私の名前は鮫川城人。水晶学園高等部の1年1組の担任を務めている。
今日も生徒たちに授業を教えるために学校へと向かっている。
そして学校に到着したのだが、何やらおかしなことに気が付いた。
学校門に「水晶学園初等部・中等部」と書かれているのだ。
私は少し気になったので、校門で見張りをしている看守さんに聞いてみた。
鮫「すいません。ここって水晶学園高等部ですよね?」
看「え?ここは水晶学園初等部ですよ。そもそも水晶学園は中等部までで高等部は騎ノ風駅方面にあるキャンパスの方ですよ?」
鮫「そうなんですか・・・?」
看「失礼しますがお名前をうかがってもよろしいですかね?」
鮫「鮫川城人です。」
看「鮫川城人と・・・なんだ、あなた初等部5年1組の担任じゃないですか。驚かさないでくださいよ。」
鮫「おかしいな・・・私は高等部の担任のはずだが・・・」
私は疑問に思いながらも職員室へ行き、出席を取る準備をして5年1組の教室へと向かったのだった。
~5年1組前~
鮫「ここか・・・」
私は「みんな、おはよう」と声を出して教室の扉を開いた。
そこにいたのは・・・
咲「せんせいがきたわよ!はるちゃんおきて!ごうれいのじゅんびを・・・」
陽「ねむいよぉ・・・」
咲「もう!だらしないんだから!」
柚「さあやちゃんそんなにおこると、からだにわるいよ・・・?」
和「おこってるときには、あまいものをたべるとおちつくわよ。」
水「いまそういうじょうきょうじゃねえだろ。」
奈「それにおかしありませんわよ?」
凛「あいらだいすきですっ。」
麗「あたしもすきだよ・・・」
環「うるっさいわね・・・あさっぱらからいちゃいちゃして・・・しりょうづくりのじゃまよ!」
麗「だまればか!」
嘉「けんかせえへんでよ。あさからきぶんわるなるわ。」
エ「コホ、コホ・・・・きもちわるい・・・」
姫「えれなくんだいじょうぶか?ほけんしついったほうがいいのだ。もしあれならわたしがいっしょにいってあげるのだ。」
鮫「なんだこれは・・・」
私は教室での光景に唖然としてしまった。
なぜなら、1組の生徒たちが小学生ぐらいになった状態になって目の前にいるのだから。
咲「はるちゃんがだめだからわたしがごうれいかけるわ!きりつ!れい!」
全「「「「「おはようございます!」」」」」
鮫「おはようみんな。少し聞きたいのだが・・・君たちって高校生じゃなかったか?」
奈「なにいってるんですの?」
麗「あたしたちはしょうがく5ねんせいよ。」
鮫「その割には喋り方とか幼くないか?」
環「あんたほんとさっきからなにいってるの?」
和「あたまうったんじゃないの・・・」
凛「さめがわせんせいどこかにあたまぶつけたんですか?」
姫「えれなくんよりせんせいをほけんしつにつれていったほうがいいかもしれないのだ。」
鮫「これはどういう事なんだ・・・それと凛世、小学校時代は小さかったんだな。」
凛「せんせいってせのたかさでおんなのこをはんだんするんですね・・・(蔑ずんだような目で見ながら)」
鮫「そんなに睨まなくてもいいだろ・・・」
私は疑問に思いながらも午前の授業の算数、社会、理科、音楽を行ったのだった。
そして昼休み・・・
鮫「何とか授業はこなせた・・・小学校の教員免許は持ってないのだが大丈夫だろうか。国語が無かったのだけが幸いだ。私にはあれを教えることはできない・・・」
その様子を見ながら、愛麗、凛世、奈摘の3人が話し合っている。
麗「ねえ・・・やっぱりさめがわせんせいなにかへんよ。」
凛「やっぱりあたまをぶつけてしまったんでしょうか。それにしてもさめがわせんせい・・・れでぃのわたしのことちいさいなんてほんとうにしつれいですっ!」
奈「そうともかぎりませんわ。『きおくそうしつ』かもしれませんの。」
麗「そこまでおおげさじゃないでしょ。もしそうならあたしたちのことすらわからなくなってるようなきがする。」
そこに咲彩たちもやってきて話し合いに加わった。
咲「あいらちゃんたちもせんせいのようすへんだとおもってたのね。」
水「たしかにきょうのさめがわおかしいよな。」
和「じゅぎょうもたどたどしいし・・・」
姫「いつもよりわかりにくかったようなきがするのだ。」
麗「さあやたちもそうおもってたんだ・・・やっぱりなにかおかしいわよね。」
咲「ただそうかんたんにききだすことなんてできないわよね・・・」
皆でききだす方法を考えていると保健室から苺瑠がエレナを連れて戻ってきた。
姫「いまもどったのだ。えれなくんはいまたいちょうがかいふくしたそうだ。」
エ「しんぱいかけてごめん・・・」
姫「それにしても・・・どうしたのだ。さっきからぜんいんでむずかしいかおをして・・・」
麗「ひめこはさめがわせんせいおかしいとおもわなかったの?」
姫「そういえばすこしおかしいようなきはしたのだ。ふだんならりんぜくんにあんなこといわないだろうし。」
咲「つぎのじゅぎょうがっかつだからすこしといただしてみようか。」
咲彩はこの場にいなかったメンバーにも協力を仰ぎ、全員で問いただすことにしたようだ。
次の授業は学活だった。私は当然ながら高校教師なので学活など経験がない。
鮫「さて・・・学活といっても何をやればいいのやら・・・」
咲「きょうはさめがわせんせいについてはなしあいたいとおもいます!」
鮫「私についてか?急になぜだ?」
奈「せんせいがへんだからにきまっているでしょう?」
凛「わたしのことちいさいっていいました・・・」
柚「なんかきょうはきょどうふしんだよね?」
水「だからぎだいにしようってアタシらでさっきはなしあったんだよ。」
咲「はるちゃんしかいをおねがい!」
陽「わかったよぉ~それじゃあきょうはさめがわせんせいのおかしさについてはなしあいまーす。みなさんのいけんをどうぞぉ~。」
凛「わたしのことちいさいっていいました!」
和「きょうはなんだかきょどうふしんだったわ。」
姫「じゅぎょうもわかりにくかったのだ。」
水「なんかきょういんとしてどうなんだろうってうたがうよな。」
生徒たちは次々と私の悪い部分を挙げていく。
鮫「(なんだ・・・人の悪い部分を突く・・・これが学活なのか・・・?)」
私は何がなんだかよく分からなくなってきてその場で倒れ、気絶してしまった。
鮫「・・・はっ!」
目が覚めた私は寝床から飛び起きた。
鮫「なんだ夢だったのか・・・そうだよな・・・あの子らが小学生の頃っていうと私はまだ10代だからな・・・」
そう自分を納得させると私は学校へ向かった。
私は学校に着くと、生徒たちに夢に見た内容を話してみた。
鮫「・・・とまあこんな夢を見たんだ。」
麗「鮫川先生ってロリコンだったの・・・」
凛「私のこと小さいって思ってたんですか。」
鮫「いや、凛世は今は大きいじゃないか。」
凛「・・・どこ見てるんですか!これは愛麗以外は触るの禁止です!」
愛は両腕で大きめの胸を覆い隠す。
嘉「鮫川先生も男やもんな。」
エ「見た目は女の子なのに・・・」
鮫「身長のことだ!胸とか見てない!嘉月たちも余計なこと言わなくていい!」
咲「まあ鮫川先生が私たちが小学生時代の夢を見たってことでいいんですよね。」
和「ふーん・・・夢って自分の願望を表してるって一説にあるけど。」
鮫「誤解されるようなこというな・・・」
水「小学校の担任の方がよかったのかよ・・・」
鮫「水萌、それは違うぞ・・・だが今の発言は確かに軽率だったな・・・すまん。」
奈「ただ、わたくしたちの小学校時代の夢を見たという事から考えますと、鮫川先生がこのクラスの担任になったのにも運命を感じますわね。」
環「まあ夢自体非科学的なものだし、そこまで意味もないと思うわよ?」
奈「深読みしすぎでしょうか?」
柚「だけど、鮫川先生の夢の話聞いてるとボクたちの小学校時代ととても似てる気がするよ。」
陽「確かにわたしも当時はよく寝てたなぁ~」
鮫「柚歌と陽姫は分かってくれるのか。ありがたい。」
ア「ワタシはいませんでしたか?」
櫻「話聞いてる限りだと自分もいなかったのかな。」
姫「2人は高校に入ってからこっちに来たのもあるし、それでいなかったのかもしれないのだ。」
麗「だけどその頃苺瑠って入院してなかったっけ?」
姫「確かにそうなのだ・・・夢って考えれば考えるほど奥が深くて壮大なものだな。」
鮫「皆からの意見感謝する。今後の皆との付き合い方の参考にさせてもらう。さて、今日の授業だが・・・」
私はそういうと、一旦この話を締めくくった。その後、授業をしている間にこんな考えが浮かんだ。
鮫「(それにしても不思議な夢を見たものだ・・・まあこれをきっかけに生徒たちと仲良くなれれば私はそれでいいけどな。)」
私は心の中でそう思ったのだった。