水晶学園の地下のとある1室。そこで1人の女性が1組を監視していた。
?「1組・・・いつ見ても腹がたつ・・・」
?「・・・本当にこれ実行するんですか?」
?「そうよ・・・1組なんか解体されればいい・・・それで全員やさぐれて社会のゴミにでもなってしまえばいいのよ!あっはっは!」
地下の防音加工された部屋に女の笑い声が響いた。
同じ日の晩・・・生泉愛麗はスーパーでの買い物を終え、自宅に向かっていた。
麗「はぁ・・・遅くなっちゃった。じいちゃんも楓も怒ってるかな・・・?」
愛麗は小走りで裏路地を通り自宅へ急ぐ。その時だった。
?「生泉愛麗・・・悪いがここで死んでもらう!」
麗「誰っ!?」
愛麗がそう言った瞬間、黒い影が彼女の頭上にとびかかり、鉄パイプを振り下ろしてきた。
愛麗は避けきれず、頭を守ろうと庇った左腕に大きなダメージを受けてしまう。
麗「うっ・・・腕が・・・」
愛麗は痛む腕を抑えながら辺りを見回した。だがそこには誰もいなかった。
麗「痛っ・・・早く・・・帰らないと・・・」
愛麗はその後何とか家に着いたが祖父に言われ、その晩のうちに救急病院へ行って腕の手当てをした。
次の日、愛麗は痛む腕を引きずりながら学校へ来た。
麗「みんなおはよ・・・痛っ・・・」
凛「愛麗!?どうしたんですかその腕!?」
凛世が驚くの無理はない。愛麗は腕に包帯を巻き、腕を首から布で吊っているのだから。
麗「昨日変な奴に襲われてさ・・・一応軽症だけど念のためこんな感じで保護してるの。」
環「愛麗もやられたんだ・・・」
奈「奇妙ですわね・・・」
麗「あたしもってどういうことよ?」
和「昨日雷久保の所にメール来たらしいんだけど鷲宮も同じ目にあったらしいのよね。」
麗「レナちゃんも!?」
嘉「レナちゃんは足をやられたらしいで。しばらく車椅子で登校する言うてたわ。」
環「それと・・・レナちゃんのメールに犯人と思われる人の写真が添付されてたんだけど・・・」
環輝は自分のスマートフォンを愛麗に見せる。その写真に写っていたのは・・・
麗「これって・・・咲彩!?」
愛麗が驚くのも無理はない。その写真に写っていたのは幼馴染でクラスメートの優等生神宿咲彩だったのだから。
麗「嘘よね・・・何かの間違いよね?」
奈「わたくしたち長い付き合いですから、こんなことするような人ではないと思うのですが・・・」
エ「間違いってことは・・・ないと思う・・・」
そこでエレナが教室に入ってきた。やはり言った通り車椅子に乗っている。
凛「鷲宮さん!」
環「ここまで一人で来るの大変だったんじゃないの?」
エ「この学校にはエレベータあるし・・・この車椅子はおじい様が開発した電動だから問題ない・・・それに学校までは使用人さんに車で送ってもらったから・・・」
嘉「あの写真、ホンマに間違いないん?」
エ「その写真は相手の目くらましになるかと思ってフラッシュ炊いて撮影した物なんだけど・・・画面を見てみたら咲彩ちゃんだった・・・私だって驚いた・・・」
凛「ということは・・・生泉さんと鷲宮さんを襲った相手は・・・」
その時、教室に立屋敷苺瑠が入ってきた。
姫「おい環輝君!貴様なんてことをしてくれたのだ!」
環「急に何怒ってんの!意味わかんないし!」
姫「そうか・・・ならこれは何なんだよ?」
苺瑠は電子基板のようなものを環輝に見せる。
環「あ!それアンが今開発してる新型パソコンの基盤!?」
姫「我は道に落ちてたこれを踏みつけて転んだのだ!また頭われたらどうしてくれるのだ!」
環「踏んだ!?ちょっと苺瑠!アンの研究台無しにする気!?ってかどうやってその基盤持ち出したんだし!私の研究室に鍵付きで保管してたのにいいいい!ええと・・・よかった、はんだ付けした部品は無事じゃん・・・」
姫「よかったじゃないのだ!謝罪しろ!」
環「そんなこと言われてもこの基盤は昨日も研究室で厳重に管理してたから知ったことじゃないし!」
環輝と苺瑠が言い合っているその時、咲彩が教室に入ってきた。
咲「みんなおはよう・・・どうしたの?そんな怖い顔して・・・」
麗「咲彩・・・昨日の夜何してたの?」
咲「急にどうしたの?」
エ「咲彩ちゃん私たち襲ったよね・・・」
エレナはさっきの写真を咲彩に見せた。
咲「え!?知らないわよ私!?らっちゃんやレナちゃんを殴るなんてできないよ・・・」
麗「でもさ・・・この写真に写ってんのあんただよね?」
エ「嘘つかないで・・・私そういうの嫌い・・・」
すると今度はめったに怒らない陽姫が教室に飛び込んできた。
陽「ひどいよ嘉月ちゃん!わたしの家庭菜園のメロン勝手に食べたでしょ!!!あのメロン5年前からずっと育てててやっと実が付いたのに!!!」
嘉「え?ウチ知らへんよ・・・メロンなんか3年ぐらい食べてへんし・・・」
陽「でも防犯カメラに嘉月ちゃんが映ってたの!!!」
鮫「お前ら朝から騒いで何やってるんだよ・・・」
教室には長会の連絡のために鮫川先生が入ってきていた。愛麗たちはこれまであったことを鮫川先生に説明した。
鮫「ふむ・・・話は大体理解した。だが、写っていただの置いてあっただので簡単に疑うのは良くない。それに君たちは小学校以来からの付き合いが多いのだから本当は自分がやられたこと、やったことを信じたくないだろ。」
麗「確かに・・・」
咲「そうだけど・・・」
鮫「この件については私の方でも調査してみる。体にダメージを負ったエレナと愛麗と苺瑠には悪いが・・・まだ証拠もそろっていない。だからこの件で騒ぐのは辞めるんだ。今の状態では何も解決しないんだからな。」
凛「確かにそうですよね・・・」
和「いったん冷静になったほうがいいのかもね。」
鮫川先生の説得のおかげでこの日は何とか落ち着いた。
だが、それと同時に大事なことを見落としていた部分もあったのだが・・・
次の日・・・鮫川先生の予想に反して1組は地獄絵図のようになっていた・・・
凛「織田倉さんですよね!?私の髪の毛2センチも勝手に切ったのは!最低です!私の艶やかで長く美しい黒髪に鋏を立てたことは永遠の罪です!」
水「知らねえよ!凛世だってアタシのワンピース何枚かボロボロにした癖に!」
柚「奈摘ちゃんだよね!ボクが女の子っぽい格好している写真をネットにばら撒いたのって!」
奈「知りませんわ!柚歌さんだってわたくしのWebマネーに不正アクセスして勝手に使いましたわよね!貴方の名前で不正アクセスの記録が残ってますわよ!」
ア「和琴サン酷いデス!ワタシがサンに貰ったバレッタ壊すなんて最低デス!そんなに恨みがあるんデスか!?」
和「何言ってんの?藤金だって、あたし愛用の果物ナイフ奪ったわよね!その腰に刺さっている奴よ!」
なぜなら昨日被害を受けていなかったメンバーもそれぞれ被害を被っていたのだから・・・
鮫「これは落ち着けって言っても無理だよなぁ・・・」
鮫川先生は1時間目が自分の授業だったこともあってその時間を使って学級会を開くことにした。
鮫「それで、全員なにかしらの被害にあったと・・・」
1組は完全に咲彩派と愛麗派に真っ二つに割れてしまっていた。
咲彩派が咲彩、水萌、苺瑠、柚歌、陽姫、ラニーの6人、
愛麗派が愛麗、凛世、環輝、奈摘、嘉月、エレナ、和琴の7人である。
普段は冷静なメンバーも感情的になっており、話がなかなか進まない状態である。
咲「なんでこんなことになっちゃったんだろ・・・私何もしてないのに・・・」
環「そもそも咲彩が愛麗とレナちゃんを襲ったりしなければこんなことにはならなかったんじゃないの!?」
水「咲彩を責めんじゃねーよ!お前らにも落ち度があったんだろ!」
和「織田倉、落ち度ってもんは悪いことした時にしか発生しないのよ。その理屈じゃ感情的な奴と何も変わんないわよ!」
姫「確かに落ち度はないだろうな。「人から見える」部分の落ち度はな!」
奈「苺瑠さんはわたくしたちが裏で何かしていたとでもいうんですの!?」
柚「苺瑠ちゃんの言うことは十分あり得ると思うよ。特に怪しい漫画家やってる奈摘ちゃんなんか一番怪しいよ!」
嘉「何やってるかなんて関係ないやん!変な理由こじつけるのやめいや!」
陽「たまちゃんを責めないでよッ!嘉月ちゃんはわたしのメロン返してッ!」
エ「メロンに固執しすぎ・・・さすがにしつこい・・・」
ア「レナサンはそうやって暗く喋ってるから周りから反感を買ったのではないデスか!?」
凛「鷲宮さんは悪い人ではありません!そういう風に考えるから背が高くならないんですよ!?」
柚「愛ちゃんさ、この際髪の毛切っちゃえば?ショートの自分から見ると貞子みたいだよ?」
麗「榎波・・・何人の彼女の髪型に口出してんの?お前一発殴ってやろうか?」
鮫「お前ら!いがみ合っていても話は進まないぞ。まずはこの件の状況を整理しよう。」
たしかエレナと愛麗が通り魔に襲われたところが始まりでその通り魔が咲彩だったってことだよな。なあエレナ、その時撮ったっていう写真を少し見せてくれないか。」
エ「これです・・・」
エレナが自分のスマートフォンを鮫川先生に差し出した。
鮫「ふむ・・・なあみんな。こいつ咲彩じゃないだろ。」
全「「「「「え!?」」」」」
鮫「確かにこの写真で鉄パイプを持っている人物は咲彩にそっくりだ・・・つまり、咲彩に変装している別の何者かだ!」
麗「鮫川先生なんでそう言えるの?それが咲彩じゃないっていう証拠は・・・」
鮫「よく見ればわかる。こいつは咲彩より胸板が薄い。咲彩の胸が大きいのは見てるからわかるだろ。環輝、今パソコン持ってるか?この写真の変装してる人物をアップで見れるようにしてくれ。」
環「りょーかい。」
環輝は小型のパソコンを取出し、写真を読み込むと咲彩らしき人物が拡大してよく見えるように加工した。
環「これでどう?」
麗「ほんとだ・・・」
エ「よく見てみると咲彩ちゃんじゃない・・・」
鮫「だろ?それによく考えて見ろ。お前らは小学校からの幼馴染。10年近い付き合いなのに、今更になって誰かを蹴落とそうなんて考えるのか?愛麗にエレナ。2人は咲彩にこれまで何か嫌がらせとかされたのか?」
麗「されてないけど・・・」
エ「私も・・・逆に私の手助けよくしてくれる・・・」
鮫「そうだろう。それと私は咲彩に良く体格が似てるが胸が薄い人物に心当たりがある。」
咲「それって・・・」
麗「誰なの?」
鮫「それはな・・・」
鮫川先生は皆に分かりやすいようにこの事件の推論を説明した。
そして、その人物の弱点と言えるある人物に連絡し、水晶学園の地下に向かった。
再び水晶学園の地下にある一室・・・この前の女が笑いながら荒れる1組の映像を見ていた。
?「ふふふ・・・醜い・・・醜くて素晴らしいわ!!!」
ユ「これが・・・これが先生の望んだ1組なんですか・・・?」
奏「そんな・・・櫻子さん・・・」
?「そうよ・・・あのクラスが崩壊するまであと少・・・」
鮫「そこまでだ。」
?「その声は・・・鮫川君!?」
女が後ろを振り向くと、そこには鮫川先生と1組の生徒たち全員が立っていた。
鮫「あなたに信頼して2組の後任を任せたのは間違いだったか・・・先輩とはいえ私の生徒に怪我をさせた以上、もう逃げることはできませんよ・・・2組担任、藤沢理乃先生。」
藤沢理乃先生。1年2組の担任であり、もともと1年2組の担任をしていた鮫川先生の後継者である。
担当科目は家庭科。生徒に厳しい物言いをすることが多く1年所属の教員の中では最も人気が薄い。
理「私がやったという証拠でもあるのかしら?この部屋は学園長が作ってくれた休息用の地下スペース。私がここにいるのは何とでもいえるでしょ?」
鮫「簡単です。貴方はうちの咲彩と同じ身長163cmで、髪型さえ合わせれば胸以外の身なりはそっくりです。」
理「それだけで貴方たちに危害を加える理由にはならないと思うけど?」
鮫「貴方は、まだ2組の副担任だった頃によく、1組を潰したいと言ってましたよね?凛世のことを色目を使ってるだけの清楚ビッチと言ったり、奈摘のことを漫画ばかり描いてる社会不適合者のゴミと言ったり・・・」
凛「そんなこと言ってたんですか!?」
奈「貴方、それでよく教員なんか勤まりましたわね・・・」
鮫「それに、貴方の机から咲彩の髪型を催したウィッグとふだん着ているのと同じデザインの服が出てきたのが何よりの証拠だ!」
理「ちっ・・・その通りよ。私が全部やりました。
神宿に変装して生泉と鷲宮を襲って、織田倉のワンピースボロボロにして、夜光の髪の毛少し切って、花蜜の研究している基盤を盗んで立屋敷に踏ませるようにして、天宮城のネットマネーに不正アクセスして、色部が可愛い格好してる写真をネットにばら撒いて、藤金のバレッタ壊して、榎波のプレゼントをスリして捨てましたよーだ。」
鮫「なんでこんなことをしたんだ・・・?」
理「仲良くやってるあんたたちを見てむかついたから。」
鮫「陽姫のメロンの件はどうやったんだ・・・?」
理「それは6組の不良共に雷久保に似てるのがいたから変装させて西園寺の家に忍び込ませてメロンを食べてもらったわ。」
鮫「・・・貴方はそれでも教育者か!」
理「勝手に絶望してればいいでしょ。鮫川君は何もわかってない。生徒なんてきつく叱っておけば、なんでも言うこと聞くのよ?信頼関係なんていらないわよ。」
?「何もわかっていないのはあなたの方よ。理乃ちゃん。」
理「その声・・・姉さん!?」
声の主は藤沢あかり。理乃の姉である。理乃と同じで家庭科の教員である。それと妹より若く見える。
鮫「この学校での家庭科教師はあなただけ。だから後任が当然必要になってくるだろう。私から直々に頼んで水晶学園に転任してもらうことになったんですよ。」
理「ちっ・・・佐々木、宇三美。私は逃げるから、あんたたちでこいつら全員食い止めなさい。」
ユ「分かりました・・・」
奏「承知・・・」
鮫「あの子たちは・・・2組の・・・」
櫻「ユリンにかなちん・・・」
ア「知り合いデスか?」
櫻「うん・・・自分がまだ2組にいた頃の友達・・・」
麗「それならうかつに攻撃できないじゃない。」
理「それじゃ、幼馴染とはいえすぐ喧嘩してばかりの1組の皆さん、私は逃げるからねー」
あ「逃がさないわよ?」
逃げようとする理乃の前方にいつの間にかあかりが回り込んでいた。
理「姉さ・・・ぐふっ・・・」
あかりは理乃の首根っこを掴むと、一発腹部に軽い打撃を与えた。
鮫「あかりさん、藤沢先生は・・・」
あ「大丈夫、少し動けない程度に殴っただけだから。」
それと同時にユリアと奏絵の洗脳が解けて正気に戻る。
ユ「あれ・・・私たちどうしてたの・・・」
奏「あら、櫻子さんじゃないですか。こんなところで何してるんですか?」
柚「ユリン、かなちん、2人は藤沢先生に操られてたんだよ。」
ユ「私としたことが・・・」
奏「そういえば藤沢先生が襲い掛かってくる所まで覚えていたのですが、それ以降の記憶がないですね。」
柚「2人とも怪我なくてよかった・・・」
鮫「さて・・・藤沢先生。なんでこんなことをしたんですか?」
理「羨ましかったのよ・・・羨ましかったのよ!私より後輩の鮫川くんが女子生徒たちと仲良くやっているのが!」
あ「それだけなの・・・?」
理「ほかに何があるっていうのよ!?」
あ「それだけで愛麗や鷲宮さんに骨折レベルのけがを負わせて、西園寺さんたちの大切なものを奪ったり壊したりわけ!?おまけに自分の受け持っている生徒だっていうだけで佐々木さんや宇三美さんを洗脳したりして!特に鷲宮さんは体も弱いのに、こんな怪我負わせて二度と歩けなくでもなったりしたらどうするのよ!?」
理「知ったこっちゃないわ。生徒は使い捨て。これが私の中の常識だもの・・・」
鮫「最悪だな・・・さすがに私でも引くレベルだ・・・」
?「まったく、非常に残念じゃよ。藤沢先生。」
理「その声は・・・学園長!?」
エ「おじい様・・・」
騒ぎを聞きつけた学園長が部屋に入ってきた。
学園長「藤沢先生・・・わしの宝物ともいえる孫娘を足が動かなくなるまで殴ったこと・・・正直わしが今ここで君の足を歩けなくなるまで殴りたいところだ。
だが、それでは教育者としてのモラルに欠けてしまう・・・君は本日をもって水晶学園高等部を解雇とする。教員免許も返納してもらおうか。」
理「そうはいかないわよッ!」
理乃はあかりを振り払うと、隠し持っていた銃を持ち出した。
理「学園長の孫だか何だか知らないけど、その宝物は奪ってやるわ!」
理乃は銃をエレナに向けて2発発砲した。が・・・上手く狙いを定めなかったせいか銃弾が曲がり、近くにいた咲彩と愛麗に一発ずつ命中した。銃弾を受けた2人はその場に倒れこむ。
鮫「咲彩!愛麗!大丈夫か!?」
あ「念のため救急車を呼ぶわ。」
麗「あたしは何とか・・・これが守ってくれたみたい。」
胸ポケットに大切にしまっていた純金の懐中時計が銃弾から守ってくれたようである。
凛「愛麗、大丈夫ですか!?」
麗「うん・・・だけど大切な懐中時計に傷が・・・」
凛「ええと・・・大丈夫ですよ。少しへこんだだけで済んでます。」
麗「そう・・・よかった。」
しかし、一方で咲彩の方は腹部に命中したようで、出血を必死に抑えている。
幸い、銃弾はそこまで深く刺さっていないようで重症までは至らなかったようだが・・・
咲「うう・・・私ここで死んじゃうの・・・」
水「なんで弱気になってんだよ・・・」
咲「だってこんなに血が溢れてる・・・怖いよ・・・」
水「このまま出血が続くと命に係わる。アタシが応急処置をする。少し痛いけど耐えろよな。」
水萌は自分のポケットから応急処置セットを取出し、咲彩に応急処置を施していった。
彩「水萌さんそういうの持ち歩いてたんですね。」
水「ああ、体育とかで誰かが怪我した時すぐ使えるように持ってたんだ。役に立ってよかったぜ。」
咲「みずちゃん・・・痛っ・・・」
水「やっぱり消毒液はしみるよな・・・なんで咲彩がこんなことに・・・」
理「ふふ・・・いい気味。神宿なんかそのまま死んじゃえばいいわ。」
咲「藤沢先生・・・なんでそんなこと言うんですか・・・」
水「咲彩、あんまりしゃべるな。出血がひどくなる。おい先生・・・いや、藤沢!アタシの大切な幼馴染・・・咲彩が死んだら一生許さないからな!」
理「幼馴染ねえ・・・くだらないわ。」
鮫「藤沢先生・・・自分が何をしたか分かってるのか!」
理「元はと言えば鮫川くんが生徒と仲良く楽しくしているのが悪いんでしょ・・・」
鮫「ダメだな・・・話がまるで通じていない・・・咲彩、お前が撃たれてしまったのはここに連れてきた私の不覚だった・・・すまない・・・」
咲「先生は・・・悪くない・・・」
水「血が出るから喋るなって!」
嘉「藤沢先生ってホンマにこんな人やったんか・・・絶望したわ・・・」
理「私の勝利だわ!あっはっははははっははは!!!」
藤沢先生は狂ったような笑い声を警察が到着するまであげていた。
しばらくすると警察と救急車が到着し、咲彩は担架に乗せられて病院へ搬送、藤沢先生は警察に連行された。
その後、咲彩は無事病院に搬送され手術を受けた3日後に退院した。
咲彩の腹部にささった銃弾は、傷は浅かったものの子宮の近くで止まっており、
あと少しでも深くささっていたら摘出はまぬがれなかったという。
愛麗の方は懐中時計が守ってくれたこともあり、その日のうちに退院できた。
藤沢先生は当然ながら逮捕である。教員免許も剥奪されたようだ。
獄中で自分の容疑を否定しているようだが目撃者は大勢おり、どんな弁護士でも弁解は無理であろう。
ちなみにこのことに関しての動機はかつて自らが学校を追害されたことによる復讐だったらしい。
また、嘉月に変装して陽姫のメロンを勝手に食べた6組の不良は停学処分となった。
そして2組の担任は姉のあかり先生に引き継がれることとなった。
季節が季節なので担任の変化はちょうどよかったのかもしれない。
なぜなら水晶学園にクラス替えというものは存在しないのだから・・・
そして、事件から2週間がたったある日。鮫川先生は今日も1組で授業をしていた。
エレナも再び歩けるようになり、咲彩と愛麗の傷もすっかり完治していた。
鮫「さて、今日は前回の三角関数の所から始めようか・・・」
咲「鮫川先生、今日は授業の前に伝えたいことがあるのですがよろしいでしょうか?」
鮫「うん?どうしたんだ?」
咲「この前の事件で銃弾を受けた時、私のお見舞いに頻繁に着てくれてありがとうございました。」
麗「鮫川先生みたいな生徒思いのいい先生に出会えてあたし、本当に良かったと思う。」
全「「「「「そして、来年もよろしくお願いします!」」」」」
鮫「ああ・・・私の方こそ来年もよろしくな。それじゃ、授業を始めるぞ。」
固い絆で結ばれた鮫川先生と1組生徒の穏やかな日常はこれからも続いていくだろう・・・