小5のときの物語

これは愛麗たちが小学5年生の時のお話である。

騎ノ風市の北西には私立騎ノ風小学校という小学校がある。咲彩たちは小学生時代この学校に通学していた。今日は咲彩たちが在籍している5年1組に転校性がやってきたようだ。
凛「愛麗、転校生どんな方でしょうかね?」
麗「別に誰でもいいわ・・・あたしは凛世が帰ってきてくれたことが嬉しいから。」
咲「らっちゃんとりんちゃん相変わらず仲がいいね。」
水「お、先生来るぞ。」
そんな話をしていると5年1組の担任が入ってきた。担任と一緒に1人の女の子も入ってくる。
担「はい、静かに。今日は新しい仲間を紹介します。はい、自己紹介をお願い。」
和「眞武和琴です。前は県北部の深谷市に住んでいました。1か月ほどで別の所に引っ越す予定ですので少しの間ですけどよろしくお願いします。」
黒板に名前を書いて自己紹介した少女・・・和琴は少しすました感じの美人であった。三つ編みお下げが特徴で、小5にしては身長も160cm近くあるように見える長身だ。朝の会の終了後、彼女は転校生の約束と言わんばかりにこのクラスの厄介者に早速声をかけられた。
?「ねえ眞武さん。私の下僕にならない?下僕になってくれたら待遇は良くするわよ?」
和「あんた誰よ。仲良くなりたいならそっちが先に名乗りなさいよ。」
典「あらごめんなさい。私は泥小路典子。騎ノ風市の土地をほとんど所有している泥小路家の跡取り候補なの。それと私の下僕たちよ。」
この女子生徒は泥小路典子。かつて騎ノ風市の80%の領地を支配していた泥小路家の子息である。天宮城家の奈摘や西園寺家の陽姫など身分が高い所の子供とは折り合いが悪い。手下と思われる女子生徒を4人ほどひきつれておりエラそうな目線で和琴の方を見ている。
典「ね~え~私の下僕になってよ?」
和「あ、あたしそう言う金のつながりでできている奴は要らないから。それになによ下僕って・・・泥小路だか袋小路だか知らないけど生意気言ってんじゃないわよ。」
典「何よ!生泉たちみたいな事ばかり言って!!!あんたもキチガイなんでしょ!!!」
和「人が自分の指示に従わないならキチガイ扱いか・・・あんたって可哀そうな奴ね。」
そう言うと和琴はその場から立ち去った。
典「キイイイイイ!!!なんなのよあいつ!」
下1「典子様落ち着いてください・・・」
典「絶対に復讐してやるわ!!!」
典子は和琴に対して自分勝手な復讐心を燃やすのだった。

和琴は典子たちの元を離れると、愛麗と咲彩を中心に集まっているグループに向かった。
和「生泉ってあんた?」
麗「そうだけど・・・何よ急に。」
咲「らっちゃんだめだよそんなに冷たくしたら・・・」
和「あんたは神宿よね。大丈夫よあたしはそんなことぐらいで目くじら立てたりしないから。」
嘉「それにしてもウチらの所に来るなんて変わりもんやなぁ。」
和「あんたは雷久保ね。変わり者ってのはあたしにとってはほめ言葉よ。」
凛「眞武さん今さっきまで泥小路さんたちとお喋りしてましたよね?何か勧誘でもされたんですか・・・」
和「あんたは夜光ね。されたわよもちろん。下僕になりなさいって言われたわ・・・どこの奴隷アニメの世界だって思ったわよ。」
環「泥小路は威張ってばかりだからね・・・アンはあいつ嫌い。」
柚「泥小路さんについている4人もなんであんなことしているんだか・・・」
陽「脅されているのかもしれないねぇ・・・」
和「あんたたちは花蜜に色部に西園寺ね。西園寺、脅されているってどういうこと?」
陽「うん・・・あくまでわたしの推測にすぎないんだけど、例えば4人のお父さんが泥小路さんの所の社員で社長の娘である泥小路さんに逆らえないとかさぁ・・・」
姫「それはあるかもしれないな・・・漫画だけの世界だと思っていたが今はそうでもないようなのだ。」
和「あんたは・・・って、あんたまさか立屋敷苺瑠!?」
姫「む、貴様は・・・まさかあの和琴なのか!?ここであったが100年目だ!我と勝負・・・」
和「ねえ苺瑠、そう言うの今は辞めない?祖先の因愛があるとはいえもうその血は薄いと思うのよ・・・」
姫「やめろって言われてすんなりとやめられるものでもないだろ。」
和「そうかもしんないけどさ、この国はもう鎖国は解放されて明治維新で他国の文化を取り入れるようになったじゃない。
いつまで幕末のことを引きずってんのよ。もう100年以上たってるじゃない・・・」
姫「それもそうかもしれないな・・・だけど我は勇さんへの尊敬を捨てることはできないのだ。だからたまには勝負してくれよ。」
和「なんでそうなるのよ・・・それよりも、あの泥小路を何とかしたほうがいいんじゃないの。このままじゃ幅きかせて威張り散らし続けるわよ。」
咲「うん・・・確かにそうなんだけどね、泥小路さんに逆らうと騎ノ風市から出ていくことを余儀なくされるのよ・・・前に泥小路さんに直談判したクラスメイトがいたんだけど、泥小路さんにいじめを受けて精神おかしくして転校しちゃったの。」
和「それにしても、事前に調べたんだけど騎ノ風の土地って西園寺家と鷲宮家がほぼ掌握してるんじゃなかったの。」
陽「それが・・・」
エ「急に土地奪われた・・・ありえない・・・」
和「あんたが鷲宮ね。西園寺に鷲宮、あんたたちの家が所有していた土地を奪われた理由ってわかる?」
陽「わたしは分からないよ・・・西園寺家の実家には今は近づくなって親に言われていて・・・」
エ「私は知ってる・・・泥小路家はたった一代で財を築いたいわゆる成金・・・おまけに悪いうわさもたくさん持っている・・・他社の社長を追いつめて、自分の会社の傘下にして企業を大きくしたとか・・・おじい様は私に危害が及ばないように一時的に持っている土地を泥小路に譲ったって言ってた・・・」
和「だけど、結果的には鷲宮が苦しむようになっちゃってるわよね・・・」
エ「うん・・・」
和「それを見込んであんたたち11人にお願いがあるの。泥小路家の失脚を手伝ってほしいのよ。」
環「手伝うって言ったって・・・成金とはいえ金持ちの失脚なんてどうやるんだし。」
和「誰かパソコンできる奴いる?パスワードの突破とかそういうセキュリティ面や内部面に詳しい奴がいいんだけど。」
環「ならアンにお任せね。これでもハッカーとして活動したこともあるし。っていうか・・・金持ちの失脚させる程度のことなら前にやったことあるから任せて。」
和「それなら話が速いわね。それじゃ、花蜜は泥小路コンツェルンのマザーコンピューターをハッキングして奴らの悪行をばらして。おそらく何かしら見つかるはずだから。それと・・・天宮城に少しお願いがあるんだけど。」
奈「なんですの。」
和「あんたネット詳しいって話を聞いてるんだけど、この書類の内容をこのIDとパスワードで入れるSNSに書き込んで。一応わかりやすくまとめといたけどあんたの言葉で書いちゃっていいから。」
和琴は奈摘に泥小路家のことをまとめた資料とSNSのIDとパスワードが書かれた紙を渡した。
奈「それぐらいでよければやっておきますわ。」
和「ほかの皆は明日1日だけあたしに協力して。」
麗「何をやるってのよ・・・」
和「証拠集めよ。あいつを失脚させるためのね。」

次の日。泥小路はいつものように威張りくさっていた。
典「織田倉ってヤクザの子孫なのよね?こんなお嬢様学校に来てて恥ずかしくないの?」
水「うるさいな・・・うちは和菓子屋だしアタシの親族にヤクザなんていないっつうの・・・」
典「だ・け・ど、先祖がヤクザだったかもしれないでしょ?ヤクザヤクザ~!」
水「お前いい加減に・・・」
典「きゃー!織田倉に暴力されるぅ~!!!へんたーい!!!」
水「この・・・!」
典「いい気味だわぁ~!じゃ、私はこれでねぇ~」

典「ねえ鷲宮~!私の家の資産とあなたの家の資産比べっこしない~?」
エ「別に資産で勝負するつもりはない・・・」
典「へぇ~。なら私の勝ちね。だって私高級外車と不動産持ってるもの。特に車はうちの敷地内で乗り放題よ!」
エ「車の運転は免許を取らないと危ない・・・」
典「敷地内なら無免許運転していいのよ。そんなことも知らないなんて鷲宮は馬鹿ね。」
エ「・・・」
典「驚いて何も言い返せないって感じねぇ~。それじゃーね~!」
エ「(あきれて何も言えない・・・)」

典「夜光~!」
典子は愛に声をかけた瞬間、わざとらしくの髪をわしづかみにする。
凛「何するんですか!?人の髪に勝手に触らないでください!」
典「こんなギトギトの髪の毛伸ばしてて汚らしいね。」
凛「ギトギトってなんですか!失礼な子・・・」
典「それとさ、そんなに体小さくて生きてて楽しい?」
凛「私はまだ成長途中なんです。」
典「ん~?今の時代に成長してなきゃ将来に見込みないね。夜光はいずれチビで貧乳の童顔娘になると思うよ。」
凛「貴方だって成長が今のまま止まる可能性だってあるんですよ・・・」
典「私はもう身長は150cmあるし、問題ないわね。あんたったら小さすぎて・・・み・じ・め。アハハハハハハハハ!!!」
凛「(本当につまらない人・・・救いようがないですね・・・)」
今日も泥小路は言いたい放題やり放題である。しかし彼女は気づいていなかった。
和「何とか全部録音できたわね・・・」
この悪行が物陰に隠れていた和琴によって録音されていたことを・・・

和「みんな協力ありがとう。これで証拠はすべてそろったわ。天宮城と花蜜は例の件どうなってる?」
環「ハッキング完了したからすでにネットに悪行をばら撒いてあるし。URLはここじゃんね。」
和琴は自分の携帯電話から環輝が作ったと思われるサイトを見てみる。
そこには「泥小路家の闇!脅しでのし上がった最低の経営者」というタイトルのニュースが載っていた。
奈「わたくしも。ただ、このSNS炎上しているようなのでこの件が終わったらすぐに消した方がいいかもしれませんわ。」
和琴は奈摘の書いたSNSも見てみる。そこはすでにコメント数が1万件を超え、泥小路家を叩く人が多々いた。
和「・・・すごいわねあんたたち。」
麗「まあこいつらはパソコンのプロと執筆のプロだから。」
奈「わたくしは正確に言いますと漫画のプロですわ。」
和「今気づいたけどあんたたちって何かしら得意分野があるのね。あたしもそうだから居心地いいわ。できればずっとここに住みたいわね・・・」
咲「この騎ノ風市はとっても快適だよ。ことちゃんにも会うと思うからぜひ住んでよ。」
柚「だけど和琴ちゃんって1か月でまた転校するんじゃ・・・」
和「まあそうね。だけどあんたたちといられて楽しいわ。こんな気持ち初めてってやつかしらね。」
嘉「そういえばさっきあたしもプロって言うてたけど和琴ちゃんは何のプロなん?」
和「あたし?あたしはね、心理学とカウンセリングのプロよ。」
水「心理学ってなんだ?」
和「分かりやすくいえば心や精神に関係している学問よ。泥小路の悪口を録音したのもあいつを精神的に追い詰めるため。」
奈「そこまで考えて動いているんですのね。」
姫「敵ながらあっぱれなのだ。」
和「さ、あとはこの証拠を担任に提出して終わりね。」
その後、和琴は先ほど録音した証拠を担任教師に提出した。この教師は珍しく良い教師であったため、すぐに騎ノ風市の教育委員会にこのことを報告した。騎ノ風市の教育委員会は他の所と比べるといじめや嫌がらせに厳しい。そのこともあり、泥小路の父親はすぐに呼び出されて教育委員会から子供への厳重指導と騎ノ風市の所有している土地の没収を言いつけられたという・・・

そして次の日・・・5年1組の教室で見られたのは発狂する泥小路の姿であった。当然である。昨日父親から説教を受け、父親が所有していた騎ノ風市の土地は没収されたため自分の持っていた泥小路家の資産は無くなり、一夜にして落ちぶれたのだから。
典「なんでなんでなんでなんで・・・これはいったいどういう事なのよ~!!!」
下1「典子様落ち着いて・・・」
典「これが落ち着いていられるっかての!!!お父様には怒られるし、お金は自由に使えなくなるし・・・こうなったら生泉たちに嫌がらせして憂さ晴らしを・・・」
下2「父親に嫌がらせのこと黙ってたんだ・・・」
下3「最低・・・」
下4「もう付いて行けない・・・」
典「あなたたちまさか、私を裏切るっていうの!?」
下2「だってもう付いて行けませんもの・・・典子様だけでなく泥小路家まで悪行を犯していたなんて・・・」
典「私を裏切ったらどうなるか分かってるの?あんたたちの親父は首よ!」
下2「別にいいよ。私のお父さんは騎ノ風郊外の家電量販店の経理部に転職するから。」
下3「私のパパはイノンモール騎ノ風の管理会社に転職するって。」
下4「うちの親父は市営地下鉄の駅員になる予定よ。」
典「え・・・なんで急に・・・」
下2「鷲宮さんと天宮城さんの家がこの学校に通えるほどの収入がある転職先探してくれたの。」
下3「これでもう私たちとあなたの間に主従関係はありませんからね。」
下4「それじゃ、失礼します。さようなら!泥・小・路!!!」
そう吐き捨てると泥小路の元下僕2・3・4は去って行った。
典「ああもう!今日は最悪・・・あ、まさかこの件生泉たちが告発したんじゃ・・・下僕1、生泉たちの所へ行くわよ!」
下1「あ、はい・・・」
怒りで顔をゆがませた泥小路は愛麗たちの所へ向かい怒りをぶつけた。
典「生泉!例の件あんたたちが一枚かんでるんでしょ!」
麗「なに?あたしは何にも知らないわよ。」
陽「そうだよぉ。隠していた悪行がばれちゃっただけでしょ?」
典「とぼけないで!私の家のことを告発する記事だって羽多野か天宮城が書いたんでしょ?」
奈「わたくしたちが書いた証拠はあるんですの?」
典「それは・・・ないけど・・・」
麗「それならあたしたちを責めるのはお門違いってやつよね?」
典「ぐう・・・覚えてなさいよ!」
泥小路はその場から悔しそうな顔をして去った。
その後、泥小路の父親が経営している会社は破産して倒産した。
騎ノ風小学校に払える金もなくなり、泥小路は退学していずこかへと去って行ってしまった。

そして、泥小路家が失脚して1か月の月日が流れた。今日は和琴が騎ノ風市を去る日でもあった。
咲「ことちゃん、本当に行っちゃうの?」
和「・・・は?あたしがどこへ行くっていうの?これからもこの町に住むわよ。」
凛「1か月で転校するって言ってませんでしたっけ?」
和「ああーあれか・・・実のところを言うと泥小路が失脚したおかげでその必要がなくなったのよ。あたしのおばーちゃんがこの町で本屋をやってるからそこに住もうと思ってね。眞武書房って知ってるわよね?」
麗「ああ、市街地から少し離れたところにある古めかしい感じの本屋だっけ?和琴の祖母さんの家だったんだあそこ。」
和「その件は泥小路を失脚させたことにも少し関係があってね、この1か月で店の改築をしたのよ。あの辺の土地は元々泥小路が支配していたせいで改築も自由にできなかったのよ。だけど泥小路が失脚したから改築がつい昨日終わったところなのよ。だから、これからはあたしもこの町に住むわ。もうなんだか居心地良すぎてさ・・・もう転校なんてしたくないって父さんに言っちゃったしさ。」
咲「それなら、ことちゃん!これからもよろしくね!」
和「うん、よろしくお願いするわね。」
こうして、和琴はこの町の住人となり書店2階の部屋でカウンセラー活動をするようになったのだった・・・

麗「・・・って事が昔あったわよね~」
和「あーなついわね・・・あたしが転校してきた頃の話だっけ?」
凛「泥小路さんって今どこで何をしているんでしょうね?」
奈「金融界でも全く名前を聞かなくなりましたから、どこで何しているのかはわたくしにも分かりかねますわ・・・案外その辺に紛れていたりしているかもしれませんわ・・・」
そんな会話をしている4人の前にチラシを配っている女性がチラシを差し出す。
?「あの・・・よろしくお願いします。」
麗「はーい。ええと・・・パブの広告!?しかも男向け・・・」
和「あんた何考えてんのよ・・・男性の客に渡さなきゃダメでしょ。」
?「すいません・・・失礼しました・・・」
チラシを配っていた女性は愛麗に渡したチラシを受け取ると路地の奥の方へ消えて行った。
凛「さきほどのチラシ配りの方・・・泥小路さんに似てませんでしたか?」
奈「まあ確かに思い当たる点はありますが・・・他人の空似ですわよ。」
麗「だといいけどね・・・」

?「あれは・・・生泉たち?これは復讐のチャンスかも・・・」