南瀬家の問題 長女と次女

生泉家は愛麗の祖父が持っているアパートの中で一番広い一室にある。
リビング以外にちょうど部屋が2部屋あるので愛麗と楓の部屋になっている。
ちなみに祖父は姉妹の住んでいる隣の部屋に住んでいて、長女の創は反対側に住んでいるが、節約のために愛麗たち双子姉妹の部屋に風呂を借りにくる。
性格も違う3姉妹が住む部屋ではいろいろと問題が起こりやすい。特に長女と次女の間には・・・今日はそんな一例を見てみよう。
創「ふぁー・・・今日も授業疲れたなぁ・・・お風呂に入ろっと。」
これでも元不良の生泉家の長女である創は自由奔放な性格ゆえに周りをあまり気にしない所がある。
ガチャ・・・
麗「!?」
創「あ、愛麗ちゃん・・・お姉ちゃんと一緒にお風呂入る?」
創は愛麗を落ち着かせようと、手を伸ばす。しかし、その手は愛麗の大きめの胸を鷲掴みにしてしまう・・・
創「えと、これは・・・こんなことするつもりはなかったんだけど・・・」
麗「・・・」
こんなことをされて、愛麗が怒らないはずもなく・・・
麗「ひ・・・」
創「ひ?」
麗「人が風呂出て着替えているときに入ってくんなバカ姉!!!出てけ!!!」
愛麗は創を引きはがすと近くにあったを桶を掴むと創の頭に向けて投げつける。桶は創の頭に見事に命中し、砕け散った。
生泉家の次女である愛麗は非常に気が強く、女性であっても心を許した相手にしか素を見せない所がある。
創「あうう・・・」
創はそのまま倒れ、晩御飯の時間まで意識を失った。

晩御飯の時間。創は痛む頭を抱えていた。
創「・・・頭が痛いよぉ。」
麗「知らない。あーあバカ姉のせいで風呂桶買い替えだよ。祖父さんに怒られるじゃん・・・」
創「おじーちゃんはそれぐらいじゃ怒らないと思うけどぉ。」
楓「それより姉さんまた愛麗ちゃんのお風呂覗いたの?最低。」
三女の楓は小悪魔的なシスコン(愛麗限定)で基本的に愛麗の味方をする。
創「楓ちゃんまでそんなこと言わなくても・・・女の子同士じゃない。」
楓「愛麗ちゃんに色々酷いことしておいてよくそんなこと言えるよね・・・」
創「あれは若気の至りなんだってばぁ。」
楓「若気の至りですべてが許されるなら法律はいらないと思うけど。」
麗「はい、ご飯できたわよ。」
愛麗は2人の会話を遮るように作った料理をお盆に乗せて持ってきてテーブルに並べる。今日はみそカツのようだ。
楓「今日はみそカツなんだ。私これ大好きなのよね~!」
麗「そう言ってくれると嬉しいわね。いっぱい食べてね。」
愛麗は大切な妹にやさしい微笑みを向けながらそう言った。
創「ねえ愛麗ちゃん・・・私のカツの大きさ小さくない?」
麗「知らない。」
創「愛麗ちゃん・・・それってツンデレなのかな?」
麗「はぁ!?何わけわかんないこと言ってんの?そんなこと言うならもうはじ姉のご飯は作らないから。」
創「そんなぁ・・・」
愛麗から辛辣な言葉を投げつけられ、創はますます落ち込むのであった。

次の日、騎ノ風総合大学の学食で創は嘉月の姉で友人の雷久保博美に相談をしていた。
創「・・・ってことがあったんだけど、これって私が悪いのかなぁ?」
博「せやな。裸見られて喜ぶんなんて露出狂ぐらいのもんやで。」
創「そうだよねえ。あたしは愛麗ちゃんと仲良くしたいだけなのに要領悪いからいつも裏目に出ちゃって・・・」
博「創はんが得意なことで何かしてあげたらどうなんや?」
創「え・・・だけどあたし得意なこと何もないよ?」
博「絵が得意やのに何言ってんねん?愛麗ちゃんを書いてあげれば喜ぶんやない?」
創「そっかぁ!絵のプレゼントだね!早速やってみるよありがとう博美ちゃん!」
創は博美にお礼を言うと、一目散に去って行った。
博「(その気持ちが裏目に出えへんようにな・・・)」

創「よし、画材道具は大体そろえたし・・・後は愛麗ちゃんを呼び出すだけだね。」
その時、創の部屋のドアが開いて愛麗が入ってきた。
麗「はじ姉、ご飯できたけど・・・あ、学校の課題で忙しい?だったらごめん。」
創「あ、愛麗ちゃんちょうどいいところに!」
麗「急に何?」
創「愛麗ちゃんちょっとそこの椅子に座って?」
麗「それよりご飯・・・」
創「お願い!少しでいいから!」
麗「分かったわよ。」
愛麗はしぶしぶながらも椅子に座った。
創「ポーズとって!セクシーな奴で!」
麗「なんで?」
創「あたしの芸術欲が爆発しそうだから!」
麗「理由になってないんだけど・・・」
創「いいから!腕を上にあげて脇を見せて!腕を上げたことによってオーバーオールの脇から見えるセクシーな腰が大事なんだよぉ。」
麗「気持ち悪い。」
愛麗の色気(?)に興奮した創は一気に絵を描きあげていく。そして20分後。絵が完成した。
創「できたよぉ!見て!愛麗ちゃんにそっくりでしょ!」
創は描きあげた絵を愛麗に見せる。
麗「ふーん・・・腐っても得意なだけのことはあるわね。すごく上手だと思う。」
創「でしょ?」
麗「だけど描いているときの言動が気持ち悪い。なんであたしの脇とかセクシーとか言うわけ?スタイルいいのは認めるけどそっち路線目指してないから!」
創「ごめん・・・女の子描いているとどうしても欲望が出ちゃって。不快だったよね。」
麗「・・・別にいいよ。はじ姉がそういうタイプなのは知ってるし、芸術家なんてそんなもんでしょ。」
創「愛麗ちゃん・・・あたし、貴方に色々酷いことしたのに優しいね。」
麗「別に優しくなんかないし。ほら、ご飯できたからあたしたちの部屋きて。」
創「うん!」

創が愛麗に絵をあげてから数日後。
嘉「愛麗ちゃん。ちょっとええかな。」
麗「どうしたの嘉月?」
嘉「アネキから創さんが愛麗ちゃんと喧嘩したって話を聞いたんやけど・・・」
麗「ああそのことならもう解決したから問題ないわよ。はじ姉があたしを描いてくれてさ、その絵がきっかけで仲直りできたのよ。」
嘉「それならええんや。せやけど愛麗ちゃんと創さん結構言い争いするみたいだからちょっと心配やなぁ。」
麗「血のつながった姉妹とはいえ喧嘩ぐらいするでしょ。嘉月と博美さんみたいに双方が大人しければ何の問題もないんだけどね。」
嘉「ウチらもそこまで相性いいわけやないんやで。前アネキにウチのカメラのコレクションの一つ貸したら分解されてなぁ・・・そん時怒ってもうたわ。」
麗「誰だって大切にされているものを怖されたら怒るでしょうに。」
嘉「せやけど、そん時アネキが必修の科目でカメラの仕組みについてのレポート作っていたみたいで終わったら戻すつもりだったらしいねん・・・それ知ったらやりすぎてしもうたなって思ったんや。」
麗「そうなんだ。行動の理由を知ると怒ったことに罪悪感感じるわよね。あたしの姉の場合は色々と例外だけど。」
嘉「怒る気持ちもわかるねん。せやけど、一方的に怒らずに相手の考えを聞くことも大事やとウチは思うで。」
麗「一理あるわね。ありがとう。今後はできるかぎり姉の理由も聞いてみるようにしてみるわ。」
嘉「ええ心がけや。姉妹は仲がええのが一番やからね。」
麗「(それにしてもあの絵かなりアダルトチックに描かれていたのよね・・・あたしはじ姉にそういう目で見られているってことなのかな・・・あたしは凛世みたいな清楚な子が好みだし、はじ姉は眼中にないんだよね・・・)」
創が描いた絵のことを思い出しながら愛麗はそんなことを思ったのだった。

一方、総合大学では・・・
創「博美ちゃん、仲直りできたよ。」
博「そうなんやね。よかったわ。それでどんな絵描いたん?」
創「これだよぉ。」
創は博美にきのう書いた絵の写真を見せた。
博「お、おう・・・これは・・・エロいやん。」
創「あたしの絵の性分はエロさとセクシーさだからねえ。」
博「(うーん・・・これ見て怒らへんなら愛麗ちゃんって結構優しいんかもしれへんな・・・)」
博美がそう思ったのも無理はない。なぜなら、創の描いた愛麗は肌色と巨乳を強調したエロス満載の愛麗だったのだから。