愛麗風邪をひく

ある金曜日のこと。生泉愛麗は風邪を引いて寝込んでいた。運よく彼女は金曜日に授業を入れていなかったものの、1組の朝会には出席しており欠席扱いは免れた。彼女の祖父は最近騎ノ風店の売り上げがよかったこともあり、国道沿いにある空き店舗を購入できたのでバイク屋の営業はそっちで行うようになってしまった。連日客足も多いので家に戻ることもできない。祖母は大宮にあるサウスモーター埼玉本社にいるので騎ノ風まで行くことはできない。なので凛世たちが愛麗の看病をしていた。愛以外にも奈摘、嘉月、陽姫の3人・・・計4人が来て看病をしている。
本来、愛麗たちは金曜日の1時間目には授業を入れず、朝会参加後は愛たちと自由に解放されている開き教室などで過ごしていたので、その時間を有効的に使ったわけである。また、クラスのメンバーはそれぞれ授業の空き時間が違うので交代で看病をしているようである。
凛「愛麗、死んじゃ嫌ですよ?」
麗「この程度じゃ死なないって・・・医者もただの風邪だって言ってたし薬飲んで寝てれば直るわよ・・・」
しかし、寝ている愛麗の顔は赤くなっており苦しそうだった。
嘉「雑炊作ったけど食べられるん?」
嘉月が調理場から作ってきた雑炊を持ってきて枕元に置いて聞く。
麗「少し食べる・・・」
愛麗は雑炊を3分の1ほど食べた後、眠りについた。
凛「今は穏やかに眠ってますね・・・」
奈「まさか愛麗さんが風邪になってしまうとは・・・」
嘉「せやな・・・急な話やったもんな・・・」
3人が話をしていると陽姫が洗濯物らしき籠を持ってきた。
陽「新しいシーツ持ってきたけど汗大丈夫?」
汗をかきながら苦しそうに言った。
麗「ハァ・・・暑い・・・」
凛「直射日光が暑いんでしょうか・・・?」
凛世はブラインドを使って日光を遮り、愛麗にかかっている布団を捲った。すると今度は縮こまって震えだした。
麗「寒いよぉ・・・」
奈「酷い汗ですわね・・・着替えさせないと・・・」
嘉「だけど愛麗ちゃん裸見られるの嫌いって言ってなかったっけ・・・」
奈「あ・・・そういえば愛麗さんの足には傷が・・・」
陽「こういう時どうすればいいの・・・」
嘉「あ、たぶん凛世ちゃんなら大丈夫やと思う。恋人やし。」
凛「え、私ですか?」
陽「そうだね。わたしがタオルと着替え持ってくるから凛世ちゃんは愛麗ちゃんの服脱がせておいて。」
凛「あ、はい・・・」
陽姫はそう言うと彼女のウォークインクローゼットの方に入っていった。
凛「(緊張します・・・)」
それもそのはず、愛麗は朝会で倒れたところを家に運ばれてきたので私服のまま寝ていたのだった。
凛「ごめんなさい愛麗・・・ではいきますよ・・・」
凛世は愛麗の服を脱がそうと手を伸ばしたが謝って胸に触ってしまった。
凛「あ!ごめんなさい・・・」
麗「あんたのことだからあたしの服を脱がすとかで緊張してるんでしょ・・・緊張しちゃって胸触ったことぐらいじゃ怒らないから・・・」
凛「はい・・・」
凛世は緊張から時間をかなり要したが何とか服を脱がすことはできた。その後、陽姫が持ってきてくれたタオルで体の汗を拭きとる。
凛「痛みはないですか?」
麗「いい感じで気持ちいいわ・・・」
背中側を拭き終えた愛は今度は前側を拭こうとするが、謝って今日二度目の愛麗の胸に触ってしまう。だが愛麗は胸にニプレスを貼っていたので中心部には触れずに済んだが。
麗「んっ・・・」
凛「ああっ、ごめんなさい・・・」
麗「さっきも言ったけど凛世が緊張しているのは分かってるわ。そんなことぐらいで怒らないから続けて。」
凛「分かりました・・・」
その様子を遠巻きに見つめる凛世以外の3人は蚊帳の外にされたような気分になっていた。
嘉「完全に2人の世界やな・・・」
奈「わたくしたち完全に置いてけぼりですわ・・・」
陽「わたしも柚歌ちゃんとあんな関係になりたいな・・・」

その後、5人の看病もあって、愛麗の病状は夕方にはすっかり良くなっていた。
麗「ん~!もう苦しくないわ。元気になったみたい。」
奈「よかったですわ元気になって。」
麗「なんか今日はあたしが急に倒れてみんなに迷惑かけちゃって悪かったわ・・・」
嘉「なんや珍しく素直なんやな。」
凛「素直な愛麗も可愛いです。」
麗「なんだか腑に落ちないけどまあいいわ。それと、冷蔵庫にあたしが作ったケーキあるから良かったら食べてって。」
凛「いいんですか?」
陽「愛麗ちゃんのケーキ大好物だよぉ!」
奈「それでは遠慮なく頂かせていただきますわね。」
嘉「ウチが切り分けるから待ってて。」
嘉月は早速冷蔵庫からケーキを取り出すときれいに切り分け始めた。その様子を見ながら愛麗はこう思っていた。
麗「(今日はちょっと騒がしいけど、たまにはこういうのも悪くないわよね・・・)」