今日は七夕。水晶学園の各クラスでは願い事を書いた短冊を書いていた。
咲「奈摘ちゃんは短冊にどんなお願い事書いたの?」
奈「あら・・・人のお願い事を聞くなんて咲彩さんったら大胆ですわね。わたくしは、この夏のイベントで百合漫画が10万部売れますようにって書きましたわ。」
咲「奈摘ちゃんらしいね・・・たくさん売れるといいね。」
奈「ええ、咲彩さんはなんて書きましたの?」
咲「私は・・・夏祭りにたくさんのお客さんが来てくれますようにって書いたよ。」
奈「なんだ、わたくしと似たようなことじゃないですの。」
咲「それもそうだね・・・」
咲彩たちが願い事を教え合う一方で愛麗たちは短冊に書く願い事を考えていた。
麗「七夕祭りなんて子供じみたイベントまで用意してるなんて・・・学園長はずいぶんイベント好きなのね。」
エ「おじい様はみんなで楽しめることが大好きだから・・・」
凛「それより、愛麗は何をお願いしたんですか?」
麗「あたし?あたしは洋服いっぱい欲しいなって・・・」
環「同じような服ばかり欲しがるあんたが書くにしては意外な願いね・・・」
麗「まあそうかもしれないけど・・・アンはなにを書いたのよ?」
環「私は今やってる研究が成功しますようにって。」
麗「今やってんのって任意の遺伝子を子に確実に遺伝させる方法を探してるんだっけ?うまくいくといいわね。そういや凛世は何書いたの?」
凛「うちの蕎麦屋の夏メニューの新製品の冷やし五目蕎麦が売れますようにって・・・」
麗「そう。凛世が考えた料理なら売れるわよ。美味しいもの。」
凛「愛麗にそう言ってもらえるとうれしいです~」
ちなみにこの冷やし五目蕎麦は、夏の間人気が爆発し黒蕎麦の通常メニューになるのだがそれはまた別の話。
嘉「レナちゃんはなんて書いたん?」
エ「筋電義手の技術が発達していきますようにって書いた・・・」
嘉「レナちゃんらしいなぁ。ウチはこの夏に大作と呼べる写真が撮影できますようにって書いたわ。」
エ「嘉月ちゃんならきっと撮影できる・・・」
嘉「そう言ってもらえるとうれしいわぁ。」
水「おーい、うちのクラスの分の笹持ってきたぞ。」
和「ちょっと重かったわね・・・」
水「ってかなんでアタシと和琴にやらせんだよ。14人いるんだからもう1人ぐらい入れてくれてもいいだろ。」
咲「2人なら力あると思ったから・・・」
水「力なら陽姫だってあるだろ。」
咲「はるちゃんは・・・ほら、あそこで飾り作ってるから。」
咲彩が指さした方では陽姫と柚歌が笹に飾る短冊以外の飾りを作っていた。
陽「中々きれいにできないよぉ~」
柚「ああ、そこはこうやればきれいにできるよ。」
陽「柚歌ちゃんありがとう。いつも助けられてばかりだね。」
柚「いや、別にこういうこと慣れっこだからさ。そういえば陽姫ちゃんって短冊になんて書いたの?」
陽「わたし~?甘いもの一杯食べられますようにって。」
柚「陽姫ちゃんらしいね・・・」
陽「柚歌ちゃんはなんて書いたの~?」
柚「ボク?ボクは・・・ずっと健康な体でいられますようにって書いたよ。健康な体が無いとスポーツもできないし絵も描けないからね。」
水「陽姫、柚歌。飾りできたか?」
柚「水萌ちゃん。うん、大体できてそこの箱に入ってるよ。」
水「それじゃ、これ持ってっちゃうな。あっちで苺瑠や咲彩と飾りつけしてくるから。」
陽「よろしくねぇ~」
水「彩華、咲彩。飾りつけするぞ。」
姫「うむ、分かったのだ。」
咲「さすがはるちゃんセンスいいわね。中々きれいな飾りだよ。」
ア「ワタシも手伝いマス。」
和「笹はあたしが持ってるから4人で飾り付けやって。」
水「おう、頼むな。」
和琴が笹を持ち、4人が陽姫たちが作った飾りを飾り付けていく。
水「和琴は短冊になんてお願い書いたんだ?」
和「あたし?そうね・・・うちの本屋にもっと常連客が増えますようにかな。」
水「本屋の方の願いなのか・・・カウンセリング室の利用者が増えますようにって書いたのかと思ったぞ。」
和「そっちは別に増えなくてもいいし。むしろ精神的に苦痛を感じている人は少しでも少なくなってほしいのよね。」
水「それもそうだな・・・苺瑠はなんて書いたんだ?」
姫「我か?落語の講演会をたくさん聞きに行けますようにと書いたのだ。」
ア「落語は日本の素晴らしい文化デスよね。」
姫「うむ、ラニー君はわかってくれているみたいで嬉しいのだ。」
咲「ラニちゃんはお願い事何にしたの?」
ア「ワタシですか・・・ワタシは日本の色々な景色を見て回れますようにってお願いしました。恥ずかしながらまだ東北とか西日本に行ったことないんデスヨネ・・・」
水「2年になれば修学旅行とかあるし、先生たちがアタシらの代は西日本方面に行くって言ってたから1年後にはその願いかなってるな。」
ア「そうですネ・・・大阪とか東京にも行ってみたいので、目標の全国制覇はまだまだできそうにないですヨ。」
咲「東京なら・・・ここからそんなに離れてないし、夏休みになったらみんなで行ってみない?」
和「たまには都会に行くのも悪くないよね。」
ア「本当デスカ!?ワタシ、楽しみにしてますネ!・・・そういえば水萌サンは何をお願いしたのですカ?」
水「アタシ?・・・英検1級に合格できますようにって書いたよ。」
咲「みずちゃんは現実的だね。」
水「別にいいだろ。」
咲彩たちがそんな会話をしながら笹に飾りつけをしていると、短冊を書き終わった愛麗たちがやってきた。
麗「咲彩、あたしらの分の短冊できたけど、飾り付け終わってる?」
咲「うん大体終わってるよ。」
麗「そう、それなら勝手に短冊も飾らせてもらうわ。」
咲「分かったわどうぞ。」
咲彩たちが4人で飾り付けた笹に愛麗たちが短冊を括り付けていく。
麗「よし、これで全員分付けたかな。」
凛「そうですね。生泉さんの飾り付けはきれいですね。」
麗「それほどでもないと思うけど・・・」
こうして、1組の願いを込めた笹が完成した。
奈「これどうするんでしたっけ?」
エ「おじい様はそれぞれのクラスの廊下に飾るって言ってた・・・」
嘉「そうなんや。七夕の風習に従って燃やすんやと思ってたわ。」
ア「まだ7月7日になってないですヨ。」
麗「それもそうね。燃やすのは当日かその次の日でしょ。」
嘉「それもそうやな。」
陽「それじゃあ、私が飾ってみるねぇ。」
柚「転ばないように気を付けてね。」
陽「もちろんだよぉ・・・あっ・・・」
水「あぶねえ!」
陽姫は転んでしまったが、笹は水萌が間一髪のところで受け止めた。
水「危なかったな・・・」
和「笹が無事でよかったわね。」
陽「わたしのことは~?」
水「陽姫が転ぶなんて日常茶飯事だしなぁ。」
和「西園寺だしね。転んで平常運転って感じよね。」
陽「そんなひどいっ!」
咲「それよりも笹を飾りましょ。」
咲「さあちゃんまで無視するなんて・・・」
笹は和琴と水萌の手で廊下に飾られた。
咲「凄く立派・・・」
奈「綺愛麗ですわね。」
姫「このまま我ら願いも叶えばいいんでだがな。」
ア「大丈夫デス!きっと叶いますヨ!」
廊下に飾られた揺れる笹を見ながら13人はそれぞれ思った。皆の願いが叶いますようにと・・・