和「ねえみんな。うちの学校に制服がないことってどう思う?」
地下書庫でのこと。それぞれが本を読んだり映画を見たりなど思い思い過ごす中で和琴が急に口を開いた。
咲「唐突な質問だねことちゃん。」
麗「あたしは賛成よ。スカート絶対履きたくないし全員同じ格好をするっていうのがどうしても嫌だから。」
奈「制服には制服の良さがあると思いますわ。ですが、わたくしも決まった格好をするのはあまり好きではないですわね。」
嘉「ウチはいつも制服みたいな服を着てるから制服があったとしても気にならへんな。」
凛「それにしても・・・急にどうしたんですか眞武さん。」
和「いや、あたしたちの学校って制服ないじゃない。だからあんたたちはその事についてどう思ってるのかなって。」
水晶学園には制服がない。これは学園長による個性を大切にする教育方針のためである。そのため、水晶学園では相当派手でなければ自由な服装で登校していいことになっている。逆にそれで新井頼子のような秩序を重視し、普通にこだわってばかりの面倒くさい生徒が発生するデメリットもあるのだが。
水「アタシは助かってるぜ。なんか好きになれないんだよなセーラー服って。だけどブレザーなら別にいいかな。普段からジャケット着てるし。」
姫「我はフード被れなくなるから嫌だな。」
柚「ボクもスカートはちょっとね。」
和「なるほど、スカートが嫌って意見が多いわね。」
エ「私は別にスカートでも気にならない・・・これって議論する流れだよね。」
和「全員のってきたわね。じゃ、うちの学校に制服がどんな奴があったらいいかちょっと話し合ってみない?」
咲「みんなどうする?」
麗「暇だし、付き合ってもいいわよ。」
全員で制服について話し合うことになったのだった。
和「じゃ、始めるわよ。デザインからよね・・・セーラーとブレザーだとどっち派?」
凛「私はブレザーの方がいいです。」
和「どうしてよ夜光。」
凛「セーラーって元々水兵の制服だったじゃないですか・・・私そういうの苦手なのでちょっと。」
奈「凛世さんってミリタリー系は苦手なんですの?」
凛「いえ、戦闘機とか戦車とかはそうでもないんですけど・・・兵隊って聞くとちょっと。」
麗「まあそれは分かる気がするわ。兵隊関係のことでいい話なんか聞いたことないし。」
陽「だけどセーラー服も素敵だと思うよぉ。わたしは体が大きいから似合うかどうかわからないけど。」
姫「うむ、白さが清潔感を表しているよな。何より、丈が短いから腹部の肌を露出するというチラリズムを感じる所もいいと思うのだ。」
水「チラリズムかよ・・・アタシは上服と下服は繋がってた方がいいかな。」
環「セーラーでもブレザーでもないワンピースタイプの制服もあるよねー。ああいうの可愛いと思うし。」
水「そういうのならアタシでも問題なく着れそうだな。」
咲「みなちゃんワンピース制服すごく似合いそう。背も高いし、髪も銀色だからすごく映えると思うよ。」
水「ま、中身はこんなにガサツだから見た目だけで判断する奴ならたくさん集まりそうだな。アタシからすれば迷惑だけど。」
ア「制服も今ではたくさんの種類があるのデスね。ワタシが昔通っていた学校はそういうのなかったデス。」
麗「制服なんてあるの日本ぐらいのもんでしょ。海外は高校だって水晶学園みたいに私服登校なんじゃないの?」
ア「確かに、ワタシの見る限りでは制服を取り入れている学校は宗教関係の学校ぐらいデスね。」
柚「そもそも、制服を導入するメリットってなんだろうね?ただでさえ教科書や体操服のような学用品でお金がかかるのに、更にお金がかかって無駄のようにも思えるよ。」
水「あくまで予想だけど、自分の学校の生徒を見分けるためとか統一感とかそんな感じだろうな。」
凛「制服の値段は場合によっては一着3万円ほどだと聞いたことがあります。」
環「3万あればゲーム機買えるじゃん。」
麗「環輝の意見、一見間違っているように見えるけど的確に突いていると思う。もっと身近な物で例えるとどうなるんだろ。」
エ「ミネラルウォーターなら一本70円にした場合428本分・・・」
柚「100円ショップの商品なら一個108円で277個分になるね。」
奈「水晶学園の入学料ですと1人10000円なので3人分入学できますわね。授業料が無い上に入学料がこの値段なのでお得はお得ですけども。」
麗「カラーボックスを1個1200円にした場合は25個か・・・結構かかるわね制服って。」
和「それに加え体操服や教科書とかにかかるお金も合わせるから、学校によっては10数万円ぐらいする場合もありそうね。」
麗「おまけにどんな理由があろうと破れたりしたら追加料金払って新しいのを買わないと教師から自分の存在を否定されるぐらいに怒鳴り散らされることもあるわね・・・あたしからすれば百害あって一利なしとしか思えないわね。」
奈「様々なものを規制することによって子供たちにストレスがたまり、いじめが発生するメカニズムを促進しているようにも思いますわ。」
咲「服装検査を今の時代もやっている学校あるけど・・・あれって余計ストレスになるんじゃないかな?」
姫「所詮は学校の見栄なのだ。卒業してしまえば使わなくなるものだしな。」
嘉「こないなこと言うと、俺たちは昔は耐えたんだ~って感じの年いった人たちの一部が声を上げるから余計嫌になるわ。」
凛「水晶学園が私服高校で良かったですよね。」
陽「そうだねえ。わたしはみんなの私服見るの楽しいから・・・制服だったらファッションチェックもできないしねぇ。」
麗「それじゃ和琴、あたしたちの出した結論は制服はいい面もあるのは確かだけど、人の自由を縛ってストレスを蓄積する原因になると思うから不要ってことで。」
和「分かったわ。じゃ、議論はこの辺にしましょうか、早速議事録書こうっと。」
和琴は先ほどの会議でメモしたことを議事録に書き始めるのだった。
他の12人が再び思い思いに過ごす中、地下書庫のカウンターで議事録を纏める和琴だったがその最中あることに気づいた。
和「あれ、あたしたちが話し合ってたのって制服の反対意見の話だったっけ、最初の話から大きくずれたような気が・・・?まあいいわ、議論のずれなんていつものことだしね。」