双子。それは低確率で2人の子供を授かる奇跡的な存在。
和琴は最近やっている心理学の研究の過程で双子の事を知りたくなり、近くにいい対象がいないか模索を始めた。
しばらく模索を続けた彼女は思いつく。友人に双子だった人物が2人もいたことを・・・
そんなわけで和琴は自宅に双子である友人2人とその姉妹、更に書記として友人の天宮城奈摘を呼び出した。
和「あんたたち悪いわね今日は急に呼び出したりして。」
麗「別にいいわよ。それにしても急に双子の事知りたいってどういうことなわけ?」
凛「いいのではないでしょうか?好奇心があるのは誰だって同じですから。」
楓「そうだね。あまり難しく考えたら朝になっちゃいそうだよ。」
穏「はい。私たちが眞武さんのお役にたてるのならそれで充分ですよ。」
和「ありがと。じゃ、今から座談会を始めるわね。生泉と夜光は改めて姉妹を紹介してくれる?」
麗「分かった。会ったことあると思うけどこっちはあたしの妹の楓ね。」
楓「生泉楓です。好きなことは・・・愛麗ちゃんのベッドにもぐりこむことかな?」
麗「いきなり変なこと言ってんじゃないのバカ。」
和「それにしても、似てないわよねあんたたち。二卵性?」
楓「ううん、これでも一卵性だよ?」
麗「そこん所はあたしも結構気になるところだわ。似てるって言われたことないのに一卵性だからね。」
和「なかなか興味深いわよね・・・じゃ次は夜光、お願いできる?」
凛「はい。こちら私の双子の姉に当たる穏佳です。」
穏「夜光穏佳と申します。会うのは初めてでしたよね?」
和「生泉の方と違って2人はそっくりよね。一卵性?」
凛「これでも二卵性なんですよ?血液型も違いますし。」
穏「私シスAB型なんですよ。」
和「へえ・・・二卵性って血液型違うこともあるのね。」
奈「ここで生物の得意なわたくしが簡単に説明をしますわね。一卵性は受精後に受精卵が分裂して2つになるのに対して二卵性は2つ同時に排出された卵子が、別々に受精して2つの受精卵になるんですの。なので分裂したことによる遺伝情報が同じ一卵性ではそっくりになって、別々の卵子であるがために遺伝情報が異なる二卵性では全く違う顔になることが多いですわ。また、二卵性だと卵子と精子が違うがために血液型や性別なども異なっている場合もあるのですわ。」
和「天宮城、貴重な説明ありがとうね(まあ大体知ってるけどね・・・中学校でやったし)。」
和「それじゃ、早速はじめるわ。双子にはテレパシーがあるって言われているけどあんたたちにあったりする?」
麗「いきなり変則的な話題ね・・・ないわよんなもん。」
楓「私あるけどなぁ・・・」
和「そうなの。生泉妹、詳しく聞かせてもらえる?」
楓「愛麗ちゃんがお風呂に入ってるときどこ洗ってるかわかるんだよ。」
麗「えっ・・・そうなの。」
楓「うん、愛麗ちゃんが胸洗ってるときは私もむずがゆさを感じるし、髪を洗ってるときはあたしも快楽を・・・」
麗「あんたそれ以上喋ったら晩御飯抜くから・・・」
楓「・・・ごめんなさい。」
麗「わかればいいわよ。」
和「生泉妹は生泉が風呂に入っている時洗ってる場所がわかるって・・・それテレパシーではないわよね。強いて言えば皮膚感覚がリンクしているみたいなもんかしら?」
麗「あたしは楓が風呂入っていようがそういうこと全く感じたことないけど・・・」
楓「そうなんだ。私たちって双子のつながり薄いのかな・・・」
麗「そもそもあたしたち母さんが育児ノイローゼに陥って別々の里親のところで育てられたじゃん。つながりが薄いのも当然じゃないかな。」
和「生泉は別々に育てられた期間が長いから妹と違って特に何も感じないってわけか・・・夜光たちはテレパシーとかつながりある?」
凛「そうですね・・・私たちは愛麗たちと違ってずっと一緒に育ってきましたので、行動が被るというのがありますね。」
和「ふうん・・・行動が被るってぐらい敵にどんな?」
穏「それぞれお風呂に入ろうとしたら浴場で鉢合わせてしまったり、それぞれ別のところで食事をしていても実は同じものを食べていたとかも頻繁にありましたね・・・」
凛「こういうこともテレパシーに入るんですかね?私にはよくわかりませんけど・・・」
和「そういう同じ時間に同じ行動をしてしまうっていうのはテレパシーとはまた違うけど興味深いわね。ありがとう、次の話題に行くわよ。・・・双子に生まれてよかったことは?」
麗「よかったことね・・・同い年で性別も同じの気持ちを共有できる存在がいるってことは心強かったわよ。」
楓「愛麗ちゃん・・・それじゃ今日は一緒に寝て愛を深め合お・・・」
麗「あ、あたしには凛世がいるし恋愛対象としては見ていないからね・・・」
楓「そうだよね。ごめん・・・私の良かったことは目的や目標をもらえたことかな。特に私たちの場合長く離れていたから、いつかまた会って一緒に暮らしたいって思ってたから。」
凛「楓さんは愛麗を求めて神奈川県の里親さんのところを出てここまで来たんですものね。」
楓「そうそう。小さい頃の愛麗ちゃんって弱気気味だったから再会した時は驚いたよ。こんな派手な見た目になっててさー」
麗「別にいいでしょ見た目ぐらい派手になったって・・・」
穏「ふふ・・・愛麗さんって派手というよりはおしゃれなので羨ましいです。」
麗「穏佳さんまで・・・いつも同じような服ばかり来てるし、そんな褒められたもんじゃないと思うけど・・・」
穏「ですが、高校生でイヤリングを着けたり、髪型に細かい変化を着けているのはおしゃれな証拠だと思いますよ私は。」
麗「なんで穏佳さんがそんなことを知ってるんですか?」
穏「凛世ちゃんが写真を見せてくれるので。サイドアップの方向が違うとか、今日はカチューシャの色が黄色だとか・・・」
凛「勝手に写真撮ってごめんなさい愛麗・・・ですけど、私愛麗のおしゃれなところ本当に好きなんです。私なんかずっと同じ髪型ですから、細かいアレンジのできる愛麗のこと尊敬してて・・・」
麗「なんだそうだったの。なら今度色々教えてあげるわよ。それにあたしだって・・・黒髪ストレートロングできれいな髪の凛世のことずっと羨ましかったし。」
凛「愛麗・・・」
和「ちょっと話ずれてるわよ?全く、脱線が多いわよねあんたたちは。」
奈「いいではありませんか。座談会では脱線から生まれるものもありますわよ。」
和「確かにそうだけど・・・まあいいわ次の質問行くわよ。逆に双子であって困ったことってなかった?」
麗「別になかったわよ。あたしたち似てないし。」
楓「姉妹として見られたこともあまりなかったもんね。」
和「2人は見た目がだいぶ違うものね。体格差とかもあるんじゃない。」
麗「そうね。あたしより楓の方が背が高いけど、胸はあたしのほうが大きいし。」
楓「アンバランスに生まれてきちゃったんだよね。」
麗「たぶん髪型合わせて服も同じようなの着ればそれなりには似ると思うんだけど・・・」
楓「そもそも同じ格好なんてしたこともないよね。服の趣味とか全然違うし。」
和「そうなの。なら今ここでやって見せて・・・痛っ!」
そう言いかけた和琴を愛麗が抓った。
麗「和琴ちゃん?何バカなこと言ってるのかなぁ?あたしが楓と同じホットパンツ履くとでも思ってんのか?」
和「いや、妹に生泉の服着てもらえばいいじゃない!!!痛いから離して!!!」
楓「うーん愛麗ちゃんの服私は好きだけど・・・愛麗ちゃんのウェーブヘアに合わせて髪巻くの嫌だしなぁ・・・」
和「生泉の服を着るだけでいいから!お願い!」
麗「なんかもう座談会の目的から外れちゃってるわよね・・・そうね。あたし今着ているのと似たような着替え持ちあるているけどどうする?」
楓「好奇心は理解できるし・・・分かった、少しだけだよ?」
楓は愛麗から着替え用の服を受け取ると、奥にある仮眠スペースに行き、愛麗の服を着て戻ってきた。
楓「どうかな?オーバーオールってあまり着ないから少し新鮮。なんかもったりしてる感じがするけど。」
和「なんかいいわね。生泉と並んで立ってみて!」
麗「はい。これでいいわよね?」
愛麗は楓の横に並んで立った。
和「こうやって見ると髪色と髪質が違うのを除けば双子って言われてもわかる感じがするわね。」
凛「顔のパーツはお二人とも似ていますし、服などの見た目を合わせれば十分似てますよ。」
穏「一卵性ってなんだか羨ましいですね。」
奈「ですが・・・身長の影響で愛麗さんの方が妹に見えますわ。」
麗「まあ小さいのは事実だし別にいいけど。」
楓「やっぱり足出してないとちょっと落ち着かないかな・・・もう着替えてきていいよね?」
和「いいわよ。」
楓「分かった。じゃ着替えてくるよ。」
楓はそういうと仮眠スペースで元の服に着替えて戻ってきた。
和「生泉も妹もいろいろありがとう勉強になったわ。次、夜光たちはどう?」
凛「私たちの場合見た目が似ているので、同じ髪型にすると間違われてしまうんですよね。」
穏「なので今は私が髪を纏めて見た目に差異をつけるようにしてるんですよ。前髪の形も同じですからね。」
凛「それ以外だと、さっき言ったの同じ時間に同じ行動をしてしまうっていう所で困りますね。お風呂の時間が同じになってしまうとどちらかは待たなければいけないので。」
和「行動が被るとデメリットにもなるもんよね・・・」
穏「お風呂に入る行動が被ったときは一緒に入ったりしてますね。」
凛「どちらかが待つよりそっちの方が早いですから。」
和「仲いいのね。生泉なんか誰かが風呂入ってきたら怒るって前に言ってたわよね?」
麗「あれははじ姉だったから・・・楓だったら別にいいけど。」
楓「いいの!?じゃ今度から一緒に入ろ・・・」
麗「あ、やっぱダメ。どうせあたしの身体が目当てでしょあんた。」
楓「ばれた?」
麗「楓が考えるような邪な考えなんておみとおしよ。」
和「なんだ、生泉たちも双子っぽいところちゃんとあるじゃない。」
麗「まあ再開して数年とはいえ一緒の部屋に住んでるからね。考えのパターンぐらいわかるわよ。」
楓「愛麗ちゃんに私の思ってること見抜かれちゃった。えへへ・・・」
麗「そこ喜ぶところじゃないから。全く、懲りない妹なんだから。」
愛麗は半ばあきれたように妹の頭を撫でた。
和「それじゃ、今日はありがとう。4人のおかげで人の神秘がまた一つ分かったような気がするわ。」
麗「人の神秘って大げさな・・・」
楓「和琴ちゃんが双子の何を知りたいかは分からないけど・・・双子の私たちも一人っ子の和琴ちゃんも大体は同じだと思うよ。」
凛「子供が生まれるということに双子も1人も関係ないってことですね。」
穏「ですが、こう言ったことに好奇心を持って座談会を開いて調査をする和琴さんってなんだかかっこいいですよ。」
奈「将来は調査委員とかリサーチ方面もいいかもしれませんわね。」
和「大げさな・・・だけど楽しいのよねこうやって知らないことを探るのって。」
麗「前に飛鳥駅近くのショッピングモールで展示会やった時にあたしと咲彩のことを追尾してたもんね。」
和「それはあんたと神宿が何やってるか気になったからちょっと追いかけちゃっただけよ・・・」
凛「眞武さんはそれだけ好奇心が強いんですよ。気になったことは調べなければ納得しない、昔からそういうタイプでしたよね?」
穏「一度はまったことに集中できる力は強い個性だと思いますよ。」
和「そっか・・・あたしは調べることや調査することも好きだってことに今気づいたわ・・・リサーチ会社か、新しい夢の可能性としては悪くないかもね。」
和琴は新しい夢の可能性についてそんなことを思ったのだった。