石原神社の夏祭り

夏休みの終盤。咲彩の父親が神主を務める石原神社では夏祭りが行われる。
この日を楽しみにしていた咲彩はまだ午後4時だというのに準備をしていた。
咲「少し早かったかな?」
咲彩はこの祭りに行くために用意した藍色の浴衣を纏っていた。普段はツインテールに結んでいる髪も今日はストレートヘアにしている。いつもの落ち着いた物腰とは逆に今日はどこか子供っぽい仕草が目立つ。それだけ祭りが好きなのだろう。
咲「みんな早く来ないかなっ!」
奈「張り切ってますわね。咲彩さん。」
そんな咲彩の後ろから声をかける人物がいた。
咲「なっちゃんにみなちゃん。それにいっちゃんも。早かったね。」
奈「咲彩さんがお祭り好きなのはわたくしよく知ってますから。」
水「この時期になると相変わらずテンション高けえなお前は。」
姫「我の浴衣どうだい。浴衣ドレス仕様なんだぞ。」
奈摘は髪型はツインテールのままだが、黄色の浴衣をまとっている。
苺瑠はピンク色の浴衣ドレスを着ている。かなり気に入っているようだ。
水萌だけはいつも通りの私服で来たようだ。
咲「はるちゃんとからっちゃんたちはまだ来ないのかな?」
水「あいつらのことだから来るとしたら祭りが始まる30分前じゃねえの。それにまだ4時30分だぜ?始まるの5時30分だから後30分は来ない気がするな。」
奈「咲彩さんが喜ぶかと思ってはやめに来たのですけど・・・もう少し遅くてもよかったのかもしれませんわ。」

そして他のメンバーを待つこと30分後・・・
柚「あ、みんな早いね。」
陽「遅くなってごめんね~」
柚歌と陽姫がやってきた。
柚歌はいつも通りの私服だが、陽姫は橙色の浴衣を着て、髪を頭頂部でまとめている。
咲「はるちゃんそれ似合ってるね。」
陽「そう?ありがと~。サイズが合うのがなかなかなくて大変だったんだよぉ~」
柚「陽姫ちゃん身長高いもんね・・・」
水「柚歌は私服できたのか。アタシと仲間だな。」
柚「ボクこういうのは苦手でさ・・・」
姫「我が言うのもなんだが、柚歌君もそういうの似合うと思うぞ?」
柚「そう・・・?ありがと苺瑠ちゃん。」
奈「これであとは愛麗さんたちだけですわね。」
水「ラニーも来てないな。」
ア「みなさん遅れてごめんなさいデス!」
そんな話をしているとラニーが走ってやってきた。白色のフリルが付いた浴衣を纏っており、いつもはアップヘアの髪にウェーブをかけて下ろしている。
ア「行きつけのサロンで髪のセットやってもらってたら時間かかっちゃって・・・」
奈「その浴衣丈がずいぶん短いような気がしますけど・・・」
ア「ハイ!最近はやりのミニスカ浴衣デス!衣装スタジオで嘉月タルしてきまシタ!」
姫「我のとお揃いなんだな。」
ア「この前読んだ本に非常識から新たなものが生まれるって書いてあったので試してみたんデス。」
咲「ミニスカの浴衣だって今では非常識なんかじゃないよ。」
ア「そうだったんですネ・・・まあいいデス!今日は楽しませてもらいマス!日本の愛日は初めてなので楽しみデス!」
初めてのお祭りに興奮しているのかラニーは元気にはしゃぎまわっている。
麗「あ、もうみんな来てるんだ。遅くなっちゃってごめん。」
凛「今年もとっても楽しめそうです。」
嘉「遅れてごめんなぁ。」
環「今年も屋台全制覇を目指す!お祭りってそのためにあるようなもんじゃん。」
エ「そんなに食べるの・・・」
和「石原神社のお祭りはすごいって聞いてたけど、ほんとに立派ね。」
水「やっと来たかお前ら。少し遅かったんじゃねえの。」
咲彩たちが待っていた最後の待ち人である愛麗たち6人が到着した。
愛麗と環輝はいつも通りの私服で来たようだ。
凛世は黒い浴衣を着て美しい黒髪ロングの髪をサイドに束ねている。
嘉月は大きなリボンを黄色の物に変えており、山吹色の浴衣を着ている。
エレナは猫耳帽子を脱いだ状態で水色の浴衣を着ている。手袋は外していない。
和琴は、いつもの三つ編みの髪型のままで、深緑色の浴衣を着ている。
咲「待ってたわよ!愛麗ちゃんたちようこそ!」
愛麗・愛・雪・香・エ・和「「「「「誰(なの)(ですか)(よ)(やの)(です)(かな)?」」」」」
咲「咲彩だよ!ほら!」
咲彩は髪の両端を掴んでいつもの髪型を作って見せる。
麗「ごめん・・・大人っぽいから気づかなかった。」
環「(アンは知ってたけどね。悪乗りってやつだし。)」
凛「神宿さんなんですか?髪下ろしてるのも素敵ですね。」
咲「りんちゃん分かってるじゃない。さすがは大和奈摘ね。この浴衣も今日のために新しくオーダーメイドで仕立ててもらったのよ。」
咲彩は一回転して浴衣の全体を見せる。
麗「この時期になると相変わらずテンション高いのね咲彩は。」
環「昔からだっけ?咲彩が祭り好きなのって。」
嘉「咲彩ちゃんの珍しい一面やから写真とっとこ。」
エ「浴衣って動きづらい・・・」
和「そのうち慣れるでしょ。あたしも始めて着たから変な感じ。それにしてもあたし、背高いし胸大きめだからあまり似合ってないなぁ・・・」
陽「そんなこといったらわたしだって似合わないってことになっちゃうよぉ。」
和「確かに・・・悪かったわ西園寺。」
環「そんなことよりさっさと出店回り行こう。アンお腹すいたし!」
麗「あんたは食うことしか頭にないのか。」
凛「愛麗、私と一緒に回りませんか?」
嘉「ウチもついて行ってええかな?」
エ「私も・・・」
麗「分かったわ。凛世、嘉月、レナちゃんも行こうか。咲彩、あんたたちもあたしたちと一緒に行く?」
咲「うん。私はみんなで回りたいからね。」

咲彩たちが屋台を回り始めて3分後、かき氷の屋台の前についた。
環「愛麗、今月厳しいからかき氷買って・・・」
麗「自分で買え。」
凛「凛世さん私このコーラ味というのを食べてみたいです!」
奈「わたくしもいただきますわ。メロン味で。」
嘉「そんならウチも。レモン味がええな。」
姫「我も食べるのだ。ピーチ味にしようか。」
エ「ブルーハワイがいい・・・」
麗「そんなにいっぺんに言われてもなぁ・・・咲彩、半分お願いできる?」
咲「いいよ。6人分も一気に持てないもんね。」
愛麗は咲彩と協力してかき氷を人数分買うと皆の所に戻ってきた。
咲「意外に人が多くて大変だったよ・・・」
環「愛麗、アンの分は・・・」
麗「あるわよ。あとでお金はもらうからね。」
環「はーい。分かってるわよ。」
水「かき氷買えたか?」
咲「みなちゃん!いないと思ったら・・・どこ行ってたの?」
水「わりいな。ラニーが綿あめ食いたいっていうから向かいの店に買いに行ってたんだよ。」
ア「ワタシが頼んだんデス・・・勝手に行動してごめんなサイ・・・」
咲「うーんそれなら・・・半分ずつに分かれて行動しない?皆まわりたいお店が違うだろうし・・・1時間後に花火があるからその時間になったらうちの境内に集合って事で。花火がよく見える場所に案内するから。」
こうして、咲彩たちはそれぞれ分かれて行動することになったのだった。

咲彩組 ~咲彩・奈摘・水萌・苺瑠・柚歌・陽姫・ラニー~
奈「愛麗さんたち大丈夫ですかね・・・?」
咲「愛麗ちゃんたちだって毎年来てるんだし心配いらないでしょ。」
水「そうだな。あいつらなら心配いらねーと思うぞ。」
奈「それもそうですわね。」
陽「柚歌ちゃん何か食べたい物ある~?」
柚「ええと・・・チョコバナナがいいかな。」
陽「分かったよぉ~買ってくるねえ~」
柚「ああ、陽姫ちゃん1人で行ったら危ないってば!」
チョコバナナの屋台に向かって走って行った陽姫を柚歌は慌てて追いかける。
水「待ってた方がいいよなアタシら。」
咲「そうだね。見失ったら大変だもの。」
ア「陽姫さんは行動的な一面もあるんデスね。」
奈「その通りですわね。」(むぐむぐ)
姫「奈摘君、何を食べているのだ?」
奈「屋台名物の焼きそばですわ。わたくしはこういう時しか食べられないので。」
水「お前いつの間に買ったんだよ・・・」
奈「陽姫さんと柚歌さんがチョコバナナがどうのこうの言っている時にこっそりと。」
咲「ほんと隙がないわね奈摘ちゃんは。でもうそういうところ・・・嫌いじゃないよ。」
奈「咲彩さん・・・」
ア「ワタシには関係のない話デス・・・」
水「咲彩、正妻はアタシだからな。」
咲「もちろんわかってるよみなちゃん。」
そんな会話をしていると人数分のチョコバナナを持った陽姫と柚歌が戻ってきた。
陽「買ってきたよぉ~」
柚「だから走ったら危ないって・・・はあ・・・疲れた。」
陽「人数分飼ってきたから今から配るねぇ~」
陽姫はメンバー全員にチョコバナナを配る。
咲「チョコバナナっていうよりバナナ食べること自体が久しぶりだわ私。」
陽「チョコバナナってチョコを舐めるように食べるのが美味しいんだよねぇ~」
柚「その食べ方はしたないからやめてよ・・・」
奈「そうですわ。汚らわしい物を食べてるような気分になってしまいますわ・・・」
水「祭りなのに下ネタっぽい話すんなよ。」
陽「そんなつもりじゃなかったのにぃ・・・」
咲「今の話を聞いてる限りはるちゃんは別に悪くないと思うけど。むしろたまちゃんが変に連想したからそっちにつながったんじゃない?」
柚「ボクのせいなの?それならごめん・・・」
ア「食べ方なんて人それぞれなんだからいいじゃないデスか。そんなことで言い争うなんて時間の無駄デス!」
姫「そうだな。我はバナナ大好きなのだ。それでいいじゃないか。」
ア「丸く収まってよかったデス!」
奈「そうですわね・・・それよりも咲彩さんそろそろ時間大丈夫ですか?」
咲「時間・・・?あ!らっちゃんたちと合流しないと!」
咲彩たちは慌しく待ち合わせ場所の神社の境内に向かうのだった。

愛麗組~愛麗・環輝・凛世・嘉月・エレナ・和琴~
麗「咲彩たち大丈夫かしら?」
環「ここ一応咲彩の家じゃん。迷うわけないだろうし平気っしょ?」
麗「まあそうだけど・・・」
凛「愛麗・・・あれ取れませんか?」
愛が指さす方には射的屋があった。その棚には愛麗がやっているミニ四駆と同じ会社が出しているマシン、シェイドブラックが置いてあった。
余談だが、愛麗たちのやっているミニ四駆は特殊なもので、ただ走らせる以外にも遊び方があるのだが・・・長くなるのでここでは書かないことにする。
麗「凛世ミニ四駆に興味あったっけ?」
凛「愛麗がやってみるの見てたら面白そうで。」
麗「うーん・・・ミニ四駆やるなら模型店で探したほうがいいような気がするけど。」
凛「私あの子が気になって・・・黒色で可愛いじゃないですか!」
麗「黒色の機体ならシェイドブラック以外にもいっぱいあるけど・・・この前新発売したブラックホールズの方が性能いいし。でも道具とかは模型屋で買えるし、骨組みやリモコンは他のパーツにも対応してるし・・・なにより凛世の頼みだもんね。分かったわ取ってあげる。」
凛「ありがとうございます!」
愛麗は凛世から受け取った金を店主に渡すと銃に弾を込めて、シェイドブラックのキットに狙いを定める。
麗「(あれを1発で落とすには計算上あそこを狙えば・・・)」
愛麗は計算して導き出した場所に向かって玉を撃った。シェイドブラックのキットは一撃で棚から落下した。
店「お嬢ちゃん上手いね。どうぞ。」
麗「いえ、ありがとうございます。」
店員は愛麗にシェイドブラックのキットを渡した。
麗「はい凛世。今度色々教えてあげるわ。」
凛「ありがとうございます!大切にしますね!」
凛世は笑顔でシェイドブラックのキットを受け取った。
環「ちょっと何いい雰囲気になってんの・・・それミニ四駆?凛世も始めるの?」
凛「はい。愛麗に教えてもらって。」
麗「嘉月やレナちゃんもやってるし、仲間が増えてうれしいわ。」
環「ちょ・・・嘉月とエレナもやってるの!?」
麗「うんまあ少し前にね。それに和琴もやってたはず。」
環「これでミニ四駆に手出してないのアンだけかぁ・・・」
嘉「愛麗ちゃんたち終わったん?」
エ「射的やっいてる時間長い・・・」
そこに嘉月とエレナが戻ってきた。屋台で買ったのかたくさんの食べ物を抱えている。
和「そんなに食べ物買ってどうしたのよ?」
エ「大勢で屋台回るのも面倒だから私が買った・・・」
嘉「レナちゃん今日5万円学園長から渡されたみたいでなぁ・・・」
エ「おじい様が遠慮するんじゃない楽しんできなさいっていうから受け取った・・・」
麗「相変わらずの金持ちっぷりね・・・みんな他にやりたいことある?無いなら咲彩たちとの待ち合わせ場所に向かわない?」
和「確かにこれだけの食べ物を持って屋台回るの大変だもんね。」
エ「屋台を回る手間を省くためにこれだけ買ったし・・・それに咲彩ちゃんたちも何か食べ物買ってきている可能性が高い・・・」
凛「私はもう大満足です!!!」
環「アンも。ってかもう疲れたし・・・」
麗「反対意見なしね。それじゃ待ち合わせ場所に行くわよ!」
祭を楽しんだ愛麗たちは咲彩から伝えられた待ち合わせ場所に向かうのだった。

~待ち合わせ場所~
先に待ち合わせ場所に到着したのは愛麗たちだった。
麗「咲彩たち遅いわね・・・」
凛「もうすぐ花火始まってしまいますよ。」
エ「多分もうすぐ来ると思う・・・ここ咲彩ちゃんの家・・・」
嘉「迷ったりしているってことは思うで。」
そこに咲彩たちのグループが走ってきた。
咲「ごめん遅くなっちゃった?」
麗「あたしたちも今来たところだから心配しなくていいわ。」
凛「え?私たちもう15分前に・・・むぐ!!」
和「だめよ夜光。余計なこと言うんじゃない。」
環「それよりも花火がよく見える新しいポイントってどこだし?」
エ「それに気になる・・・」
咲「ええと・・・それはね・・・」
その時、ドンと力強い音を立てて一発目の花火が上がる。
麗「咲彩が言ってた花火がよく見える場所って・・・」
咲「そ。ここ、つまり神社の境内のことを言ってたの。」
凛「綺愛麗ですね愛麗!」
エ「素敵・・・」
嘉「まさに夜空に咲く一輪の花やな。」
ア「やっぱり日本って素敵デス!」
水「小さいころから祭には来てるけどこの景色は何年たっても変わらないな。」
姫「変わってるところもあるだろ。年々花火が綺愛麗になっているのだ。」
奈「苺瑠さんいい所に目をつけてますわね。」
花火の感想を口々に言うメンバーたち。
咲「(また来年も皆で花火を見れるといいなあ・・・)」
咲彩はそう思いながら夜空に打ちあがる花火を見つめるのだった。