普通にこだわり過ぎた少女

水晶学園。そこは、個性あふれる生徒たちが夢に向かって色々なことを学べる最高の教育機関。しかし、優れた環境にも異分子はいる。今日もそんな1人が暴走する。
?「そこ!なんなのその装飾品は!?取りなさい!」
風紀委員のように怒鳴り散らす彼女は2年生の新井頼子。名前も普通、成績も普通、見た目も普通、家庭も普通、趣味はなしととにかく普通な女子である。そんな彼女がなぜ個性派ばかりの水晶学園にいるのか。それは・・・成績が致命的に悪かったからである。彼女は元々騎ノ風高校の普通科に行くつもりであったが、勉強があまりできずに落ちてしまったのだ。危うく高校浪人になりかけたとき、水晶学園の普通科に受かっていた(だが水晶学園の普通科はほぼ人がおらず、今現在生徒数3人)ので入学したのだった。そんな彼女は学力の無さに引け目を感じているのかは知らないが、唯一自慢できる普通であることを武器に自称風紀委員として取り締まっているのだった。
今回彼女は1年6組の生徒である鷹田響生と月影翠に絡んでいるようだ。
頼「あなた、みっともないネイルなんかつけて!剥がしなさい!」
翠「急に絡んでなんなんですか?これ翠気に入ってるから剥がす気なんてないもん。」
頼「ネイルを付けるなんて健全な高校生はしません!」
翠「この学校自分の好きな格好して来ていいって生徒手帳に書いてあるもん。」
響「先輩、ちょっと横暴すぎませんか?あたしたちは確かに元々は劣等生だったかもしれない。だけど今は普段から授業もしっかりやってますし課題の提出も怠ったことないんですよ?なのに急に捕まえていびってくるなんて・・・」
頼「不良クラスの落ちこぼれ生徒の癖に普通にしない貴方たちが悪いのよ!それに緑のあなたは・・・身なりが子供っぽすぎます!その2つ結いにしているぼさぼさな髪も切ってしまいなさい。」
翠「やだー!翠髪切りたくない!響生ちゃん助けて~!」
響「6組だからって馬鹿にして・・・いい加減にしてください!翠を怯えさせてただで済むと思ってんの!?」
頼「そういえばあなたも髪の毛茶色ね・・・適切な色に染めなさい!」
響「これは地毛です!それより翠に謝って・・・」
頼「染めないなら私が実力行使します!」
頼子はそういうと墨汁を取り出し響生に向かって浴びせる。飛び散った墨汁は翠にも少しかかってしまった。
響「ちょ・・・やだ服が・・・もうサイテー!!!」
翠「気持ち悪いよ・・・」
頼「そうなった理由分かる?貴方たちが普通じゃないからいけないのよ?」
響「あんたマジありえない!いこ翠、保健室に言って着替え貰わないと・・・」
翠「うん・・・ぐすっ・・・」
頼「これで普通じゃないバカどもをまた制裁できたわ。私ってば最高ね!」
高笑いする頼子はすでに普通の領域を通り越し、もはや勝手に威張り散らしているクズ人間と何も変わらない状態になっていた。

頼「(全くこの学校の生徒って本当に気持ち悪い・・・普通であることは自分への戒めでもあるのに何でこうもわかってもらえないのかしら。ネイルの勉強をしている子たちは爪やらピアスやらを気持ち悪いぐらいに着飾ってるし、派手系ファッションを勉強している子たちは派手な服で登校してくるし同じ女子としてほんとありえない。女子たる者清く正しく清潔であるべきなのよ!普通が一番。それも理解しない変人どもときたらブツブツ・・・)」
頼子は今日も頭の中で彼女から見たら不真面目な水晶学園生徒たちに対してのいら立ちを募らせていた。そんなことばかり考えていたせいか彼女は誤って1年1組の教室に入ってしまった。
頼「あら、いつもと教室の雰囲気違うのね?それにしても、変な装飾がしてあるわね普通じゃないわ!」
陽「ねえ・・・あれ誰?」
水「たしか2年生の新井先輩だな。普通にこだわっているからこの学園じゃ厄介者らしいぜ。」
頼「厄介者って何よ!貴方たちが普通じゃないから悪いんでしょ!?」
麗「さっきからうるさいわね・・・あたしたちは普通なんて全然羨ましくないわよ!」
和「そうね。生泉の言うとおり、普通を強調するやつって何もできないから多数派の考えに合わせて依存して楽しようとするようなのばかりよね。」
頼「黙りなさい。それより、貴方のそのイヤリングなんなの?校則違反だから強制的に撤去するわ。」
麗「何よ・・・これは大事なものなの触るな!」
頼子は愛麗が耳に着けているリング状のノンホールイヤリングに手をかけ、奪いとる。
麗「痛った・・・」
強く引っ張ったせいか愛麗の耳からは血が出てしまったようだ。
頼「貴方たちは将来社会で生きていかなければならないのよ?それなのにそんな軽い気持ちでいるのはなんなの!普通じゃないないなんて欠陥品ね!」
凛「私から見ればあなたの方こそ欠陥品です。愛麗から奪ったそれ・・・返してもらいますからね。」
凛世はとてつもないスピードで頼子の手を引っぱたく。あまりの痛みに頼子はイヤリングを手放してしまった。凛世は手から落ちたイヤリングを受け止めると愛麗に返した。
凛「愛麗、ちゃんと取り返してきましたよ。」
麗「ありがと凛世・・・相変わらずそういうの得意なのね。(ちょっと怖いけど)」
エ「私は欠陥品って大声で言う方が欠陥品だと思う・・・」
頼「あ?学園長の娘だからって偉そうなこと言ってんじゃねえわよ。」
エ「怖い・・・この人嫌い・・・」
ア「レナサンを怯えさせて、酷い人デスね。」
頼「何よ外国人。普通じゃないあんたなんかこわくないわよ?日本語すら上手く話せないなら国に帰ったら?」
ア「アナタ、すごく嫌な人デスよ・・・」
頼「私はそんなこと言われたぐらいじゃひるまないけど?」
頼子はそう言って机を蹴り飛ばした。
頼「あら、誰にも当たらなかったのね。次は誰かの顔面にぶつけてあげるわ。」
頼子がもう一度机を蹴り上げようとした瞬間、教室に朝の連絡をしに来た鮫川先生がいた。
鮫「朝の連絡をしようと思ってきてみたら・・・これは何の騒ぎだ!?」
咲「先生・・・助けて・・・」
鮫「咲彩・・・それにみんなもそんなに怯えて大丈夫だったか?」
麗「その先輩が言いがかりつけてきたんです。」
鮫「君は2年の新井だな?何しにここに来たんだ?」
鮫川先生がそう聞くと頼子はこれまでとは180度態度を変えてきた。彼女は普通にこだわる人間である。教師には逆らわないということそれが彼女にとっての普通なのだ。
頼「あ、鮫川先生~!実は、鮫川先生に教えてもらいたいところがあって聞きに来たんですぅ~!」
鮫「教えるも何も君は私の授業を選択していないだろ?それにその手に持ってる奴は愛麗のイヤリングじゃないか。なぜおまえが持っている?」
頼「この子たちがあまりにも非常識だから普通を教え込むために没収したんです。」
鮫「この学校では過激でなければノンホールイヤリングぐらい着けてたってかまわないんだぞ?生徒の自由を奪って愉快に楽しんでいるように見えるお前こそ普通じゃないんじゃないか?それより愛麗・・・ずっと耳抑えてるけど大丈夫か?」
麗「こいつが強く引っ張ったから血が出ちゃって・・・」
鮫「新井。お前がやったのは傷害罪に当たることだ。昼休み職員室にこい。」
頼「ちっ・・・普通も守れないクズの癖に調子のるな!」
頼子はそういうと駆け足で1組の教室を出て行った。
鮫「連絡どころじゃないよな・・・凛世、愛麗を医務室に連れていって手当してもらってきてくれ。」
凛「わかりました。行きましょう愛麗。」
麗「うん、ありがとう凛世・・・」
その後愛麗は保健室で適切な手当てを受けたことにより、耳の傷は大問題ならずに済んだのだった。

その日の昼休み。頼子は憂鬱そうな表情で教室の座席に座っていた。
頼「(はぁ・・・みんなどうして普通にできないのかしら。この学校変人ばかりで気持ち悪すぎるわ・・・)」
頼子がそんなことを考えたその時、校内放送が流れた。
放「2年6組の新井さん、至急1年生職員室まで来なさい。」
頼「ああ、さっき先生が言っていた呼び出しか・・・しかも1年教室なんて・・・」
頼子が1年職員室に来た。いつものように教師へのスマイルを装備し職員室の中に入った。
頼「失礼しまーす。先生方、私に何か御用ですか?」
零「ああ、こっちであーるよ。」
頼子は千葉崎先生によって職員室の奥に通された。そこには鮫川先生もいた。
頼「それで・・・今日はいったい何の御用で?」
零「君、吾輩のクラスの鷹田と月影にしつこく粘着したそうだな?」
頼「えー?あの2人が髪染めてたりネイルしているから悪いんじゃないですか?」
零「いや、鷹田の髪は地毛で染めてないのだ。それに月影もネイルしているとはいえ歴史の知識が豊富でな、吾輩の社会科の授業を手助けしてくれるのであーる。そんな2人に君はに墨汁をかけたそうだな?鷹田も月影も困っておったよ。服に着いた墨が落ちないから君に服を弁償してほしいとな。」
頼「ルールを守らないのが悪いんです。私があの不良2人の服を弁償する責任はありません。」
鮫「この学校に髪染めやネイル、ノンホールイヤリングを禁止するルールはない。普通じゃないのはお前の方じゃないのか?」
頼「普通じゃないですって・・・私だってこんな変人の巣窟、好きで入学したわけじゃないのに!本当は騎ノ風高校の普通科に行きたかったけどどれだけ力を尽くしても入学ラインに届かなくて・・・好きでもないけどこの学校の普通科を受けたら入れた。それだけだったのに!」
鮫「自分が普通になれないあるだろうが、自分で設けた普通の基準をほかの子にまで強要するのは人間としてどうかと思うぞ。」
零「うむ、その通りであーるな。自分の考えの押し付けでどれだけの子たちが傷ついてきたのか、君は分からないのかい?」
頼「そんなの、わかるわけないじゃない!誰だって普通が一番よ!その考えだけは絶対に曲げない!」
鮫「悪いことを自覚できないのなら私たちはそれを普通だとは思わないな。お前は自分の考えを他人に強要している自分勝手な奴にしか思えない。」
零「墨汁をかけるということの悪さが分からないのに自分は普通だと強調し続ける・・・そんな姿を見れば反省していないことぐらい丸わかりであーる。」
鮫「今回の事は私たちから君の担任へ伝えさせてもらう。後日処分が下るだろう。」
零「なにも普通は悪いことではないが・・・君のやったことは普通の考えを盾にして人の服を汚すという犯罪行為なのだよ。しっかり反省したまえ。」
頼「ぐっ・・・」
頼子はその後担任から響生と翠への服の弁償代と3日間の停学を言い渡された。彼女は納得いかないようであった。

それから3日が過ぎた。この数日間頼子は停学だったので、水晶学園の校門で取り締まりが行われることはなく生徒たちは不安がることなく登校した。
停学中の頼子は、ものすごく苛立っていた。
頼「(私は今まで普通に道を外れることもなくまじめにやってきたのに・・・なぜこの学校の連中は評価してくれないし認めてくれないの!?・・・憎い。そういえば・・・この騎ノ風市には平穏人生の会っていう才能ある人間を憎んでいるテロ組織があったはず。おまけに私の復学の日は1組担任は休みだったはず・・・そこに相談して団員になればあいつらに痛い目みせてやれるかも・・・)」
頼子の頭は憎悪に支配されていた。そして彼女は取り返しのつかないことを思いつき、平穏人生の会とコンタクトを取ってしまうのだった・・・

所変わって1組の教室。頼子がいなかったこの3日間は特に何事もなく平和に過ごしていた。
凛「愛麗、もう耳は大丈夫なんですか?」
麗「うん、あれ元々ノンホールイヤリングだから耳に穴開けて着けてるわけじゃないからね。」
咲「それにしても、先輩はなんであんなことをしたんだろう?」
水「やけに普通にこだわるから、自由にしてるように見えるアタシらにむかついたんじゃないか?」
柚「そんなんじゃ社会で生きていけないみたいなこと言ってたしね。」
環「だけどそれって余計なお世話ってやつじゃん。先輩は先輩の好きな道歩けばいいのに。」
姫「だが、抑圧されて育った人間は多いと言う。先輩もそういう環境で育ったのだろうな。」
凛「育った環境って大事ですね・・・」
その時、また1組の扉が蹴破られた。入ってきたのは停学が解けたばかりの頼子だった。
頼「あら、不真面目な1年生のみなさんこんにちは。ただいまより風紀委員の私が貴方たちを矯正します!」
和「ちょっと、それってどういうことよ!」
奈「わたくしたちは何も悪いことはしていませんわ!」
頼「青臭い餓鬼どもが吠えてんじゃないわよ。私は普通なの!だから異常な貴方たちは強制する必要があるのよ!!!」
頼子はそういうと、教室中に小さい棒のようなものをばらまいた。
陽「あれなんだろぉ・・・」
エ「これ・・・爆竹じゃ・・・」
ア「爆竹って危ないもなのデハ・・・」
ラニーがそう言った瞬間、教室中の爆竹が音を立てて爆発し始めた。
環「ちょ・・・危ないし・・・」
咲「みんな爆竹の当たらない場所に避難して!」
麗「そんなこと言われたって、教室中に爆竹があるのにどこに逃げんのよ!?」
凛「怖いです・・・」
頼「あっはっは!逃げ惑って混乱する姿は無様ね!どいつもこいつも普通じゃないから悪いのよ!それにこれは余興。本番はこれよ!」
頼子はそういうとダイナマイトを取り出し、導火線に火をつけようとした。だが、爆竹の音は周りのクラスまで聞こえたらしく、隣のクラスにいたあかり先生が教室に入ってきた。
あ「変な音するけどうしたの!?」
陽「せんせえええええ!!!たすけてええええ!!!」
頼「学級委員の癖に叫ぶなんて情けないこと。所詮臆病者なのね。」
あ「貴方は2年の新井さん!?なんでそんなもの持ってるの!!!」
頼「この子達の趣味や服装がが普通じゃないからお仕置きしてあげてるんです。あ、この子達への制裁が終わったら2組にも行きますね?」
あ「ふざけないで!貴方、なんでそんな危ないものを・・・」
頼「私、平穏人生の会の一員になったんです。そこのボスから爆竹もダイナマイトも支給してもらったので。」
あ「あのテロ組織に加担したの!?」
頼「はい。普通がどれだけ有益でどれほど幸せなのかをこの夢に狂った馬鹿どもに教え込むためにね!」
そういうと頼子は再びダイナマイトに火をつける。火は無情にも導火線に点火してしまった。
頼「さあキチガイ共・・・これであんたたちもおわりよ!」
頼子はダイナマイトを投げようとする。そこに一人の女性が消火器を持って現れた。
?「あなたいい加減にしなさいよ!」
女性は消火器を頼子とダイナマイトに向けて吹き付ける。ダイナマイトの火は無事に消火された。頼子は消火器の粉を急に吹き付けられたせいか倒れてしまった。
麗「何!?どうなってるの!?」
?「1年生の先生方から連絡を受けたときは何事かと思ったけど、間に合ってよかったわ・・・」
凛「貴方は・・・どちら様なのですか?」
麗「あ、沙紀子さんじゃない!?」
?「あら愛麗さん。普通科の生徒が迷惑をかけてごめんなさいね。」
咲「らっちゃん知り合いなの?」
麗「知り合いも何もこの学園の教頭先生じゃない。」
柚「どこかで見たことあると思ったら・・・」
陽「そういうことだったんだねえ。」
?「水晶学園では朝会などはしていないし、私があまり知られていないのも無理もないわ。」
和「さっき生泉は教頭先生を名前で呼んでいたわよね?」
麗「ああ、教頭先生はあたしの祖母さんの妹の娘で生泉一族の親族だからよ。あたしの母さんの従姉妹なの。」
沙「改めまして、私は日極沙紀子。この水晶学園で教頭を務めさせていただいています。1組のみんなのことは学園長から優秀だって聞いてます。私と愛麗さんは親族で、独身で子供もいないから愛麗さんたちの所にたまに行くの。それより・・・私の管理していた科の生徒があなたたちに迷惑をかけてごめんなさいね。」
咲「教頭先生が普通科を管理していたんですか?」
沙「ええ。7人しかいない小さな科だからね。責任を持って教えてきたつもりだったんだけどこの子・・・新井さんだけは普通であることにこだわって他の同級生たちに嫌がらせばかりしていたの。貴方は普通じゃないっていう決まり文句を振りかざしてね。」
頼「うう・・・ん。なんで顔に白い粉が・・・はっ、ダイナマイトは・・・」
沙「新井さん。もうダイナマイトを爆発させることはできないわ。そしてあなたは今日で退学処分とします。鷹田さんや月影さんを襲うだけに飽き足らず、1組の子たちに爆竹やダイナマイトを投げつけるなんてもう殺そうとしか思っていないということがわかるもの。」
頼「いえ、私は普通よ!異常なのは好き勝手やってるその子たちよ!」
沙「あなたはもう普通じゃないのよ。この子達は将来の目標に向かって色々なことに取り組んでいる立派な子たちよ。それなのにあなたは何なの?周囲に自分の基準を強いってそれに従わなければ怒鳴ったり、矯正しようとしたり・・・そんな自分勝手な風紀委員ならいりません。だけど私には分かるけどねあなたがそうまでして普通を強いる理由。」
エ「理由・・・何なのですか?」
頼「まさか・・・それだけは言わないで!」
沙「この子はね、元々騎ノ風高校の普通科に入学するつもりだったの。だけど、成績が足りなくて落ちてしまったの。それでこっちの普通科を後記募集の時に受けたら受かった。この学校は総合科がメインではあるけれど極小ながらも普通科も存在しているからね。」
奈「わたくしは総合科しかないと思っていましたので、普通科があること自体初めて知りましたわ。」
沙「だけどこの学校の生徒のほとんどは総合科の生徒。専門的な会話になじめなかったこの子は自分が普通であるということが正しいことだという考えを持つようになった。それが暴走して風紀委員のような活動を始め、自分の考えを正当化するためにテロ組織の力まで借りたおかげで今回のような結果となった。貴方の考えはこれで間違いないわよね?」
頼「・・・・・」
沙「それでは新井さんに処分を言い渡すわ。あなたは退学とします。平穏人生の会にかかわり、ダイナマイトと爆竹を学園に持ち込んだことによって前科もつくことになると思うわ。これから待っているのは・・・自分の勝手な暴走によって高校を卒業すらできなかった普通じゃない人生ね。」
頼「そんな・・・お願いします二度とこんなことしないから追い出すのだけは・・・」
沙「見苦しい反論は受け付けません。テロ組織とかかわった時点で貴方はこの町に住む資格すら失ったのよ・・・藤沢先生も迷惑かけてごめんなさいね。この子達を守ろうとしてクラスに来てくれたのよね?」
あ「いえ、私はこの子達が心配なだけで・・・教頭先生がすべて片づけてくれたので今回は何もしていませんし・・・」
沙「それにしても担任の鮫川先生が休みを取っていた時に狙ったように攻めてくるなんて。その変な悪知恵を応用できなかったのかしら・・・」
その後、頼子は正式に退学が決まった。水晶学園を辞めた後彼女は施設送りにされる直前に逃亡し行方不明になった。噂では平穏人生の会に正式に加担したなどという噂が立っているが、真相は不明である。

そして後日。愛麗たちは食堂でちょうど響生と翠と会ったので一緒に食事をしていた。
響「え、それじゃあんたたちの所でも悪さしてたのあの先輩?」
和「そうなのよ。ダイナマイト見せられた時は死を覚悟したわ。」
翠「とても非常識なんだもん。翠もあの日来てたお洋服墨汁でダメにされた。」
麗「結局いくら返してもらえたの?」
翠「お洋服の金額分は返してもらえた。それよりも髪切られなくてよかった。」
響「なんかあたしの茶髪に向かって非常識とかぬかしてたけど、本当に非常識なのはどっちなんだか。」
凛「愛麗のイヤリングを奪ったときも私たちに向かって非常識って言ってましたよ。」
翠「イヤリングとられたって・・・愛麗ちゃん耳怪我しなかったの?」
麗「問題ないわよ。あの後化膿しないようにって水萌に手当てしてもらったから。」
響「ま、非常識を常識なんてのたまってる奴らなんざたくさんいるからね。結局常識なんて力の強い奴が決めたことよ。」
翠「つまりこの世に本当に正しいことなんてないのかもね。自分の道は自分で切り開けばいい。大切な人がそう言ってたもん。」
こうして、普通にこだわりすぎた少女は普通を失った。しかし彼女は愛麗たちに大切なことを教えたのかもしれない。そう、普通や常識にとらわれるなということを・・・