ある日の地下秘密基地でのこと。咲彩がある依頼を持ってきた。
麗「ドラマの依頼?」
咲「うん、騎ノ風TVの偉い人たちが私たちの文化祭でやった演劇を見ていたみたいでぜひ私たちでドラマを作りたいんだって。」
騎ノ風TVとは騎ノ風市のみに放送をしているローカルテレビ局であり、騎ノ風市という地域に密着したTV局である。
元々子役であった咲彩は騎ノ風TVの女性幹部の一人と今でも連絡を取っている。
その女性幹部もまたレズビアンの女好きであり、時折水晶学園を始め様々な学校に女の子を見に来ているらしい。
そして今回、かつて1組がやった演劇を偶然見ていたらしく、それを元に企画を作り、その企画を実行する許可がようやく下りたので咲彩に連絡してきたそうである。
和「あの演劇を騎ノ風TVのプロが見に来ているなんて・・・」
凛「それでどのような作品を作りたいんですかね?」
咲「みなちゃん主演で学園ドラマを取りたいんだって。」
水「おい主演アタシかよ・・・」
咲「みなちゃんの演じたシンガーソングライターの役にすごく感動したって言ってたよ。」
水「翻訳家志望なんだけどなアタシ。」
環「それで、台本とかはもうできているわけ?」
柚「向こうが水萌ちゃんを名指しで主演にしたいって言ってるわけだしさ。」
咲「うん。これだよ。」
咲彩は騎ノ風TVの偉い人からもらったと思われる台本を見せた。
タイトルは3年A組鉄拳先生。主人公の鉄拳先生(女)が自慢の拳であらゆる問題を解決していく学園ドラマだった。
水「未成年が教師の役って・・・」
陽「みなちゃんなら身長高いし問題ないと思うよぉ。」
水「陽姫に言われるとなんかなぁ・・・」
奈「ドラマとしては短編なので15分にまとめるみたいですわね。」
嘉「せやけどなんでウチらなんやろ?プロの俳優さんたちに頼んだ方がええ作品できそうやけど・・・」
咲「この企画の一環には騎ノ風市で活躍する高校生を取り上げる目的もあるんだって。」
姫「ふむ、だからこそ俳優さんたちではなくて我らに頼むのだな。」
咲「それで、どうするみなちゃん・・・?嫌なら断っても・・・」
水「ああもうやってやるよ!シリーズ化してもおかしくないような素晴らしい作品にしてやる!」
咲「分かったよ。監督とお偉いさんには承諾したって私から連絡しておくね。他の皆も生徒役とかでちゃんと出番あるから心配しなくても大丈夫だよ。」
水萌が出演の承諾をしてから3日後に撮影が始まった。15分の単発ドラマということで撮影に時間はかからなかった。
しかし、立派な作品を作り上げたいという監督の意志から撮影は入念に進められた。
そして教頭役の成人男性が必要ということで、今回は千葉崎先生が参加することになった。
裏方の撮影スタッフは今回はプロの裏方たちがそろってくれたので今回は1組全員が俳優として出演することになった。
撮影スタッフと俳優として出演した1組メンバーは試行錯誤しながら撮影を進め、ついに一本の作品が仕上がったのだった・・・
そしてドラマの放送当日。1組メンバーは全員で地下秘密基地に設置されたテレビの前にいた。
咲「いよいよ始まるんだね。」
麗「あたしたち不良の役だからあんまり見たくないかも・・・」
凛「私は愛麗の不良役かっこいいと思いますよ。」
麗「ありがと凛世。大好きよ。」
嘉「ビビりなウチには人をいじめる役は辛かったで・・・」
和「撮影難航したけど放送されて良かったわね。」
姫「かなり暴力的な描写があるのによく放送できたものなのだ・・・」
エ「あの監督は暴力描写がある映画や黒いドラマに定評がある監督だからそれを考えれば不思議じゃない・・・」
柚「静かに。始まるよ。」
柚歌の言葉と共にドラマの放送が開始された。
*キャスト 水萌=鉄拳先生 咲彩=神原先生 他の1組メンバー=A組生徒 ナディア=ラニー 教頭=千葉崎先生
ある場所に鉄拳直という教師がいた・・・彼女は自慢の拳で生徒たちと語り合い、時に生徒を助けていた。そんな彼女を周りの人たちはこう呼んだ。「鉄拳先生」と・・・
ここは、騎ノ風市にある県立高校騎ノ風学園。この学校は元々エリート進学校と言われていたがここ数年で急に荒れはじめ、不良と呼ばれる生徒がたくさんいた。
特に元エリートたちの集まりと言われている3年A組の落ちようはひどいものであった。そんなA組に転機が訪れようとしていた。
和「あーあ毎日つまんない授業受けて退屈・・・」
凛「この教室ももっと改造したいですねえ。私たちの落ち着ける場所にしたいです。」
嘉「なぁエレナちゃん。ウチ、コーヒー頼んだんやけどなんで紅茶買ってくるん?アホなんか?」
エ「えっ間違えてた・・・ごめん・・・」
麗「ったく、そんなに頭悪い奴の相手辞めなさいよ香。」
嘉「あ、姉御・・・お疲れ様や。」
麗「だけどあんたもあんたよね!香の指定した物も買ってこられないなんて救いようがないわね。」
クラス全員「「「「アハハハハハハハハ!!!」」」」
エ「・・・醜い。」
その時、A組の扉が大きな音を立てて開いた。
咲「あなたたち、もう授業が始まる時間です。外まで声が聞こえてますよ?」
和「何よやるっての神原。ってかこのクラスの担任は辞めてったでしょ?」
凛「そうですよ。新しい担任でも連れてきたんですか?」
咲「もちろんよ。さ、入って先生。」
咲彩がドアから一歩ずれると、教師の格好をした水萌が入ってきて教団の前に立った。
水「アタシは鉄拳直だ!お前たちの腐った根性を叩きなおすためにこの学校に来た。アタシが担任になったからにはビシバシ行くから覚悟しておけ!」
嘉「いまどき熱血教師!?笑えるわ。」
麗「それで、叩きなおすって何をするのよあんた。」
水「そうだな・・・まずはいじめの排除をする!いじめはやってはいけない最悪の事だからな。」
奈「このクラスにいじめ等ありませんわ。ですよね皆様?」
柚「そうだね・・・」
陽「わたしもそう思うよぉ・・・」
水「本当か!?お前たちの言葉信じるからな!それじゃさっそく授業を始める、今日は教科書の・・・」
水萌こと鉄拳先生は不良たちの態度にひるむこともなく授業を進めていく。
そして放課後。授業を終えた鉄拳先生(水萌)は職員室に戻ってきていた。
咲「鉄拳先生。勤務一日目が終わりましたがどうでしたか?」
水「そうだな・・・不良とか呼ばれている割にはあいつら根っからの悪い奴らじゃなさそうだぞ。」
咲「鉄拳先生もそう感じたんですか・・・実は私もA組の子たちはあんなことを好き好んでやっているわけではない気がするんです。」
水「ほう・・・神原先生も同じ意見だったか。」
咲「ええ。1年の頃あの子たちの担任だったのですが、その頃は真面目でいい生徒たちだったんです。」
?「いやいや、あそこのクラスは我が高で一番最悪の生徒たちが集まっているんですよ?」
騎ノ風学園の教頭(千葉崎先生)だった。
教「神原先生の言うとおり、あいつらは元々は我が公が誇るエリート集団でした。しかし今は見る影もない。
鉄拳先生。あいつらとかかわるのはほどほどにした方がいいですよ。出ないと貴方も痛い目に合いますからね。」
教頭はそう言うとその場から去って行った。
水「あいつらとかかわると痛い目に合うか・・・明日詳しい事情を聞いてみた方がいいかもな。」
咲「鉄拳先生、生徒のプライベートなことまでに足を突っ込むのは辞めた方が・・・」
水「だけどよ、あいつら苦しんでいるのに何も言えないだけかもしれねえじゃねえか。
不良行為がSOS信号だっていう可能性だってある。見て見ぬふりする教師なんて教師じゃないからな。」
咲「鉄拳先生・・・」
水「そうと決まればさっそく明日の準備だ!神原先生手伝ってくれよ。」
咲「・・・はい!」
一方、愛麗たちは溜まり場であるゲームセンターにいた。
しかし、様子がおかしい。そこにはいじめられているものも含め、A組の生徒全員が集まっているのだから。
和「なんなのかしらねあの鉄拳とか言う新任教師!」
奈「全く腹立たしい限りですわ。」
嘉「神原も全然わかってないみたいやな・・・ウチらかて好きで不良演じてるわけやないんに。」
凛「まったくですよ・・・授業受けなくても勉強はしっかりしてますからね。」
麗「凛子、この前の全国模試どうだったの?あたしはS判定だったからこのまま勉強続けて有名大学目指すつもりよ。」
凛「藍麗すごいですね!私はA-判定まで行ったんですよ!」
和「へえ、中々学力伸びたわねあんた。あたしなんてまだB判定なのに。」
麗「それにしてもあんな熱血教師連れてくるなんて神原もあっち側の連中に洗脳されちゃったのかしら・・・それとエレナ、いつも辛く当たったりしてごめんね。」
エ「問題ない・・・私だって目的は藍麗ちゃんたちと同じ。おじい様がやっていた頃の元の平和な騎ノ風学園を取り戻したいだけだから・・・」
麗「ふふ、そうね。奈津に茉実、学園運営側のはどんな感じ?」
奈「今は特に目立った動きはありませんわね。ただ、一つ大きい動きがあるとすれば・・・」
環「鉄拳直・・・あの熱血教師ね。」
陽「何考えているか分からないよねぇあの学校・・・」
柚「だけど藍麗ちゃん、やっぱり復讐やるの?」
麗「当然でしょ。あたしたちの大事な仲間の1人、ナディアを追いつめて昏睡状態にしたのはあの学校だもの。」
そして次の日。鉄拳先生(水萌)はA組の教室に来た際に早速困っていることがないか生徒に聞いてみた。
水「お前たち!困っていることがあったらアタシに何でも言ってくれ!力になるからさ!」
凛「朝から暑苦しいですね・・・」
和「困ってることなんて何もないわよ!」
水「そうかならいいんだ。あ、それとお前たちに聞きたいんだがA組に1人登校していない生徒がいるな。
名前はナディア・コープスベル。外国からの留学生みたいだけどなんか知ってるやついるか?」
ナディアの名前を聞いた途端クラス全員が明らかに動揺したような様子を見せたが、すぐに何も知らないという反応が返ってきた。
嘉「知らへんよ・・・」
柚「ボクたちが1年の頃からずっと不登校だったよ。」
陽「わたしも分かんないなぁ。」
水「そうか、ならいいんだが・・・それじゃ今日も授業を始めて行くからな!(神原先生なら何か知っていそうだし昼休みにでも聞いてみるか・・・)」
昼休み。鉄拳先生(水萌)は神原先生と昼食を食べながらナディアのことについて聞いてみることにした。
水「なあ神原先生、A組の生徒のナディア・コープスベルについて何か知らないか?」
咲「ナディアさんのこと!?ちょっと外に来てもらえますか?」
水「なんでだ?なんかやましい・・・」
咲「いいから来てください!」
2人は職員室の外に出て、人の目付かない場所に移動した。
咲「ここなら大丈夫かな・・・」
水「なんだどうした?」
咲「・・・ナディアさんは現在昏睡状態のA組生徒です。」
水「昏睡って・・・事故にでもあったのか?」
咲「ええ、昏睡にまで至った経緯は詳しくは知らないけど・・・今は騎ノ風大学病院で入院しています。そういえば・・・A組の子たちが荒れだしたのってナディアさんが入院した時と同じときぐらいだったような・・・」
水「ナディアとあいつらが荒れたのには何か深い関係がありそうだな・・・神原先生、あいつらがいきそうな場所知らないか?たぶんあいつら苦しいのに必死で嘘をついて何かを隠している。そうとしか思えねえんだよ。」
咲「あの子たちがいきそうな場所・・・そう言えば駅近くのゲームセンターにたむろしているって話を聞いたことがあります。」
水「駅前のゲームセンターか。なら帰りに寄ってみるか!」
咲「私も行きます。あなた一人では心配ですから。」
水「神原先生がいれば100人力だな!」
そんな2人の会話を物陰で聞いている怪しい影があった。教頭だった。
教「(マズイ・・・あいつらが真実を知ったらこの私がとんでもないことに・・・何とか手を打たねば・・・)」
その日の夜。鉄拳先生と神原先生は駅前のゲームセンターに向かった。当然のようにA組生徒たちがたむろしていた。
水「お前たち!こんな遅くまでここにいないで早く帰れ!」
嘉「なんや鉄拳と神原かいな・・・ここにあんたらの楽しめるゲームはないで。」
奈「早い所お引き取りお願いしますわ。」
咲「そんな態度はないでしょ。鉄拳先生はあなたたちのことを心配して・・・」
麗「聞きたいことは分かるわよ。ナディアのことでしょ?」
水「どうしてそれを・・・」
凛「私たちがナディアさんの名前を聞いて動揺したのを見たのだからそれぐらいしかここに来る理由はないでしょう?」
麗「いーわよ話すわよ。どうせ教師なんかに話しても意味ないだろうけど。」
水「そんなことないぞ。アタシはどんな話でも全て受け止めるから心配するな!」
麗「はっ、どうだか。まあいいわ話すわよ。ナディアは1年の頃ロシアから留学してきたあたしたちのクラスメートだった。
ナディアはここに来る前にすでに何か月か日本に住んでいたから上手に話すこともできたし手先も器用で頭もよかった。
だけど、あの学校には日本人以外の人種を毛嫌いする人間がいたの。」
和「その人間は・・・教頭だった。彼はあいつが嫌いで、ナディアが白髪であることをことごとく批判した。
他にも教頭に逆らえない教師を脅してナディアの通知表をすべて1にしたり、事あるごとに笑いものにして嫌がらせをしていたのよ。そしてついに教頭は、ナディアを捕まえて髪を無理やり黒く染めて、黒く染まった髪をバリカンで借り落としたのよ。」
凛「精神的ショックを受けたナディアさんは学校の屋上から飛び降り自殺未遂をしました。その後は救急車で運ばれて幸い命に別状はなかったのですが
深い昏睡状態に陥ってしまい、この2年間で目覚めることはありませんでした。」
環「それで、私らは教頭への復讐としてナディアが病院に運び込まれた直後から不良を演じて暴れまわることにしたの。」
エ「鉄拳先生には私がいじめられているように見えたのかもしれないけど、あれは全て演技・・・」
柚「最終的にボクたちが騎ノ風学園の評判を下げることによって奴らの生活が苦しくなればいいって思ったんだ。」
陽「わたしも復讐は良くないと思うよぉ。だけど、隠ぺいはもっとよくないと思ってるんだよぉ!」
姫「教師の権利を乱用するにもほどがあるのだ!」
麗「・・・どう?これがあたしたちのクラスの真実。ま、どうせ信じてなんかくれないわよね?」
水「・・・信じるよ。」
姫「何言ってるんだ貴様は?」
水「信じるって言ってるんだよ!確かに今ここでお前たちの言っていることが嘘だっていう可能性もある。だけど、アタシは信じるさ!お前たちの担任なんだからな!」
麗「・・・」
咲「私も信じるよ。貴方たちが心から悪い子じゃないことは私がよく知ってるから。」
奈「神原先生・・・」
水「それと・・・ナディアを目覚めさせることはできないかもしれないがアタシもお前たちの復讐に協力させてくれ!」
凛「協力ですって!?何言ってるんですか貴方は!?」
和「あたしたちみたいな不良に協力したら教師辞めさせられる可能性だってあるのよ?」
水「いいさ。アタシが辞めさせられる前にあいつらを先に退職に追い込む。それならいいだろ?」
麗「・・・あんたみたいな教師は初めてよ。協力したければ勝手にすればいいわ。」
凛「藍麗さんこの作戦の決行はいつですか?」
麗「明日。教頭をうちのクラスに来るように仕向けた仕掛けをしたからその時に隠ぺいしているナディアのことを問い詰める。」
凛「貴方・・・いえ、鉄拳先生。協力してくれるんですよね。」
水「ああ、アタシはお前らの担任だし、味方だからな!」
和「(こいつが裏切らないか不安だけど・・・)」
次の日の朝。愛麗の言った通り、教頭がA組の教室にやってきた。
零「お前らだろう!私の机にローションを塗りたくったのは!」
麗「は?知るわけないでしょ。」
凛「それよりあなたに話があります。」
零「なんだよ・・・」
麗「ナディアを精神的に追い詰めたことをいい加減認めなさいよ!いつまで隠ぺいを続けるつもりなの!?」
零「それはナディアが勝手に自殺未遂をしたことだろう!私には関係ない!」
奈「わたくしたち、自分が悪いことをしたのを認めない人が治めている学校など認めませんわ!」
零「何を~!貴様ら教師に逆らうとは何事だ!ぶん殴ってやるわ!」
教頭がこのクラスの中心である愛麗の真ん前まで行き、拳をふるって渾身の力で殴りつけた。
零「ふっ・・・私の華愛麗な拳が悪を華愛麗に貫いたぜ。」
咲「生泉さん!」
麗「痛ってえ・・・なんであたしなのよいつもいつもいつもいつも・・・教師なんてやっぱり信じらんない!!!」
零「ははははは!この学校では私こそがルールなのだ!だから君たちは私に逆らってはいけないので・・・」
教頭がそこまで言いかけた時、何者かが彼の肩を力強くつかんだ。
水「おい、てめえ今何したんだ?」
零「鉄拳先生・・・なぜあなたは私を襲うのですかな・・・?」
水「うちのクラスの生徒に何したんだって聞いてるんだよ?あ?」
零「それはあいつらが悪いから殴っただけであって・・・」
水「元々悪いことしたのはお前だろ?」
零「し・・・知るか知るか!悪いのは不良行為を働くA組だ!」
水「教師の風上にも置けねえな・・・アタシの鉄拳で制裁だな!」
鉄拳先生はそう言うと教頭に襲いかかり、先ほど彼が殴った何倍もの力で殴りつけた。教頭は壁に叩きつけられた。
零「何すんだよ・・・お前もただじゃおかない・・・」
鉄拳先生は無言で教頭に近づくと服の襟を掴みあげた。そしてこう言った。
水「自分で犯した罪を他人になすりつけ、自分の意志に従わない人間は不良扱い。
言葉を悪用して自分の味方を増やし、こいつらが悪いみたいに言い続ける。
アタシからすればお前の方が数億倍はクズだよ。不届き物はこのアタシのダイヤモンドの拳で制裁だ!!!」
零「たかが新米教師の分際で教頭であるこの俺に指図するな!!!」
水「クズは死ななきゃ治らないって本当なんだな。まあいい、お前に選択肢をやる。」
零「なんの選択肢だよ・・・」
水「ナディアを追い詰めたことを自白するか、教師を辞めてこの地を去るかのどっちかだ。」
零「どっちも嫌に決まっているだろうが!」
水「そうか・・・ならどちらか選ぶまでパンチの力を強くして殴り続けるまでだな。」
零「そんな理不尽な・・・」
水「理不尽?先にこいつらに理不尽を味わわせたのは・・・どこのどいつだ!!!」
零「ひえええええ!!!こんな学校辞めてやる!!!もうこんなところはこりごりなんだよ!!!」
教頭はそういうと、A組の教室から逃げるように去って行った。
水「ふいーこれで一件落着かな?」
咲「逃がしちゃってよかったんですか?」
水「あいつはおそらく今後一生教師にトラウマを抱えるはずだ。彼が教壇に立つことは二度とないだろうよ。」
麗「(こいつすごいかも・・・)」
こうしてナディアを昏睡状態に追い詰めた教頭はその日付で騎ノ風学園から去って行ったのだった・・・
次の日の職員室・・・
咲「鉄拳先生・・・昨日はお疲れ様でした。」
水「おうお疲れ。それより聞いてくれよ。A組の奴ら少しだけ態度が柔らかくなったんだぜ。」
咲「そうなんですか。私もいい報告ありましたよ。ナディアさんが目を覚ましたそうなんです。」
水「ナディアが!?良かったぜ~!」
咲「ただ、しばらく精神的なリハビリが必要だそうなのですぐは無理だと言っていましたが必ず戻ってくるそうです。」
水「ところで神原先生・・・」
咲「なんですか?」
水「この学校は虫唾の走ることをしている教師がまだまだいるみたいだ。A組の連中も柔らかくなったとはいえ、不良演技を辞める様子はない。
きっとまだ何かこの学校にはやましいことが隠ぺいされているはずだ。アタシはあいつらに楽しく学校生活を送ってもらうためにも
また、協力してくれないかな?」
咲「もちろんですよ!」
水「おっしゃーっ!神原先生の協力があれば百人力だぜ!」
こうして、鉄拳先生のダイヤモンドの拳でナディアを自殺未遂に追い込んだ悪の教頭は制裁された。
そんな会話をする2人を遠巻きに見つめる一人の男がいた。
?「鉄拳直・・・理事長はなんであんな古臭い熱血教師を雇ったのだろうか?彼女が来てから教頭が辞めて行ったし、この学校が大きく変わろうとしているのだろうか・・・」
~END~
陽「・・・すごい出来だったね。みなちゃんの演技うますぎだよぉ~!」
水「そうかな・・・?あんなに気性の激しい演技をしたのは初めてだったからいろいろ不安だったんだよ。」
姫「(我カットされたのかほとんど出番なかったな・・・)」
麗「ねえ咲彩、このドラマって単発作品よね?なんであんな話が続くような終わり方なわけ?」
咲「うん実は・・・監督がみなちゃんたちの演技を見て連続ドラマ化したいって言ってきてね・・・皆の返答しだいで、引き受けてくれれば連続版にしてくれるって。」
凛「私は続きが気になりますし見てみたいですね・・・」
嘉「ウチも見たいわ。」
水「しょうがないな・・・わかった引き受けるよ。放送局は騎ノ風TVだけだろうし全国ネットではないだろうしな。」
咲「引き受けてくれてありがとうみなちゃん。それじゃ私はさっそく監督に連絡をするね!」
こうして3年A組鉄拳先生は続編が製作されることに決まったのだった。
プロの俳優ではない女子高生たちが演じるドラマは今後どのような話になっていくのだろうか・・・それはまだ誰にもわからない。