?「ふーんふんふーん。仕事終わりのお散歩は最高ですわ!」
この機嫌よさそうに歩く女性は千葉崎瑠璃子。千葉崎姉妹の6女であり姉妹の中でもトップクラスの頭の良さを持ち合わせているという。現在は投資家兼エッセイストとして活躍しておりそこそこ有名である。しかし、彼女には困った一面があった。
瑠「・・・さて、この辺でやりますわ。」
瑠璃子は水晶学園の正門の近くにある木に隠れると、スマホを取り出して正門の方に向けると写真を撮り始めた。
瑠「水晶学園の女の子たちはどの子も素敵で可愛いですわ~!もう本当に食べちゃいたいぐらい!」
瑠璃子がやっているのは美少女ウォッチング・・・と言う名前の盗撮であった。もはや変態淑女である・・・
瑠「あら・・・?あの子たち一段とキュートですわ!!!特に紫の髪の子がべらぼうにいいですわね!」
瑠璃子の視線の先には学校を終えて帰る愛麗たちがいた。
瑠「あんなにかわいい子たちなら・・・ちょっとだけ粗相をしても許してくれるはずですわよね?」
瑠璃子は謎の理論を展開し、愛麗たちを襲う理由を正当化すると・・・木陰から愛麗たちの目の前に飛び出した。
瑠「可愛い可愛い貴方たち、特にそこの紫の髪のお嬢さん、ちょっとわたくしとお話ししてくれませんこと?」
麗「・・・急に飛び出してきてなによ!って、あれ奈摘?変装でもしてるの?」
奈「わたくしはここにいますわよ?」
咲「え、それじゃその人って・・・」
瑠「わたくしは奈摘ではありませんわ。千葉崎瑠璃子といいますの。」
水「千葉崎ってことは・・・」
麗「真凛さんのお姉さんか妹さんってことね。」
瑠「真凛お姉さまをご存じなのですね。わたくしは6女・・・すなわち第6子なのです。」
水「真凛さんたちの親族とはいえ、急に木陰から飛び出してきて何のつもりだ。理由によっては警察に連絡する必要もあるんだがな。」
瑠「待ってくださいまし!わたくしは別に貴方たちを誘拐しようなんて思っていませんわ!」
咲「だけど、急にお話してくれっておかしいよね。」
奈「ですが誘拐犯であるのなら、自分の名前を名乗るなんてことはしないはずですわ。」
瑠「だからわたくしは誘拐犯ではないと言っているじゃないですの!」
水「・・・少し話をする必要がありそうだな。どっかいい場所なかったかな。」
咲「喫茶店とかだとお店に迷惑がかかっちゃうから難しいよね。」
麗「それなら目隠しした状態で地下書庫に連れ込むのはどう?あたし目隠しできそうなリボン持ってるし。」
咲「らっちゃんがリボンを持ってるなんて意外だね。」
麗「髪まとめる時のために持ってんだよ。さて・・・こんな感じでいいかな。」
愛麗はリボンを使って器用に瑠璃子を視界をふさぎ目隠しした。
瑠「あら?何も見えませんわね・・・これって目隠しプレイですのね!」
水「なんか喜んでないかこの人?」
咲「いわゆるMな人なのかな・・・」
麗「そんなことはどうでもいいでしょ。さて・・・和琴に連絡して地下書庫を開けてもらうか。」
愛麗は電話で和琴に連絡したのち、咲彩と水萌と共に瑠璃子の身体を支えて地下書庫へと向かったのだった。
愛麗たちはその後、目隠しした瑠璃子をなんとか地下書庫まで連れ込むことに成功した。
麗「ここから階段だから気をつけて・・・」
瑠「分かりましたわ。それにしても歳ばもいかない若い女の子たちに目隠しプレイしてもらえるなんてラッキーですわ。」
水「静かにしてもらえるか?こっちは大変なんだよ。」
地下書庫の中では連絡を受けていた和琴と凛世が待ってくれていた。2人は午後の授業が休講になったため愛麗達よりも早く帰宅していたのである。
凛「あ、愛麗たち来ましたね。お疲れ様です。」
和「急に書庫開けろなんて言うから何事かと思ったわよ。」
麗「悪かったわね。ちょっと尋問をしないといけない人がいてさ・・・」
愛麗はそう言うと目隠しされた瑠璃子を2人に見せる。
凛「その人、見たことありませんけどどちら様なんですか?」
咲「真凛さんの妹さんで瑠璃子さんって言うんだって。」
水「なんか道端から急に出て来てアタシらの前に立ちはだかってわたくしとお話しして欲しいみたいなことを言ってきたんだ。」
和「それってもはや不審者と何も変わらないんじゃないの。不審者が急に知りもしない女子高生に話しかけてきて誘拐するなんてよくあることだし。」
麗「とはいえ、これぐらい体格の女性が単独でほとんど体格に差のない女子高生を誘拐しようなんて考えにくいと思うのよ。」
凛「それで目隠ししてここまで連れてきて話を聞くってことにしたのですね。」
麗「そうだよ。最悪の場合レナちゃんが作った記憶消去銃があるからそれ使えばいいし。」
瑠「銃!?わたくしの命はここまでなんですの・・・」
和「心配の必要はないわ。麻酔弾みたいなものだから。その人はこの椅子に括り付けるといいわ。」
瑠璃子はおもりの括り付けられた椅子に座らされ、足を紐で固定され逃げられない状態にされてようやく目隠しを外された。
瑠「はぁ、やっと見えましたわ・・・って今度は縛られてますわ!これはもはやいじめですわ!」
麗「いじめとか言われると心苦しいな・・・」
凛「愛麗、今回の状況では悪いのはあちらなのですから、気にすることありません。」
和「夜光って時々だけどすごく冷たいわよね・・・」
凛「このような状況を招いたのはこの方だと思いますので。」
麗「それもそうよね。瑠璃子さん、早速質問させてもらうから答えてください。回答によっては誘拐未遂とかで警察に連絡させていただきます。」
瑠「うう・・・捕まるわけにはいかないので答えますわ。」
咲「最初は私からです。職業はなんですか?」
瑠「普段は投資家をやっておりますわ。後は時折エッセイを執筆していますの。」
咲「投資家兼エッセイストってことですね。どんなエッセイを描いているんですか?」
瑠「実体験に基づいた実話・・・ノンフィクションを書くことが中心ですわね。ファンからも高い評価を受けているんですのよ。」
水「ファンはいるのか・・・次はアタシから。その出しているエッセイの実物、無理なら掲載されているWebページの画面を見せてもらえるか?」
瑠「分かりましたわ。こちらですわ。」
瑠璃子は自分のスマートフォンを操作して自分の本が掲載されているWebページを開いて画面を水萌に見せた。
水「「実録私の家族の闇」、「13姉妹苦悩人生」か。確かに作品としてはしっかり存在しているみたいだし評価も高いみたいだな。」
瑠「真凛お姉さまと関わっている貴方たちならすでに知っているとは思いますが・・・わたくしたちは修羅の道をずっと歩んできたんですの。だからその時の実体験を漫画にして持ち込んだら大ヒットしたというわけですわ。」
麗「そうなんだ、次はあたしね。今から真凛さんに連絡して姉妹の中に貴方が本当にいるのかを確認するけどいいわよね?」
瑠「かまいませんわ。」
麗「じゃ、早速かけるか・・・」
愛麗は自分の電話で真凛の連絡先にかけた。
麗「・・・あ、真凛さん急にすいません。」
真『あら、愛麗さんでしたか。急にどうしました?』
麗「真凛さんの妹の中に瑠璃子さんって人いますか?その人あたしたちに変態丸出しの言動で絡んできて・・・」
真『そうなのですか!?まったくあの子ときたら頭はいいのに趣向がちょっと変なので・・・ご迷惑をおかけして申し訳ありません。』
麗「謝らなくて大丈夫です。あたしたちなにもされてませんから。瑠璃子さんは真凛さんたちの姉妹のうちの一人で間違いないってことですね。」
真「ええ。千葉崎瑠璃子、姉妹の中では6女です。今は投資家とエッセイの執筆をしていると言っていましたね。」
麗「それだけ確認できれば十分です。忙しい中ありがとうございました。」
真『いえ、今日は特に予定も入っておりませんから気にしないでください。それでは。』
真凛はそれだけ言うと電話を切った。
麗「・・・一応姉妹であることは本当みたい。」
瑠「当然ですわ。異母姉妹とはいえ、わたくしたちの絆は固いのですわ。」
凛「奇行を働いた妹に怒ったりしないなんて真凛さんはお優しいですね。私が姉の立場だったら厳しく言ってしまいそうです。」
和「今日の夜光ほんと怖い。」
奈「では最後にわたくしから。こういった行為はよく行っているんですか?」
瑠「いえ、今回は貴方たちがべらぼうにかわいかったのでつい・・・普段は声をかけたりしませんもの。」
奈「ということは今回が初犯ということでよろしいですわね?」
瑠「初犯って・・・わたくし貴方たちの身体を傷つけるようなことはなにもしていないですわ!」
奈「それもそうですが・・・貴方のここまでの言動を見る限りではもしあのままわたくしたちが大人しくしていたら襲ったという可能性も否定できませんから。」
瑠「そう言われますと・・・いえ、わたくしは貴方たちを襲うつもりはなかったと心から誓います!なのでわたくしを信じてくださいまし!」
和「・・・この人こう言ってるけどどうするの天宮城?」
奈「人の心という物は目に見えないものですから言葉だけで判断するのは難しいですわ・・・」
咲「瑠璃子さんの気持ちは一通り聞いたことだし、どうするか決めようか。」
凛「いいんじゃないですか記憶消去で。愛麗たちを襲おうとした罪はとても重いですよ?」
水「そこまでする必要あるか?ここまで聞いた感じだと根は悪い奴じゃなさそうだぜ?」
奈「記憶を消しておけばここの存在が知られるということも無いですものね。」
和「ここは生泉が決めたほうがいいんじゃないかしらね。」
麗「え、なんであたし?」
咲「瑠璃子さんが真っ先に襲おうとしたのはらっちゃんだし、妥当だと思うなぁ。」
麗「急に決定権をゆだねられると決めづらいな。」
瑠「それでわたくしは結局どうなるのですの・・・」
麗「今ちょっと話し合いで決めているから少し待ってて!」
瑠「分かりましたわ。」
愛麗たちは瑠璃子から少し離れると5分ほど瑠璃子の処遇についての話し合いを行った。話し合いが終わると瑠璃子の前に戻ってきた。
麗「・・・それじゃ瑠璃子さん。話し合いの結果が出たから伝えますね。」
瑠「やはり記憶消去ですの・・・?」
麗「違うわ無罪よ。今回は見逃してあげます。」
瑠「今なんて言いましたの?」
麗「今回だけは見逃すことにするってことです。」
瑠「・・・いいんですの?」
凛「はい。私は少し不満ですが、貴方自身は本当に悪い人ではなさそうですし。」
和「悪意がなければそれでいい。あたしたちも変人同士で固まっているみたいなもんだしね。」
水「ただし、アタシらへのセクハラ行為は禁止な。」
咲「それさえ守ってくれれば、私たちは貴方を歓迎します。知っている人たち以外に公言しなければ、好きな時にここを利用してくださってかまいませんよ。」
瑠「いいんですの・・・?わたくしは貴方たちに邪な気持ちを持って近づいた怪しい大人だと言うのに・・・」
麗「真凛さんたちには日頃からお世話になってますし、真凛さんたちと同じ劣悪環境で育ったのなら貴方だって悪い人じゃないはずですから。」
瑠「あ・・・ありがとうございますですわ!なんていい子たちなんでしょう貴方たちは・・・」
麗「それともう一つ・・・次誰かに手を出そうとしたり、この場所の事をばらそうとしたら問答無用で記憶消去ですからね。」
瑠「はい!もちろんですわ!わたくし口は固いですのよ!」
全「「「「「(ほんとかなー・・・)」」」」」
こうしてちょっと変態な一面を持つエッセイストの瑠璃子は真凛や禰恩と同じように時たま地下書庫に出入りするようになったのだった・・・
ちなみに瑠璃子はこの時いなかった他の子(主に嘉月と柚歌に対して)ナンパ行為を行い一悶着起こして愛麗たちに呆れられることになるのだがそれはまた別の話である。