服とアクセサリーへのこだわり

愛麗たちも女子である。皆それぞれ服やアクセサリーにはいずれもこだわりを持って選んでいる。
麗「ねー、あんた達・・・服とかアクセサリーってどういう基準で選んでんの?」
和「急にどうしたのよ。1年中同じ服着ているあんたがそんなこと言うなんて。」
麗「失礼ね・・・あたしの場合はパターン変えてるのよ!」
凛「知ってます。愛麗は春秋は青いズボンで、夏は白いズボン、冬は黒いズボンなんですよね。トップスも微妙に違いますし、髪型も少しずつ変えていたり、上着も季節で着たり着なかったりしてるの知ってます。」
麗「凛世はちゃんとあたしのこと見ててくれて嬉しい。あとズボンはズボンだけどオーバーオールね全部。」
和「逆に生泉の服って胸でかいあんたが来ていると目立つような気がするけど・・・生泉はあんまり目立った感じがないわよね?工夫しているの?」
麗「その辺は問題ないわ。胸当てが大きめのやつを選んで隠れれば問題ないし。後下着を胸が余り目立たないやつにしているから。」
咲「やっぱり気にしちゃうよね人からの目線・・・」
麗「咲彩は分かってくれるんだね。ありがとう。」
咲「うん、私もいろいろ悩んでるから。それとらっちゃんは夏だとお下げ結びなんだよね。他の季節はサイドアップ・・・だっけ?そんな感じの髪型だけど。」
麗「夏はこっちの結び方の方が涼しいのよ。前に髪を集めることで背中涼しくできるしさ。」
水「愛麗の髪ってアタシらよりもボリュームあるもんな。奈摘ほどじゃないにしろ大変そうだぜ。」
奈「わたくしは毛量が多いとはいえストレートですもの。ウェーブにはまた違う大変さがあると思いますわ。」
凛「愛麗のカチューシャって種類多いですよね。幾つぐらい持ってるんですか?」
麗「持ってるの全部入れると100ぐらいはあるかな。プラスチック製以外にもバンダナとかリボンをカチューシャみたいに結んで使うときもあるし。」
柚「100種類もあるんだ・・・ボクのゴーグルは1つだからおしゃれに気を使ってるんだなって思うよ。」
麗「あたしのカチューシャの場合プレゼントで貰ったやつとかもあるし、店とかで気に入った奴あれば買っちゃうからね。だけど柚歌みたいに1つのものを大切に使い続けるっていうのもなかなかできないことだと思うよ。そういうのって物を大切にできるってことでもあるからさ。それに・・・」
奈「何か問題でもあるんですの?」
麗「100個持ってるといくらこだわっても全部使ったりすることって全然できないからね。100種類全部使うとなると100日かかるわけだし。」
水「なんとなくわかるなそれ。アタシも髪紐10種類ぐらい持ってるけど、日替わりで使うって思うことがねーなぁ・・・手に取れるやつつかえりゃいいし。」
麗「皆は何か服やアクセサリーにこだわり持ってるの?」
凛「私はそうですね・・・スカーフとベルトですかね。」
麗「凛世はスカーフたくさん持ってるもんね。ベルトにもこだわりあるのは知らなかったけど。」
凛「ええ。下着を見られるのが嫌なのでズボンしか着用しないのです。ベルトは様々なズボンを着用する上では手を抜けないものなのです。私からすればケーキの上に飾るデコレーションのような存在ですね。」
和「夜光の下着って過激だもんね。エロいビデオに出てきそうな奴が履いているみたいな黒のレースとか多いし。」
凛「変なこと言わないでください。私は私の好きなものを選んでいるだけですから・・・」
奈「わたくしは髪留めですわね。」
和「天宮城は髪型作りにはこだわってるわよね。」
奈「リボンタイプやシュシュタイプ、髪留め以外アクセサリーを着ける時用の目立たないタイプのヘアゴムもありますわよ。」
咲「ゆめちゃんは髪の量が多いけど、ヘアゴム一本で髪を纏めるのって大変じゃないの?」
奈「心配いりませんわ。慣れれば問題なく髪を纏めることができましたもの。さすがに最初は難しかったですけれども・・・」
和「あたしは・・・こだわりってほどでもないけどこれかな?」
和琴はいつもは頭に乗せているが今日は胸元に刺しているサングラスを指さす。
凛「眞武さんはそのサングラスかけないんですか?」
和「相当な暑さとか紫外線で眩しいとかじゃないとかけないわね。あたしにとってサングラスはアクセサリーの一つでもあるからね。かけるかけないにこだわったりはしないのよ。こうやって胸に刺しておいたり頭に乗せるだけでもいい感じになるものよ。」
水「アタシは・・・やっぱ髪紐だな。リボンもいいけどこっちだと和風な感じが出ていいもんだぜ。」
咲「みなちゃんは自分で髪紐を編んで作っちゃうぐらい器用なんだよね。」
水「編み物やってたのをそっちに発展させたからできるようになったのはあるけどな。どういう色の糸を編みこんで作るかを考えると楽しいんだよ。」
麗「水萌の口から和風の言葉を聞くのはなんか意外ね。」
水「見た目がこれだし、確かにそう言われるけど・・・アタシは日本育ちで家も和菓子屋だからな。好みが和に偏っても不思議ではないだろ?」
咲「だけど、みなちゃんが好きな食べ物ってハンバーガーだったよね?」
水「そうだけど、それ以外はほとんど和食食べてるし・・・和風の味付けをしたハンバーガーの店とかあったら行ってみたいもんだな。」
柚「こだわりのあるアイテムの話がいつのまにか食べ物の話になってるよ・・・」
水「あ、悪いな・・・食に関する話させるとついそっちに偏っちまうからアタシ。」
麗「気にしなくていいわよ。あたしたちにとって話の脱線なんて日常茶飯事でしょ。柚歌はなにかある?」
柚「ボクはさっきも言ったけど好きなものをたくさん集めるよりも一つのものを大事に使いたいから、収集している物はあまりないかな。強いて言うならこれかな?」
柚歌はそう言うと手にしている指ぬきグローブを指さして言った。
柚「こういう日常からかけ離れたようなデザインのものが好きなんだよボク。だからファッションの趣味も奇抜な感じになっちゃうんだろうけどね。」
麗「そういうスポーティなアイテムってかっこよさが際立っていいわよね。あたしは」
その時、階段の方から誰かが降りてくる足音がした。
嘉「こんちはー。今日は誰かおらへんの?」
苺「我もいるぞ~。」
麗「あ、嘉月に苺子。2人が一緒なんて珍しいわね。」
嘉「さっきそこで会ったんよ。地下書庫行く言ったら、苺子ちゃんも行くって言うてな。」
苺「課題もさっき終わって暇だったから遊びに来たのだ。部活も今日は休みだし、家にいても姉たちがいて落ち着かないから静かなここで古典の本を読もうと思ったのだ。」
麗「来てばかりで悪いけど、2人に聞きたいことあるんだけどいいかな?」
嘉「別にええけど、何なん?」
苺「そうなのか、我が分かる範囲で良ければいくらでも答えるのだ。」
麗「2人って服とかファッションアイテムでこだわりのあるアイテムってある?」
嘉「せやなー。やっぱりウチはリボンやな。」
苺「確かに我らの中でリボンと言えば嘉月君を思い浮かべるよな。」
嘉「皆は知っとると思うけど、ウチはリボンとネクタイとスカートの色や柄をお揃いにしてんねん。少しでも違うと落ち着かへんのや」
凛「そういえば、雷久保さんの衣装って統一感がすごくいいですよね。」
嘉「ファッションは色やデザインを統一をすることですっきり綺愛麗に見せることができるんやで。全部違うとイメージが散らかってダサくなると思うわ。」
咲「かづちゃんのアイテムはカラフルなものが多いから統一しないと散らかりがちになっちゃうよね・・・」
和「だけどさ、散らかってる組み合わせでも中には成立する組み合わせはあるんじゃないの?リボン青、ネクタイ紫、スカート白みたいな組み合わせにすればいい感じになりそうにも見えるけど。」
嘉「青、紫、白・・・この3色の組み合わせなら紫陽花カラーになるなぁ。組み合わせる色をあえて同じにせずに統一感を持たせるのには気づかんかったで。今度試してみるわ。」
苺「我は・・・スパッツかな?」
水「苺子は綺愛麗な足してるからスパッツ履くと似合うよな。」
苺「我みたいにスカート丈の短いワンピース系の服を着ているとどうしても下着が見えるのが気になってしまってな・・・」
麗「ならスパッツじゃなくてハーフパンツ履くとかは考えなかったの?」
苺「いや、ズボン系を履かなければならないのであればスカートを履いている意味がなくなってしまうような気がしてな。それで下着の上から履いてもフィットするスパッツに行きついたのだ。」
凛「スパッツを履いておけば下着を見られることもないので安心ですよね。」
苺「うむ、スパッツは画期的な発明だと我は思っているよ。」
麗「こだわりのあるものは違うけど、皆それぞれが自分に合うアイテムを見つけているのね・・・こんな話していたらショッピングモール行きたくなってきたわ・・・」
和「なら、今から少し行ってみる?それぞれのアイテムがある店行って、興味のあるアイテムについて話し合ってみない?」
水「いいんじゃないか。普段は着ないジャンルの服を着たり見てみるのも面白そうだしな。」
凛「そうですね、まだ自分に合うアクセサリーやアイテムを私も見つけてみたいです。」
苺「我もそろそろ新しいファッションを試したかったし、ちょうどいい機会なのだ。」
麗「なら気が変わる前に行こうか。今からここにいる全員で。」
奈「皆さん、盛り上がっているところ水を差してしまいますが、少しお待ちになってくださいまし。」
咲「どうしたのゆめちゃん?」
奈「お金持ちのわたくしが言うのもなんですが、急にお店に行って衝動買いするのはあまり良くないと思いますの。」
和「見るだけなら問題ないんじゃないの?」
奈「いえ、見るだけだと決めても絶対に買ってしまうと思いますわ。そこで、買いに行く前にそれぞれ興味ある相手と今来ているお洋服を交換して実際に着てみるのはどうでしょうか?」
麗「衣装交換か・・・あまりいい思い出ないけどやって見る価値はあるかもね。買う前に借りて着てみるのも衝動買い防止にはいいかも。」
柚「買う前に実物を着て見る事でそのファッションが自分に合うかどうかも判断できるからね。」
凛「ですが、誰が誰と衣装交換するのを決めるんですか?」
奈「もちろん自分が興味のあるファッションをしている相手ですわよ。わたくしは咲彩さんと交換して見たいですわね。」
咲「そうなの。勿論いいけど、私の服は派手だけど大丈夫?」
奈「ええ。わたくしの衣装はゴスパンクをベースにしているのですが、咲彩さんのようなロックスタイルの服にも興味があるんですの。機会があれば前から着てみたいと思っていましたの。」
和「面白そうね。ならあたしは・・・織田倉の服が気になるわね。」
水「アタシかよ。このジャケットオーダーメイドだから誰にも貸したくないんだけどな。」
和「織田倉みたいなフォーマルな服装って避けがちだからこの機会に着て見たいのよ。」
水「まあ和琴ならアタシとそんなに体格変わらないし、少しだけならいいか。和琴の服は逆にラフな感じなんだな。」
凛「私は、愛麗のお洋服は着たことあるので色部さん。どうですか?」
柚「ボクと凛世ちゃんの服?いいけど、男みたいなボクに凛世ちゃんの服似合うかな・・・?」
凛「私の服はズボンですし、ただ、髪型そのままだと帽子かぶるのにはきついかもしれませんが。」
柚「なら解くよ。凛世ちゃんの髪はボクが結ってあげるね。」
苺「この組み合わせで行くと我は愛麗君と交換することになるわけだな。」
麗「苺子の服あたしとサイズ合うかな・・・?」
苺「たぶん大丈夫だろう。我と愛麗君じゃ10cm程度しか違わないわけだし。」
麗「ちょっと不安だけど、まあいいよ。」
苺「あ、そうだ。どうしても不安ならこれを使ってほしいのだ。」
苺瑠は愛麗に黒い洋服を渡した。
麗「なにこれ?」
苺「上半身に着るタイツだよ。君が不安なのってその・・・ここだよな?」
苺瑠は胸部分を指さしながらそう言った。
麗「・・・うん。」
苺「たぶん我の服ってサイズが小さいから愛麗君の場合そこが引っかかるのが不安なんだと思ったのだ。だから・・・もし我の服のファスナーが引っかかっても無理に上げずにこれ着れば問題ないはずだからさ。」
麗「苺子、なんかいろいろ心配かけちゃってごめん。」
苺「別にいいさ。我もいろいろ悩みがあるから言えたことだし、あまり身体の事で悩みすぎないようにしたほうがいいのだ。同じ身体に育つ人なんて誰一人としていないんだからさ。」
互いに服の貸し借りをし、10分ほどで衣装の交換は終了した。
咲「みんな互いに借りた服着終わった?」
水「ああ、なんとかな。」
苺「それなら見せ合いをしてみるのだ。」
そこにいる
麗「服変えると皆雰囲気全然変わるのね・・・」
凛「誰からじっくり見ていきましょうか?」
奈「言いだしっぺはわたくしなのでわたくしから行きますわ・・・どうでしょう?」
麗「咲彩と髪型があまり変わらないせいか、普通に似合ってるね。」
和「天宮城は普段がゴスパンクだからかスカートのイメージが強いけど、パンツを履くのも有りね。」
奈「ありがとうございますわ。ですが・・・アクセサリーが多くて少し重たいですわね・・・」
咲「そうだよね。だけど私はロックスタイルのファッションにアクセサリーって外せないと思っているから、全部つけないとだめだよ?」
水「咲彩のほうは、いつもよりも可愛らしい感じがするな。」
咲「普段がロックスタイルな私にゆめちゃんのお洋服は可愛すぎるかな・・・」
和「そんなことないと思うけど。神宿は天然の巻き髪だから、ゴスパンクもあってると思うわよ。」
嘉「そう言う和琴ちゃんもフォーマルな格好も似合っとるで。」
和「ありがと雷久保。だけどこういうジャケット系って落ち着かないわ・・・インナーのスカートも短いし、やっぱりあたしはカジュアルな服の方がいいわね。」
水「そうか・・・そこは好みだからどうしようもないな。アタシは和琴の服気に入ったわ。固さや縛られた感じがなくて着心地いいぜ。」
柚「嘉月ちゃんは誰とも交換しなかったんだね。」
嘉「ウチは服のこだわりが強いから自分の好きなもん以外はどうしてもなぁ・・・それにここにいる人数が奇数やし衣装交換はまた次の機会にやらせてもらうわ。」
柚「そっか・・・ボクたちはどうかな?いつもと違う雰囲気に慣れたと思うんだけど。」
凛「私たちは髪型も交換してみました。」
奈「柚歌さんの髪下ろしも凛世さんのお団子も素晴らしい完成度ですわね。」
麗「2人とも元がいいから何でも似合うんだね・・・」
柚「いやそんなことないってば・・・」
凛「ですが、色部さんのお洋服って肌面積多くないですか・・・?半ズボンやハーフパンツは体操服以外で着たことないもので・・・」
柚「そういう凛世ちゃんの服もそれなりに肌面積広いと思うけど・・・デニムは長ズボンだけど上はキャミソールみたいだし、上着もベストだから腕が露出してるし。」
麗「自覚がない人ほどファッションが大胆になりがちって話も聞いたことあるけど?」
凛「そういう愛麗だって・・・あら?」
麗「どうかしたの?」
凛「おかしいですね・・・愛麗より着ているお洋服のサイズが小さい立屋敷さんと衣装交換したのであれば、愛麗の胸がファスナーを邪魔して巨乳の方が着ているライダースーツのように途中で引っかかっているはずのに美しい部分が露出してないような・・・」
麗「そこ期待してたのかよ・・・苺子が配慮してくれたから見えないわよ?」
苺「うむ、愛麗君が胸が見えるのを嫌そうにしていたから下着の代わりになる服も一緒に貸したのだ。これ着れば大丈夫なのだと言ってな。」
麗「ああいうの好きじゃないのよ。明らかにエロい路線を狙っているようにしか見えなくてさ。」
和「だけど生泉の身体がエロいのは事実なわけじゃない。開き直って生かしたほうがよくない?」
麗「あんたわかってないのね・・・そういう目線で見られるのが嫌なの!」
咲「そうだよ。いくらスタイルが良くたって、自分では不快に思うことだってあるんだよ?」
和「スタイルの事軽く見すぎてたわ・・・ごめん。」
麗「いいわよ別に・・・スタイルの良さを自慢できる人みたいに開き直れれば一番いいんだけどね。」
苺「あのさ・・・我はどうかな?愛麗君との差別化として肩のベルトを一本外してみたんだ。」
凛「似合ってますよ。愛麗のお洋服って幼い雰囲気が強いですから、立屋敷さんが着ることで魅力を十分発揮していると思いますね。」
苺「ありがとう凛世君。だけどそれって我が子供っぽいと遠まわしに言われているようにも聞こえるのだが・・・」
奈「服を交換して見てどうでしたか?衝動買いしなくても自分が普段身に着けない服やアイテムが似合うかどうか分かったのではないですか?」
咲「ゆめちゃんの言うとおりだったね。私はゴスパンクも試してみたくなったよ。アクセサリーを取り入れてみようかな。」
水「アタシはラフな格好はあまり肌に合わねえなって思ったぜ。」
和「あたしも固いフォーマル衣装は肌に合わなかったわね。」
凛「私もスポーティな格好は運動するときだけで十分だということが分かりました・・・」
柚「ボクはたまには凛世ちゃんみたいな大人っぽい格好をしてみるのも気分転換できていいなって思ったよ。」
苺「我は愛麗君の服気に入ったな。なにより動きやすくていい。ズボンだから下着を見られる心配もないしな。」
麗「あたしは・・・無理かな。苺子のワンピーススカートは丈が短くてちょっと・・ってかそれ以前に胸が収まらないし。」
嘉「ウチは見てただけやったけど皆それぞれ楽しそうに見えたで。今度は誰かと衣装交換やってみたいもんや。」
奈「わたくしたちは身長を除けばあまり体系的な差はありません。お店に行く前に貸し借りをして着てみることで色々と分かってよかったのではないですか?」
麗「あたしはそうでもなかったけどね・・・だけど先走って衝動買いするのもあまりよくなかったかもしれないわね。ショッピングモールに行くのはまた今度にしようか。」
こうして愛麗たちは衝動買いに走る前に前に好みの違う友人から服やアイテムを借りて実際に貸し借りしてみるというのも悪くないということを学んだのであった。