1、苺瑠とレンタルショップ
ある日、立屋敷苺瑠は飛鳥区にある騎ノ風ショッピングプラザの中にあるレンタルショップに来ていた。
苺「ここは有料ではあるが、図書館に比べるといい落語のCDやアイドルのDVDがそろっているのだ。だが、家で聞くわけにはいかないのだ・・・落語やアイドルの映像を家で聞いていたら長姉に馬鹿にされかねんのだ。それに我の家からここまで遠い終わったらネットカフェに行ってその日のうちに見て、返すのだ。今日借りるのはこれとこれとこれだな。」
苺瑠は手際よくDVDをカゴに入れていった。必要なものを全て入れ終わるとレジに持っていき、会員証と共に店員に渡す。
苺「すいません、これをレンタルしたいのだが・・・」
店「あ、レンタルの方は今現在セルフレジの方で行ってもらうことになっているんですよ。」
苺「セルフレジだと?」
店「はい、お客様に直接レンタルの手続きをしてもらう方式になります。」
苺「そうなのか・・・まあやってみるよ。」
苺瑠はDVDをセルフレジに通してみようとするが、何分初めてなので・・・
苺「あれ?DVD通しても反応しないのだ・・・それともこれ使うのかな。」
次にバーコードスキャナーを手に取り、DVDのバーコードに当ててみると音がして、読み込んだDVDのデータが表示された。
苺「おっ、今度は上手く行ったのだ。これも読み込んで・・・よし、読み込みが全て終わったのだ。そしたら次は代金だな・・・」
苺瑠は愛用のピンク色の財布から1000円札を抜出し、セルフレジに入れる。すると代金を差し引いた分の釣銭とレシートが出てくる。釣銭を財布にしまい、レシートはレンタル用のバッグにCDやDVDと共にしまった。
苺「よし!初めてだったが、我でもできたぞ。これでまた一つできることが増えたのだ。」
苺瑠は満足げな表情で、レンタルショップを後にしたのだった。
しかし、借りたDVDの中に間違って借りてしまったきわどいものが混じっていてネットカフェで再生した際に焦ってしまったのは別の話である。
2、咲彩の家の蔵
神宿咲彩は水晶学園でも服の趣味以外は真面目な優等生として通っている。そんな彼女の実家は騎ノ風市に300年近く続く老舗の神社であり、庭には古い時代の書物などを補完する蔵がある。
咲「今日は手伝っちゃってもらってごめんね・・・」
苺「いいよ。我は昔からここに興味があったのだ。こんなに歴史的建造物の中は貴重だから動画で撮影したくなるなぁ・・・」
咲「動画あまりとらないでほしいなぁ・・・」
苺「ネットに上げるつもりはないから問題ないのだ。それに重いものは我が積極的に持つからさ。」
咲「ネットに公開しないなら少しぐらいはいいよ。じゃ、始めていこう。まずはその大きい箱の中を整理して・・・」
咲彩が指示を出しつつ細かい場所を掃除し、苺瑠が大きいものを運ぶことで順調の作業は進んだ。
蔵の中が大体片付いたところで、苺瑠が黒光りした黒い石を見つけた。
苺「む?この石はなんなのだ?」
咲「石?」
苺「これなのだ。黒光りしていて不気味だぞ。」
苺瑠は咲彩に拾った石を見せる。
咲「これは・・・私には分からないよ。だけど中に悪魔とかが封じられていそうな石だね。」
苺「怖いこと言わないでほしいのだ・・・」
咲「一応大切なものである可能性もあるから・・・この空いているケースに入れて保管しておこうね。」
咲彩はそう言いながら、石を空いていた透明のケースの中に鎮座させた。
咲「よし、大体片付いたかな・・・いっちゃんありがとう。おかげできれいになったよ。」
苺「我は重い荷物の移動をやったただけだし、大半は咲彩君の掃除のおかげだと思うよ?」
咲「いっちゃんが居なかったら大きいものは動かせないし、ここまで綺愛麗にならなかったよ・・・さ、お礼に生どら焼き用意してあるから食べて行ってよ。」
苺「お、水萌君の家の和菓子か。それなら早速いただくのだ!」
咲「いっちゃん、そんなに急いだら危ないよ・・・」
和菓子と聞いた苺瑠は駆け足で咲彩の家の母屋に向かうのだった。しかし、先ほどの黒光りする石が気になるようで、向かう途中こんなことを考えていた。
苺「(たださっきの石・・・近々とんでもないことを引き起こしそうな気がするよ。」
今はこの石が後に未来に関係した大きな出来事に繋がるということなどだれも知るよしなかった・・・