テーマパークでの災難

千葉崎先生はその日、憂鬱そうな顔で手元のチケットを見ながら歩いていた。
彼が持っているのは騎ノ風市国立公園の中にあるテーマパークのチケットのようである。
零「ふーむこれが懸賞で当たったが、吾輩は温泉チケット希望だったんだよなぁ。なんではがきに丸を付けるところを間違えたのか・・・
吾輩はここに一緒に行く恋人もいないし、家族だっていない。もう誰かに譲ってしまうのであーる。」
誰かに譲ることを決めた千葉崎先生の近くを丁度良く愛麗と愛が通りかかる。
零「夜光君に南百瀬君。ちょっといいかな?」
麗「あ、千葉崎先生。どしたの?」
凛「こんにちは先生。何か御用ですか?」
零「君たちテーマパーク興味ない?吾輩実は国立公園のテーマパークのチケット持ってるんだけど君たちに譲ろうと思ってだな・・・」
凛「いいんですか?」
麗「先生のクラスの・・・翠とか響生には声かけたの?」
零「いや・・・まだ吾輩あいつ等と上手くやれなくてな・・・君たちの方が係わり深いし。
それに吾輩は以前君たちにとんでもないことをしてしまったような気がするのであーる・・・」
麗「あたしたちにとんでもないことしたの?」
凛「覚えがありませんけど・・・」
零「吾輩の本能が語りかけてくるのであーる。君たち含む1組の諸君とは前世で何かあったような気がすると。
前世の罪滅ぼしとしてもらってくれると嬉しいのだが・・・」
麗「何の罪滅ぼしか分かんないけど・・・もらっておく?」
凛「ええ、国立公園のテーマパークなら面白そうですし。」
零「そーかそーか。有意義に使ってくれると吾輩嬉しいぞ。あ、チケットは6枚あるから好きな友達を誘うといい。」
千葉崎先生はそう言うとその場を去って行った。
麗「今日は木曜日・・・あさっての土曜日に都合がつくかを皆に連絡してみるか。あ、愛は大丈夫だよね?」
凛「ええ。もちろんですよ。」
麗「じゃああと4人。みんな忙しいから取れるかな・・・?」
愛麗はその後、1組の生徒全員に連絡をまわして土曜日の都合を聞いた。
結局都合がついたのは和琴、嘉月、咲彩、苺瑠の4人だったのでこの6人で行くことにした。

そして土曜日。愛麗たちは国立公園に併設されたテーマパークにやってきていた。
麗「騒がしい所ね・・・まあテーマパークだし当然だけど。」
咲「それでどこから回るの?どのエリアも面白そうな所ばかりだよね。」
和「そうね・・・3Dで再現された恐竜が歩き回るジュラシックエリア、戦国時代の興奮を再現戦国エリア、
喉かな雰囲気漂う平安時代を再現した平安エリア、異文化時代の幕開け幕末明治エリア・・・他にも色々あるのね。」
姫「我は幕末エリアがいいな。勇さんや新選組の勇士が素晴らしく描かれているだろうからな!」
和「苺瑠は先祖崇拝してるもんね~。」
姫「な・・・これぐらい普通だろう!?貴様は先祖にありがたみを持ったことがないのか!?」
和「あんまないわね。だってあんたと近藤勇の血凛世と比べるとあたしは凛世戚にすぎないし。」
咲「ねえいっちゃん・・・こんなとこ来てまで止めてよ・・・」
麗「この調子じゃ幕末エリアにはいかないほうがよさそうね・・・」
凛「そうですね。お二人が言い争いになるのは目に見えてますから。」
嘉「もうええわ!なんならうちが行く場所決めたる!ええと・・・平安時代エリア行こ!言い争いしてたら時間無くなるで。」
咲「そうだね。今日は楽しまなくちゃ。」
和「せっかくテーマパーク来たのに見苦しかったわねごめん・・・」
麗「ほら行くわよ苺瑠!来ないんなら置いて行くからね!」
姫「えっ・・・待ってほしいのだぁ・・・」
麗「(ここに苺瑠誘ったのミスだったかな・・・)」

愛麗たちは平安時代を再現した平安時代エリアにやってきた。
古風な日本庭園が広がるのどかな場所であった。所々に茶屋があり、いくつかある池には錦鯉が泳いでいる。
何とそこには6組のムードメーカー鳥海草苗がいた。
草「あ、南百瀬ちゃんたちこんにちは。ここに遊びに来たの?」
麗「えっとあんたは・・・誰だっけ?」
凛「愛麗、鳥海さんですよ6組の・・・」
麗「鳥海か。そういえば最近出番ないから忘れてたわ。」
草「出番って何?あたしよく分かんないや・・・」
和「鳥海はここで何してんの?」
草「パパの手伝い。あたしのパパはここのオーナーなんだよ。それよりさ、この平安時代エリアの説明聞いて行ってよ。
この平安時代エリアはね、昔ながらの庭園を再現しているんだよ。和風な情緒を感じるいい場所でしょ?」
咲「うん、素敵だと思うよ。」
草「神宿さんならわかってくれると思ったよ~!それとね、ここでは実際に十二単を着ることもできるんだよ。よかったら神宿さんやってみない?」
咲「えっ・・・私が?」
麗「咲彩なら似合いそうな気がする。和風美人だし。」
凛「和風美人なら私だって負けてま・・・」
和「夜光はヴァンパイア的な部分があって洋風がかなり混じってるからこういうのは神宿がやったほうがいいんじゃない。」
姫「いや、咲彩君も髪くるくるだし多少の洋風は混じってると思うぞ。」
草「希望あれば髪ぐらいストレートにセットするよ?」
咲「いいの鳥海さん?」
草「うん、神宿さんたちには良くしてもらってるからね。髪をストレートにするぐらいサービスするよ?」
咲「皆がそう言ってくれるのなら着てみようかな・・・」
嘉「ええ写真いっぱい撮ったるからな。」
草「それじゃ神宿さんこっち来てね。髪はツインテールは維持したまま毛先だけストレートにする?それとも下ろす?」
咲「髪型はそのままでお願いします。」
草「了解。それじゃさっそく始めるよ。」
草苗は慣れた手つきで咲彩の髪をヘアアイロンで整え始める。
草「終わったよ!どうかな神宿さん。」
十二単を着た咲彩は日本の大和奈摘を体現したような姿をしていた。和風な顔立ちである咲彩には和風の着物のような服がかなり相性がいいのである。
アイロンでまっすぐ伸ばしたストレートツインテールがそれを物語っている。そんな雰囲気だった。
咲「あ、みんな。着せてもらったけどどうかな?」
麗「見違えた・・・それ以外の言葉が思いつかないくらい似合ってるわよ。」
凛「私が着るよりも似合ってると思います。」
咲「ありがとう。私、なんだか昔の時代に来た気分だよ・・・だけどすっごく重いねこれ・・・」
麗「まあ服12枚重ね着しているようなもんだからね。」
嘉「似合っとるなぁ。ええ被写体や。」
嘉月は愛用のカメラで咲彩の写真を何枚も撮影する。
咲「元子役の私が言うのもなんだけど自分が被写体になるのって慣れないな・・・」
和「雷久保張り切ってるわね。」
姫「それにしてもあの咲彩君の髪をよくあそこまでまっすぐにできたなぁ。」
草「十二単着せるよりも髪をまっすぐにする方が大変だったかも。神宿さんの髪って癖強いんだね。」
咲「うん、いつも大変なの。下ろした状態だとお嬢様ロールがいくつもできちゃうし。」
麗「そろそろ次のエリア行かない?時間無くなっちゃうわよ?」
咲「そうだね。これ重すぎてそろそろ限界だよ・・・」
草「やっぱり重いよねー・・・それじゃ脱ごうか。ちょっと時間かかるから愛麗ちゃんたちは次行くエリアでも話し合ってて。」
麗「分かった。次はどこ行く?」
凛「戦国時代エリアはどうですか?このテーマパークで最も力を入れているそうですよ。」
和「決まったわね。神宿の着替えが終わり次第向かいましょ。」
数分後咲彩が十二単を脱ぎ終え、次の場所に向かう準備ができた。
咲「待たせてごめんね。それで次はどこへ行くの?」
麗「戦国時代エリアよ。さっそく行きましょ。」
凛「鳥海さんいろいろとありがとうございました。」
草「いいよこれも仕事だから。また遊びに来てね~!」
愛麗たちを満面の笑顔で見送る草苗を背に愛麗たちは次の目的地である戦国時代エリアに向かった。

次に愛麗たちは戦国時代を再現した戦国時代エリアにやってきた。
エリアは活気にあふれていて、当時の合戦が人型の模型によって詳しく再現されている。
ここでも6組の天王寺藍華が案内役をしていた。
藍「あらあらみなさんごきげんよう・・・ゆっくり見ていってくださいね。」
凛「天王寺さんもここのお手伝いですか?」
凛「そうですね。草苗ちゃんのお父さんにはお世話になってますから。」
嘉「このエリアではなんか体験できることないん?」
藍「ここではリアルシュミレーションゲームできますけど、今は・・・」
咲「リアルシュミレーションゲーム?それって何をするの?」
藍「簡単に言いますとよくある戦国武将を操って天下統一を目指すようなシュミレーションゲームあるじゃないですか。あれを簡易にしたものですね。
まずは、二手に分かれてあそこの2つのお城型の建物に入っていただきます。そうしたら先攻後攻を決めてもらって中にあるタッチパネルで出撃する兵士の数を決めて
先攻側が攻撃する兵士の数、後攻側が防御する兵士の数を選択します。基本的には兵士数の多い方が勝利します。攻撃側が勝利した場合は防御側の城の耐久値は減ります。
逆に防御側が勝利した場合は攻撃側は無防備状態になり、防御側の攻撃を強制的に受ける必要があります。
先に白の耐久値が0になるか、1000いる兵士が全滅したほうの負けになります。」
嘉「ぜひやらせてもらうわ。」
藍「ええ皆さんにはぜひやってもらいたかったんですけど今機会とモニターが故障してしまして・・・できないんですよ。
それで私今日はここの案内をしながら修理をしているんです。」
麗「故障なんて嫌なタイミングで来ちゃったわね・・・」
藍「私のメンテナンス不備が悪かったんです・・・」
咲「天王寺さんは悪くないよ・・・機械は時々機嫌が悪くなるってエレナちゃんも言ってたし・・・」
姫「そこまで思いつめなくたっていいのだ。」
藍「ありがとうございます皆さん。次来たときはぜひやってみてくださいね。」
麗「それで、このエリア他に見るところはあるの?」
藍「展示されているものが中心になりますね・・・この壇ノ浦の戦いを再現した模型は良くできていますでしょう?」
凛「兵士さんの顔が1人1人リアルに作られてますね・・・」
和「だけどこの兵士たちって戦いによって若くして死んでいったのよね・・・生き残って老年になれたとしてもそれまでに何人もの人を切り殺してきたんでしょうし。」
藍「そうですね・・・ですが、こんな戦いが過去にあったからこそ、現代での争いはなくなってほしい。私はそう思います。」
嘉「天王寺さんも権力争い大変やったんとちゃう?」
藍「ええ・・・私は生まれながらにして周囲全てが敵だったのでずっと争って生きてきました。ですが今は天王寺家を出て草苗ちゃんの家で暮らすのたのしいからもういいんです。」
嘉「今は楽しく暮らせてそうでよかったわ。」
藍「ええ。ですが当たり前の日常も急に崩れ去ることだってあります。それを忘れずに過ごしていきたいですねえ。」
和「楽しく話しているところ悪いんだけどさ、そろそろ行かない?」
嘉「せやな。次のエリア回る時間が無くなってまうしそろそろ行くわ。」
麗「次どこ行く?」
凛「私は愛麗のいきたいところならどこでも・・・」
咲「エントランスエリアに戻りながらゆっくり決めましょうよ。」
麗「そうね、それじゃ天王寺、あたしたちそろそろ行くから。今日は色々ありがとね~!」
藍「ええ。今度来たときは戦国シミュレーションゲームやって行ってくださいね。」
エントランスエリアに戻っていく愛麗たちを藍華は笑顔で見送った。

エントランスエリアに戻ってきた愛麗たちは歩きながら次に行く場所を話し合う。
麗「結局まだ決まらないけど・・・どこ行こうか。」
凛「焦らなくても見るところは沢山あるのでゆっくり見て回りましょう・・・きゃ、すいません失礼しました・・・」
愛は愛麗との会話に夢中なり過ぎて、男にぶつかってしまった。愛はすぐさま謝ったが相手の男は怖い面でぶつかってきた愛を睨みつける。
?「あ?お前どこ見て歩いてんの?俺にぶつかってきてただで済むと思うなよ!?」
女「ブス女に説教かます信玄君かっこいい~!」
麗「信玄・・・?その顔つき、もしかしてあんた山島信玄じゃ・・・」
?「ああ、なんだお前たちだったのか。相変わらず個性という負け組の理論にしがみついているのかい?
それにお前たちは見た目も心も全然変わらないな!」
この男はなんと鮫川先生が担任になる前1組の担任をしていた山島先生だったのである。
以前と比べて筋肉質の巨漢になっており、肌の色も濃くなっている。所謂ゴリマッチョに近い。
山「俺は水晶学園を辞めた後、彼女を作るためにやるべきことをやった。その結果がこれだ!
彼女は何人もできたし、お前たちみたいなキチガイを相手にするよりも楽しくなる事業を立ち上げて成功もした。
今ならお前たちに重傷を負わせてやることだって出来そうだよ。」
和「あんただって見た目が変わっただけじゃない。筋肉そんなにつけて気持ち悪いのよ。」
嘉「それと先生やってた頃より知能下がってへん?」
咲「それよりも・・・そこどいてください。あとゆーちゃんに謝って。」
山「相変わらずお前らは見る目がない上に聞き分けも悪いんだな。俺の実力見せてやるよ!」
山島は愛に近づくと目を見張るような速さで愛の帽子とヘッドフォンを奪い取った。
合気道の心得がある愛でも反応できないぐらいの素早さだった。
山「これは人質だ。まあ人っていうより物だけどな。」
凛「な・・・なんでそんなことをするんですか!?」
山「夜光が俺にケンカ売ったんだからね。君のものを奪うのが妥当でしょ?」
麗「このバカ教師!・・・って今は教師じゃないのか。愛はちゃんと謝罪したでしょ!?」
凛「ぶつかっただけでここまでされるなんて・・・ヘッドフォンと帽子を返してください!!!」
山「やだね。俺は夜光だけじゃなくてお前たち全員に恨みがあるから。返してほしければかかってこいよ!
それに涙目で悔しがる夜光を見るのはとても優越感に浸れるな!」
凛「ううっ・・・」
麗「このクズ!あんたがやってることは泥棒と変わんないんだよ!」
和「こいつがあたしたちの学校の元教師だったなんて思いたくないわね。」
山「今じゃお前たちにどう思われようとかまわないし。俺は精神も成長したんだからな!」
女「信玄君まじイケメーン!そんなブス女どもは叩き潰しちゃえー!」
山「了解俺の一番大切な人。オラアアアアアアアア!!!」
山島は上半身裸になり、マッスルポーズをとって鍛え上げられた筋肉をこれでもかと見せつける。
山「俺の鋼の肉体にかかれば、お前らみんな蜂の巣だ。悔しかったら・・・かかってこいよ!!!」
和「どうすんの・・・あたしあんなのに勝てる気しないわ。」
嘉「せめてウチがカメラでこいつの悪行を録画・・・」
山「おっと、卑怯なことをすると君のカメラを破壊するぞ。」
嘉「ちっ・・・うかつに手出しできへんわ。」
咲「待ってみんな、あの人の挑発に乗ったらダメ。思うつぼだよ。」
麗「じゃあどうすんの!?」
咲「事前に調べておいたんだけど・・・このテーマパークには・・・」
咲彩は怖がるメンバー全員にあることを耳打ちする。山島はいつまでも向ってこない咲彩たちにイラつきを感じ始める。
山「いつまで喋ってるんだぁ?」
麗「うるさいよっ・・・あんたみたいに盗みと暴力でしか生徒を指導できない教師の方が弱いんだよっ!」
山「俺に指図すんじゃねえええええええ!!!」
山島は助走をつけ、愛麗の腹部に狙いを定めて殴りつけようとする。
麗「嫌っ・・・」
?「そこの男!このテーマパークでの暴力行為は禁止よ!」
山島が愛麗を殴り付けようとしたその時、すぐ近くで声が聞こえた。その人物は・・・
嘉「高田さんやん!」
響「あら1組の皆じゃない。警備隊を読んだのってあんたたちなの?」
6組で最も成績のいい高田響生だった。彼女も草苗や愛華と同じようにテーマパークの手伝いをしているらしく、警備ロボットらしきものを引き連れていた。
翠「わたしもいる・・・」
凛「月影さん!」
響生が引き連れている警備ロボットには響生と同じ6組生徒の月影翠が乗り込んでいた。
和「神宿が呼んでっていうのは警備隊・・・高田と月影だったってこと?」
咲「うん。このテーマパークには警備隊が巡回しているっていう話を聞いていたからね。まさか響生ちゃんと翠ちゃんがその警備隊だったとは知らなかったけど。」
山「なんだお前らは・・・俺の邪魔をするなああああ!!!」
翠「あ・・・あんた山島じゃ・・・」
響「山島って、昔1組の担任で南百瀬たちに愛想を尽かされてあたしらのクラスに飛ばされてきたけど、結局嫌がらせばかりして辞めさせられたヘタレ教師だっけ?」
翠「愛麗ちゃんになにしようとしていたの?ことと次第によっては処刑するもん。」
女「んだよだっせーガキ共が。信玄君は突っかかってきたこいつらを撃退しようとしてくれたの。
むしろこっちが被害者なんですけどー!」
響「あんたたちが被害者側だったと仮定してもおかしいことだらけなんだけど?それにあんたが持ってるのは夜光の帽子とヘッドフォンよね?」
凛「高田さんなんで私の持ち物だと分かったんですか?」
翠「響生ちゃんはファッションチェックが好きで、他人の身に着けているものを結構見ているの。」
響「夜光その青い帽子気に言ってるんでしょ。いつも被ってるもんね。」
山「チッ・・・数カ月とはいえ俺はお前たちの面倒を見てやった恩師なんだぞ!」
響「あんたに見てもらった面倒なんて何もない。あたしらにとっての担任は龍崎先生と千葉崎先生だけよ!
というわけで翠・・・やっちゃいなさい!」
翠「愛麗ちゃんたちの楽しみを邪魔したお前を許すわけにはいかないもん!」
翠はロボットのレバーを操作し、マジックハンド式の腕で山島と彼女をがっちり捕まえた。
女「ちょっとなにこれ気持ち悪い~!」
山「捕まってしまった・・・だが俺の筋肉パンチで破壊するまでだ!オラア!・・・なぜ壊れない・・・」
翠「それ頑丈に作ってあるからどんな筋肉バカでも破壊できないもん。」
響「それじゃ、夜光の帽子とヘッドフォンは返してもらうわねっと。」
響生は慣れた手つきで捕まっている山島から帽子とヘッドフォンを奪い返す。
山「しまった・・・」
響「はい夜光。」
凛「ありがとうございます高田さん!」
響「それと南百瀬は大丈夫?医務室連れて行こうか?」
麗「うーん、殴られる寸前に2人が助けに入ってくれたから特にダメージは受けていないし大丈夫かな。」
響「そ、ならいいわ。・・・それにしてもこいつなんで教師なれたのかしら。あたしらの担任になった時もいけ好かない奴だなって思ってたけど。」
和「まあどれだけ市が厳重な審査をしてもこういう奴が混じっちゃうんでしょ。」
響「それもそうね。それじゃこいつは事務所に連れて行って警察に突き出しておくから。」
山「まて!俺を警察に突き出したら、この市のマッサージ業界が滅亡するぞ!!!」
嘉「何言うてるんか分からへんよあんた・・・」
山「俺が始めた新事業はマッサージ店だからな。騎ノ風市唯一のマッサージ師である俺がいなくなるととんでもないことに・・・」
姫「マッサージ店事業?それなら我の親族がやっているが・・・?」
山「え・・・そんなこと知らない・・・というかお前は誰だよ!」
姫「貴様が担任だった期間は入院していた立屋敷苺瑠なのだ。我の親族のマッサージ店は評判が良くてな、騎ノ風にはほとんどマッサージ師が
いないらしいから、イノン騎ノ風の中に支店を出店することが決まっているのだ。ただの時の人でしかない貴様の事なんかみんなすぐ忘れるよ。」
山「そんな・・・な、なあお前たち!俺のこと助けてくれよお前たちのわがままに散々付き合ってやった元担任だろ!?」
山島は自分で突っかかった愛麗たちに助けを求める。この男どこまであさましいのか・・・
和「暴力未遂働いたんだし、警察に行って罰せられてきたら?」
咲「山島先生はやりすぎたんだよ。少しは反省しないとだめだよ?」
凛「人のものを盗むことを誇る人なんて地獄に落ちればいいんです。」(笑顔)
麗「もうあんたの顔なんて見たくもないし、一生刑務所に入ってれば!」
山「くそ・・・お前らいつか絶対全員に復讐してやるから覚悟しろ!」
女「ちょっと!私は何もしてないんだから解放しなさいよ!暴力未遂は信玄君だけでしょ!」
響「あなたも山島を煽ったりしたんだから同罪です。さ、事務所行きましょうか。」
翠「連行するもん。絶対に許さないから・・・」
山島と彼女は響生と翠に連行されて事務所に連れて行かれ、その後は警察に引き渡された。

山島たちに絡まれたことはあったものの、愛麗たちはその後もテーマパーク観光を楽しんだ。
だが、山島たちにからまれた影響で時間が押され、時間遅めの昼食をとる羽目になってしまった。
麗「まさか山島たちがこんなところにいるなんてね・・・それにさっき襲われたときにあたしが作ったご飯までぐちゃぐちゃにされちゃったし最悪よ・・・」
山島は先ほど愛麗に襲いかかったときに彼女の所有していた弁当をめちゃくちゃにしてしまったのである。
凛「私は愛麗がしなかっただけでもよかったですよ。」
麗「愛・・・」
咲「それにらっちゃんの料理もおいしいけど、ここのレストランの料理もおいしいよ。」
麗「咲彩・・・ありがとう。」
和「この後どうする?みんな疲れちゃったみたいだしかえって休もうか?」
嘉「写真は十分撮ったしウチは賛成やな。」
麗「大方観光すべきエリアも回っちゃったしね。」
凛「それなら帰りましょうか。私も山島先生に触られた帽子とヘッドフォンのクリーニングしたいですし。」
姫「まだ幕末エリアに行ってないような気がするのだが・・・」
麗「決まりね。食事が終わったら帰りましょ。」
姫「(うーむ・・・今後は興奮しすぎるのを抑えるようにしないとなぁ。)」
愛麗たちは昼食が終わった後にかえって体を休めることにしたのだった。幕末エリアを訪れることはなく。
そして苺瑠は最初に暴れてしまったことを心から後悔したのであった。

後日・・・愛麗と愛は学園を歩いていると千葉崎先生に話しかけられた。
零「おお君たち、テーマパークは楽しかったかな?」
凛「はい。チケットありがとうございました。」
零「ほうほう、それは良かったのであーる。それにな・・・君たちにチケット譲ってから吾輩もいいことがあったのだよ。」
麗「何かあったんですか?」
零「うちのクラスの高田たちとうまく交流ができるようになったのであーる。」
凛「良かったですね。」
零「ああ、最初はこの学校になじめるか不安だったけど、今は毎日が楽しいのであーる。では、次の授業があるから失礼するぞ。」
凛「千葉崎先生とても生き生きしてましたね。」
麗「この変人だらけの学校にもなじめたみたいでよかったわ。」
愛麗と愛は生き生きと授業に向かう千葉崎先生の後姿を見送ったのだった。
ちなみに山島先生はその後、教員免許とマッサージ技師の資格をはく奪され、逮捕されることになったんだとか・・・