3年A組鉄拳先生 その2

この作品はキャラたちが演じているドラマ形式です。
*キャスト 水萌=鉄拳先生 咲彩=神原先生 他の1組メンバー=A組生徒 雪=環輝 芝沼先生=沼田先生 5組の生徒=C組生徒(カスミ、椿、忍、ゆり) 郡山先生=蒲郡先生

ここは、騎ノ風市にある県立高校騎ノ風学園。この学校は元々エリート進学校と言われていたがここ数年で急に荒れはじめ、不良と呼ばれる生徒がたくさんいた。
そこに鉄拳直という教師がいた・・・彼女は自慢の拳で生徒たちと語り合い、時に生徒を助けていた。そんな彼女を周りの人たちはこう呼んだ。「鉄拳先生」と・・・

第2話 定期テストと天才ハッカー雪

水「授業計画作るのって難しいよなぁ・・・」
咲「鉄拳先生どうかしたんですか。」
水「ああ、あいつらのレベルに合わせた授業計画を作るのが難しくて・・・」
咲「そうですか・・・あの子たちもようやく勉強に取り組んでくれるようになった段階ですからね・・・」
?「ふん、所詮元エリートの落ちこぼれ軍団なんだから切り捨てちゃえばいいのに。」
水「なっ・・・」
そう答えたのはC組の担任である沼田先生であった。彼女は自分の生徒に絶対の自信を持ち、今までたくさんの優秀な卒業生を輩出した優秀な教師である。
沼「社会の役に立たない生徒はとっとと退学にして優秀な生徒のための設備を作ればいいのにね~!」
水「おい!そんな言い方はないだろ!」
沼「ふーんそんなに言うなら勝負してみる?今度ある期末テストでさ。」
水「望むところだ!」
咲「鉄拳先生そんな約束して大丈夫なんですか!?」
水「ああ、アタシはあいつらを信じているからな!」
沼「ふん、どうだか!負けたらあんたこの学校から去りなさいよね!」
水「えっ、それは困る・・・」
沼「何よ、勝てる自信がないっていうの?」
水「そんなことあるか!もしアタシが勝ったら何でも言うこと聞いてもらうからな!」
沼「ええ、もちろんいいわよ。それじゃ、精々頑張ることね。」
沼田先生はそういうと去って行った。
咲「鉄拳先生!あんな約束勝手にしてどうするんですか!」
水「なんだかアタシの生徒たちを馬鹿にされたような気がして腹が立ったからな。あいつらはC組にも負けないとアタシは思っている。
それにあいつ・・・沼田は前々から怪しい奴だと思っていたんだ。ここでアタシがあいつの目を覚まさせてやる!」
咲「はぁ、どうなっても知りませんよ。」
打倒C組に燃える鉄拳先生に神原先生は呆れるのであった。

水「・・・というわけだ。今日から全員でテストに向けて勉強するぞ!」
麗「ってかなに勝手に約束して来てんの?」
凛「ふざけるのはこの前だけで十分じゃないですか?」
奈「頭湧いてますわね・・・」
環「っていうかさ・・・あんた専門科目何?」
水「社会科だぞ。」
姫「社会以外は教えられるのか?」
水「・・・あ、無理だった!!!」
柚「それに気づかず約束するなんて馬鹿すぎるよ・・・」
陽「沼田先生と約束したってことは勝負の相手はC組だよねえ。」
エ「C組は恐ろしいぐらい成績優秀揃い・・・勝てるはずがない。」
環「あいつら性格は最悪だけどね~。」
水「そんな弱気でどうするんだ!お前たちはそんなところでつまづくような奴じゃないだろ!」
和「勝手に約束つけてそれをあたしたちが満たせなかったら逆切れ?」
エ「C組よりましだけど、鉄拳先生も結構醜い・・・」
水「とやかく言ってないで定期試験まで勉強するぞ!目指せ100点!」
その後、生徒たちはしぶしぶながらも鉄拳先生の指示に従い勉強を行った。
しかし、元々は優秀クラスだったA組。全員が30分足らずで今回のテストで80点は余裕で取れそうなレベルまで到達した。
水「みんなすごいじゃないか!アタシは社会科しか教えていないのに・・・」
麗「神原先生のおかげよ。」
凛「私たちのために出そうな問題を教えてくれたんです。」
和「あんたも根性論や精神論だけで何とかできるなんて思ってんじゃないわよ。」
柚「これは学園ドラマじゃないんだからね。」
陽「分からない物は調べないとダメなんだよぉ~!」
奈「クラスの成績を上げたいのであれば、あなたも社会科以外の学問を学ぶべきですわ。」
水「それもそうだよな!ならアタシもお前らと一緒に勉強するぜ!」
咲「もう鉄拳先生ったら・・・」
そんな様子のA組をうかがう姿があった。もちろん沼田先生である。
沼「(A組の連中もうそんなところまで成績を・・・こうなったら準備室にある発明品であの手段を使ってやる・・・)」
沼田先生はそう言うと何かをするためにその場から去って行った。

その日の放課後。鉄拳先生は上昇したA組メンバー成績を見てうれしそうにしていた。
水「あいつらこんなに成績上げちゃって・・・アタシの教え方のおかげだな!」
咲「何言ってるんですか・・・大半の科目を教えたのは私じゃないですか。」
水「そうだったな。ありがとう神原先生。」
蒲「あれ~?おかしいなぁ。」
水「あれは郡山先生?どうかしたんですか。」
彼は郡山先生。3年生の学年主任であり、国語の教師である。ゲスな教師が集う騎ノ風学園では数少ないまともな教師である。
蒲「ああ、鉄拳先生お疲れ様です。実は今回の定期テストの模範解答用紙がどこにも見当たらないんですよ。
いつもは僕だけがカギを持っているあの戸棚に保管しているんですけどね。」
郡山先生は戸棚を指さしながらそう言う。
水「妙だな・・・あの棚を開けられるのが郡山先生だけだってんなら、模範答案用紙を盗み出したのは誰なんだ?」
蒲「そうですよね・・・僕もそれが気になって鉄拳先生のクラスの波多野さんに頼んで戸棚前のカメラのデータを調べてもらってるんです。」
水「雪にか!?あいつは一般生徒のはずじゃ・・・」
蒲「確かに波多野さんは一般生徒です。ですがあの子は情報の世界で天才ハッカーと呼ばれているんです。ありとあらゆるパソコンにハッキングをして内部データを見れるほどの実力があります。」
咲「そんなの私でも知らなかった・・・」
蒲「なので、監視カメラを渡して彼女に今調べてもらっているんですが・・・解析に時間がかかっているのか3日ほど連絡がないんです。」
模範回答がないと、テストの成績をつけられないし、困るんですよね・・・」
水「アタシたちも探すの手伝いましょうか?」
蒲「いえ、ここは僕が探しておきます。模範解答の紛失は学年主任としての責任もありますから。鉄拳先生は自分のクラスの生徒を教えることに集中してください。」
郡山先生はそういうと去って行った。
水「模範解答がなくなるなんて妙なことが起きるもんだな・・・」
咲「誰かが盗んだのかしら・・・?」
妙な事件が起こったものの、鉄拳先生はそこまで気に留めることはなく、勉強を教える&学ぶことに戻って行った。
なお、解答用紙は期末テストが終わると同時に鍵付き棚に戻ってきていた。

そして定期テスト終了後。A組の教室にはC組のメンツが勢ぞろいしていた。
沼「私の自慢の生徒たち!A組の連中をぼこぼこにしてきなさい。」
カ「任せて先生。」
椿「こんなゴミクズどもに私たちが負けるはずありません。」
忍「つーかさ、お前ら真面目に勉強したところで平均60点が限界だよね?」
ゆ「あたいたちと勝負するなんてばっかじゃないの!」
カ「あんたたち挑発はその辺にしなさい。どうせ勝つのはあたしたちなんだから。」
自信満々に語るC組の面々。
麗「・・・相変わらず全員性格悪いわね。」
凛「この学校性格悪い人多いですから。」
和「ま、あたしたちも性格いいとは言えないけどね。」
水「平均点発表の先攻は譲りますよ。」
沼「ふん、相当な自信なのね。なら行くわ、C組の平均点は95点よ!」
水「な・・・95点だと!?」
沼「あんたたちはどうなのよ?」
水「アタシたちは・・・88点だよ。」
麗「負けたか・・・」
奈「わたくしたちなりに全力を出し切ったつもりだったのですがね・・・」
凛「鉄拳先生もこれで終わりですね。」
水「負けたんならしょうがない。今度校長に辞表を出すよ・・・」
咲「ちょ、鉄拳先生!いくらなんでも早まりすぎ・・・」
水「神原先生!アタシは負けたんだ。負けたなら潔く無効の条件を受け入れて去るものだろ?」
咲「ですが・・・」
沼「やっぱり馬鹿なA組じゃ天才C組のこの子達には勝てなかったってわけね。それじゃ、帰るわよあんたた・・・」
沼田先生がそう言って教室を出ていこうとした瞬間、ずっと黙っていた雪が机を叩いて立ち上がる。
環「ちょっと待ちなさいよ沼田。あんた、解答用紙を盗んでそれをカスミたちに見せてテストを解かせたでしょ?」
沼「落ちこぼれのA組生徒が負け犬の遠吠え?私はそんなことしてないから。」
環「ここに証拠あるから。」
雪はそういうとパソコンの画面に映った動画を見せた。そこには・・・謎の道具を使って戸棚を開ける沼田先生が映っていたのである。
水「沼田先生、模範解答を盗み出したのはあんただったのか!」
沼「違うわよ!そんなの波多野のねつ造動画よ!」
蒲「いえ、僕はそうは思いませんよ。」
声のした方には郡山先生が立っていた。犯人が分かったので雪に呼ばれたのだろう。
蒲「沼田先生。これ、あなたの持ち物ですよね?」
郡山先生はあるものを見せる。それは沼田先生が動画で使っていた発明品・・・どんな鍵でもこじ開ける鍵開けスティックだった。
沼「そ、そんな物知らないんだけどどどどど!」
蒲「動揺してますね。生徒たちに模範解答を見せて問題を解かせ、平均点95点で威張り散らすなど教師失格だ!」
郡山先生は普段は聖人のように温和だが、不正に厳しくこういうことを見つけるとすごい怒りを見せる。
沼「だからこんな動画波多野のねつ造だって何度も・・・」
水「往生際が悪いんじゃないのお前?あれだけ威張り散らしておいて、自分が責められれば喚くのかよ?
なんだか腹が立ってきたぜ・・・アタシはこんな卑怯者と勝負をしていたなんてな!」
麗「あいつ怒ってない?」
奈「この前の教頭の時と一緒ですわね。」
水「自分から勝負を投げかけておいて正々堂々勝負せず、解答用紙を盗み出して生徒に丸暗記させるなんてな・・・
そんな教え方じゃ、C組の連中もかわいそうだ。エリートって言うのはな、卑怯者のことを言うんじゃねえんだよ!」
鉄拳先生は沼田先生に掴み掛る。悪いことをした奴が女性であっても容赦ないようである。
沼「ひぃ・・・」
水「自分で不正だとわかっていながら、生徒たちにも罪を背負わせなんの罪悪感もなく自分クラスの平均点は95点だったなどとほざく。
そんな卑怯者の学歴主義者はアタシのダイヤモンドの拳で制裁だ!!!」
鉄拳先生は沼田先生の肩の部分を殴りつける。沼田先生の身体は鉄拳の力で吹っ飛び、壁に激突して身体に強い痛みが走る。
水「女は顔に執着するから顔は避けてやったよありがたく思え。それとお前にも選ばせてやる。」
沼「痛ってえ・・・ってか何を選ぶのよ!?」
水「生徒に悪影響を与える教師はこの学校に要らないから去れ。」
沼「もし去らないと言ったら?」
水「お前が去る選択をするまで制裁を続けるだけだ!!!」
沼「分かったわよ・・・こんな学校こっちから願い下げよ!」
沼田先生はそう叫ぶとC組の生徒を置いて逃げ去って行った。
カ「沼田先生待って・・・」
水「さーてあとはお前らか・・・」
椿「何をする気ですか・・・?」
ゆ「しょーがないよ。あたいたち悪いことしたんだもん退学だよ。」
水「・・・二度とこんなことはしないと誓うか?」
カ「え?今なんて言ったのよ?」
水「二度とこんな卑怯なことはしないかって聞いてるんだよ?」
ゆ「しないよ!」
忍「ちょっとゆり!カスミの許可取らずに勝手に答えるな・・・」
ゆ「忍ちゃんだって分かってるんでしょ!あたいたちが悪いことしたってこと・・・
鉄拳先生すいませんでした。もう二度とこんなことはしません。」
水「それだったら見逃してやる。お前たちは未来ある生徒だ。これからはまともな生き方をするんだぞ。」
椿「鉄拳先生・・・私たちの無礼をお許しいただきありがとうございました!」
C全「ありがとうございました!」
蒲「かっこいいです鉄拳先生!」
水「いえそうでもないですよ、郡山先生はこんな制裁方法を実行したらだめですよ。」
蒲「(ますますかっこいい!)」

その後、沼田先生は転勤を言い渡された。転勤先は劣悪な環境らしく結局退職してしまったようだが。
鉄拳先生の評判はまた上がり、A組生徒からの当たりが更に柔らかくなったという。
咲「鉄拳先生またまた大活躍でしたね。」
水「いやいや、あれぐらい当然のことです。アタシたちの仕事は生徒をまともな道に導くこと・・・
決して成績だけで評価をつけるような商売などではありませんからね。」
咲「それに、また生徒からの評判がよくなったんですって?
水「ええ、最近はC組生徒たちからも声かけられるようになって。アタシとしては嬉しいですよ。
それと今回は雪が監視カメラの映像を解析してくれなければ解決できる事件ではありませんでした。後であいつにお礼しないと・・・」
咲「今回は私たちだけじゃなくて波多野さんの力があったからこそ解決につながったんですよね。」
水「ええ、生徒に正しい道を行かせるには、A組連中のそういった個性をもっと理解する必要がある。今回の件でそう思いました。
よーし、テストは終わったけど明日からも勉強は続けるぞー!」
鉄拳先生の怒りの制裁はまだまだ続く。騎ノ風学園が平和になるその時まで・・・