短編集1

1、愛麗の服

ある日のこと、縁に呼ばれた愛麗は縁の叔父が経営する蕎麦屋の黒船蕎麦にやってきた。
黒船蕎麦の引き戸を開けると縁が扉の手前で待っていた。
凛「愛麗。いらっしゃいませ。」
麗「凛世、来たけど話って何?」
凛「数学の課題が出たじゃないですか。自分でやってみたんですけど愛麗に答えを見てもらいたくて・・・」
凛世はノートを取り出して愛麗に渡す。
麗「ああ、課題ね。どれどれ・・・うん、特に間違ってる問題はないわよ。」
凛「本当ですか!?自分でもやってみて不安だったんですけど・・・」
麗「全然間違ってないよ。前にあたしが教えたことを・・・しっかり理解してくれてうれしいよ。」
凛「愛麗・・・ありがとうございます!」
その後、凛世は課題を見てもらったお礼に愛麗に新作のパフェを奢った。
麗「これ新しいパフェ?美味しいわ。」
凛「それは良かったです。それ新作のハニーパフェなんですよ。」
麗「そうなの。あたしの作ったお菓子よりおいしいんじゃない?」
凛「ところで・・・ずっと前から気になってたんですけど愛麗ってスカート履かないですよね?なんでなんですか?」
麗「うーん・・・嫌いだからかな。ほら・・・スカートって足スース―するじゃない。それとあたし胸大きいからオーバーオールだと胸当てで隠せてちょうどいいのよね。」
凛「そうなんですか。愛麗は女性として魅力的なんですからもっと晒せばいいのに。」
麗「それよく言われるわ。だけどね、あたしにはあたしの好きな服があるから。凛世だってそうでしょ。そうじゃないならその帽子脱ぎなさい。全然似合ってないから。」
凛「嫌ですっ!・・・あ・・・ごめんなさい怒鳴ったりして・・・」
麗「分かったでしょ。自分の好きなファッションを否定される気持ち。」
凛「愛麗ごめんなさい・・・私が軽率でした・・・」
麗「別にいいわよ。服の趣味けなされるなんて慣れたもんだし。
凛「いえ、私が悪いんです・・・お詫びにパフェもう一つ奢りますね。」
麗「そこまでしなくてもいいんだけど・・・(小声)でもありがと。凛世大好き。」
凛「?・・・愛麗何か言いましたか?」
麗「なんも言ってないわよ。」

2、和琴と不思議なシャンプー
眞武和琴は騎ノ風市の眞武書房で祖母と暮らす少女だ。父親は少し離れた町で、隠れた名店と言われるレストランをやっている。和琴も元々はそこに住んでいたが、小5の時に引っ越してきた。
今日は食材の買い出しのために大型スーパーに着たようだ。
和「このスーパー安いのよね。この前の仕事で収入も入ったし今日はビーフカレーでも作ろうかな。」
和琴はカレーを作るのに必要な材料をかごの中に入れていく。一通り食材の買い出しが終わった後、日用品売り場のある商品に目がとまる。
和「ん・・・?見たことないシャンプーね。」
和琴はそのシャンプーボトルを手に取ってみてみた。
そのボトルには会社名以外は印刷されていなかったのだ。
和「なんか怪しいわね・・・でももうすぐシャンプー無くなるし買ってみるか。」
和琴はそのシャンプーをかごの中に入れた。その後帰宅した和琴はそのシャンプーで髪を洗い、寝床に着いた。

次の日の朝・・・
和「はあーあ朝かあ。急いで髪梳かさないと・・・」
和琴はそういうと自分の頭に手を触れる。すると自分の頭に違和感を感じた。
和「ん・・・?私の髪こんなにさらさらしてたっけ?」
和琴は気になったのか洗面台の鏡で自分の姿を見てみる。すると、そこには髪の毛に癖が全くなくなった和琴の姿が映っていた。
和「うそ・・・夢みたい・・・髪がストレートになってる!」
和琴は自分の髪を触って喜んだ。しかし、髪から手を話すともう一つの違和感に気付く。
和「・・・なんで髪がこんなに抜けてるの・・・」
和琴の手には10本ほどの自分の髪があった。
和「これって・・・いやああああああああ!!!」
叫び声とともに和琴は飛び起きた。今までのことは夢だったようだ。
和「はぁ・・・あたしの髪大丈夫かな・・・?」
和琴は自分の頭を触ってみる。髪は抜けていなかった。
和「良かった・・・なんか怖いからあのシャンプー作った会社に問い合わせてみよう。」
和琴が会社に問い合わせると、元々あのシャンプーは髪を綺愛麗にすることに特化した製品だという事が判明。2週間前に発売をした発売したはいいものの、使用した人から綺愛麗にはなったけど髪の毛が抜けたという苦情が殺到。結局回収して発売中止になったのだが、回収し損ねた商品がスーパーに紛れ込んでいたいようだ。ちなみにそのシャンプーを使ってすぐ髪が抜けるという事は無く、1週間以上使い続けると上のような症状が起こるという事らしい。
和「(新しいものに容易に手を出すのも危ないな・・・夢でよかったけど)」
和琴はほっとしながらも今後髪が抜けたりしないか不安な気持ちでそう思ったのだった。