結構よ。あたしたちはね、正しい大人の前では天使だけどあんたみたいなやつの前では悪魔なのよ!」
凛「これまで私たちはあなたみたいな大人に沢山出会って来ました。そう言う人たちは普通が一番、変な子は虐めても構わないといってましたよ。」
柚「そう言う醜い大人に共通してることってなんだと思う?」
水「分からないだろうから教えてやるぜ。・・・アタシたちとは全く話が通じないんだよ!」
嘉「話が通じへん上にウチらに危害を加えてくるんならこうやって制裁するしかないんやで?」
環「そう言う異物排除を推薦している大人の方が環輝は必要ないと思うけどなぁ~。」
奏「・・・」
麗「何?図星過ぎて言葉も出てこないの?弱い立場の奴にしか威張れないなんて情けない大人!!!」
奏「ぐっ・・・ううっ・・・」
じ「(やれやれ・・・1組の子たちは優秀じゃけど怒ると気性が荒いのう・・・)」
あ「(前から知ってたけどこの子たち確実に過去に何かあったわよね・・・)」
警「すいません、警察の者ですが・・・」
蒲「あ、犯人はここですのであとはよろしくお願いします。」
その後、奏は警察に逮捕された。警察の話では「平穏人生の会」という危険な組織に所属しているということで重い罰が科せられるという。
そして騒動は片付き、あかり先生は元の授業へ、おじいちゃん先生は1年担当教員室へと戻った。
蒲「いやー1組の皆が無事でよかったです・・・」
柚「蒲郡先生かっこよかったですよ。」
蒲「ありがとうございます眞武さん。それと皆さんには彼のことを紹介しておかなければなりませんね。」
そういうと蒲郡先生は一緒にいた眼鏡の男性を紹介する。
?「僕は赤羽毅といいます。このたび1年生の副担任としてこの水晶学園に赴任してきたものです。
以前は騎ノ風総合大学で非常勤講師としてものづくりの授業を教えていました。」
麗「技術の先生なんですか?」
赤「メインは技術だけど、マルチにいろいろやっててね・・・技術以外だとに社会科の免許も持っているよ。」
水「ハイスペックだな。」
赤「ありがとう。今日はあと授業が半分あるから、ここからは僕が皆さんのクラスを1日担当するよ。」
咲「はい、よろしくお願いしますね。」
こうして、本来の担当である赤羽先生が1組の代理担任を務め、1組の生徒たちは問題なく過ごせたのだった。

そして次の日、鮫川先生が復帰し、事のあらましを聞くと生徒たちに謝罪した。
鮫「お前たちがそんなに大変だった時に怪我なんかしてすまなかった・・・」
咲「そんなことないですよ。横断歩道を渡っていたご老人を飲酒運転の車から守ったんですからかっこいいですよ。」
鮫「ありがとう咲綾・・・それにしても愛麗のベビーシッターだった割には酷いことする人だったらしいな。」
麗「だってあの人保育園とかに勤務しても児童に手を上げてすぐ辞めさせられてんだもん。そんな奴がこの水晶学園の教員採用試験に受かっただなんておかしい話だと思ってたわ。」
鮫「それもそうだな・・・陽姫と奈摘はもう大丈夫か?」
奈「わたくしは昨日帰った後東京の眼科医に見てもらいまして目薬を処方してもらって今はだいぶ安定してますわ。」
陽「わたしもあまり問題ないよ~。ね、パクちゃん。」
パ「おう、一時期は陽姫が死んじまうんじゃないかって心配してたんだぜ。だけど元気になってよかったぜ!」
陽「うん、ありがとうパクちゃん。」
鮫「(初めて見たけどあれが陽姫の一人芝居か・・・意外に演劇の才能とかありそうだな。)」
陽「どうしたの鮫川先生?」
鮫「いや、なんでもないよ。それじゃあ今日もHRを始めるとしようか。」
鶴来奏が去った後でも水晶学園の一日は変わらずに始まっていく・・・